まあとにかく。
 月組公演『アルジェの男』初日観劇。
 感想いきます。

 ジャック@まさおが、変な人だった。

 いや、なんちゅーか……。
 幕が開いて痛感したのは、古い時代の作品なんだってこと。
 台詞回しとか、現代ぢゃねえ……。
 物語の年代がどうこうじゃない、現についこの間までやっていた『ファントム』だって舞台は現代じゃなくロングドレス着用の時代だったけれど、台詞回しは現代だった。
 『アルジェの男』はまさに時代劇。1930年代あたり?のパリとかじゃなく、日本の昭和時代の大衆演劇、という、時代劇。
 わたしはどうもこういう台詞回しとテンポの芝居が苦手らしく、幕が開いて「うわっ、こーゆー芝居なのか、さすが柴田作品パネェな」と冷や汗たらしつつ、慣れるまでにけっこー時間が掛かった。
 いっそものごっついコスプレものなら耐性も付くんだが、ふつーに革ジャン+開襟シャツとか着てる近代物だしな……。

 その独特の台詞回し芝居の中でも、群を抜いてザ・昭和!な台詞回しなのが、ジャック@まさおくんだ。

 他の人の時代劇には、それでも次第になれていったんだが、まさおさんにだけは慣れられない。彼が出てくるたびに、そこに異次元を感じる。

 ひとりだけものすごい台詞回しだから、空気読めない感半端ナイ。もともと変な人なのに、拍車を掛けて、変。

 あとになればもうツボに入ってしまい、ジャックさんが出てくるたび笑えた。ジャックかわいいよジャック。なんて愛らしい生き物なんだ。

 ああ、まさおくんってあのショーヴランを演った人なんだなあ、と思い出した。
 病的で相当変な人だった、あのショーヴラン。
 美形さんなのに、時折みょーなベクトルに暴走する人だ。今回も変でおもしろいぞー。


 んで、ストーリーは。

 ジュリアン@きりやさんLOVE、誰も彼もが彼にフォーリンラヴ!とゆー話でした。
 ガチホモ多すぎです。なにそれこわい。

 アルジェリアの下町で粋がっているジュリアンはみんなのアイドル。
 ジュリアン大好き!な男たちがわんさか。
 その中でもジャックさんは、愛がねじ曲がっているのでツンツンしまくりですが、万事彼に絡まないと生きていけないくらい、ジュリアンに夢中らしい。
 かわいこちゃんのピエール@からんくんも、ジュリアン兄貴LOVE。
 ヒロインのサビーヌ@まりもちゃんがジュリアンLOVEなのは当たり前として。
 男たちの取り巻きを連れているあたり、どこの姫かと。

 ジュリアンの魅力は、若者たち限定ではない。
 アルジェ総督のナイスミドル、ボランジュさん@リュウ様が、ジュリアンに一目惚れ。
 超強引に、脈絡ナシに、ジュリアンを自分の囲いモノにする。
 展開の強引さに、目が点……。キラキラお目々に惚れたとか、恥ずかしげもなく語りますよこのおっさん……。
 慕蘭寿……って、ナニこの変換、ボランジュさんには奥さん@あーちゃんがいるんだけど、この奥さんちょっと電波風味なので、目の前で美少年口説いても大丈夫らしい。

 オレたちのアイドル、ジュリアンが総督の愛人に!! 見損なったよ!! 裏切られた!! ……怒りのジュリアンの親衛隊の前に現れるジュリアンがイイ。
 大野せんせが大好きな、「辱めに唇を噛んで耐えるきりやん」ですな。
 言い訳をせず、黙って嬲られる感じがねー(笑)。

 んで、金と権力でジュリアンを自分のモノにし、アルジェからパリへ連れてきたボランジュさんですが。
 好みの少年を手元に置き、教育し、磨き上げていく。ナニこれ男の夢? 光源氏計画?
 そして彼を半永久的に自分のモノにするための常套手段、自分の娘と結婚させる、ってやつ。息子にしてしまえば、ずーっと独占できるものね。
 つーことで、ひとり娘のエリザベート@りっちーとくっつけようとする。

 プライドの高いエリザベートは父の愛人とくっつけられるのなんか、まっぴらごめん。向こうが自分に夢中ならともかく、興味も持たれていないのに、どうして私があんな男と……!
 と、抵抗してはいたけれど、彼女もやっぱりジュリアンLOVE。父と同じDNAってことですかね。父と娘で同じタイプが好みか、さすがだ。

 んでボランジュさんは、大人のパトロンの余裕を見せつけ、ジュリアンを自由にさせている振りをしてるけど、実はしっかりお目付役を置いている。
 ミッシェル@もりえはジュリアンの同僚、ボランジュさんの秘書官のひとりだけど、ジュリアンの監視役。彼に悪い虫が付かないようにと。きっとジュリアンの行動を逐一ボラさんに報告してるんだろうな。だって、秘書官仲間たち(ボラさんが顔で選んだ美青年ばかり)もみんな、ジュリアン大好きだもんよ。気が気じゃないよな。
 で、このミッシェルはボラさんのお気に入りだけあって、どうやら同じ性癖の持ち主らしい、堂々とジュリアンへ告白タイム。
 客席ぽかーん。

 ボラさんの囲われモノであることに限界を感じていたジュリアンは、ちょっくら反抗期、ボラさんとは別の権力者シャルドンヌ侯爵夫人@邦さんの姪、アナ・ベル@みくちゃんをつまみ食い。
 このままボラさんの手を離れ、こっちでうまくやろうかと思いはしたけど、結局いろいろお得なのはボラさんの娘エリザベートと結婚することだとわかった、のでアナ・ベルごめん、バイバイ。
 だってボラさんは大臣になるってゆーしな。

 さて、ジュリアンを愛しすぎるがゆえに、彼を忘れられない者たちがいた。
 サビーヌとジャックだ。ふたりはジュリアンを追ってパリに来ていた。わざわざですよ、ジュリアンがアルジェを出てすぐですよ。そして遠くから様子を伺っていたそうですよ、ふたりしてどんだけ。
 そう、サビーヌとジャックは、ジュリアンを愛する者同士、傷を舐め合って暮らしている。
 ジャックがサビーヌを抱くのは、彼女がジュリアンの女だからだ。
 忘れられるよりは憎まれた方がイイ、ってことで、ジュリアンの前ではとことん悪なジャック。「迷惑になりたくないの」と泣き崩れるサビーヌ……いや、ストーカーしておいてソレはどうかと。

 ジャックはいつだってジュリアンLOVEだった。折ってたたんで裏返しの愛だけど。
 そして今、大きな仕事が舞い込んだ。そうだ、この仕事ならジュリアンと組める!
 銀橋で「ジュリアンLOVE、ジュリアンのことばっか考えて生きて来たんだぜ(意訳)」と恥ずかしいみょーな歌をイッちゃった目で熱唱してたし。えっと、見ていてとまどうわ、この人変。
 なんかいじらしいほどワクテカとジュリアン口説きに行くんだけど、ジュリアンにとってジャックは過去の汚点、ひょっとしてジャックってジュリアンの元彼かなあ、そーゆー時期もあったのかな、「殺すしかない」と追いつめられるジュリアン、復縁の期待に頬を染めるジャック。

 そんでこっからは悲劇へ一直線。


 えーと。
 すごい話だ。

 ジュリアンってどんだけ美少年設定。
 大野せんせが大好きな、おっさんパトロンが美少年を育て、愛でる話。『更に狂はじ』『月の燈影』『睡れる月』……おっさんパトロンは美少年を愛しているが、美少年はそれをよしとせず、他に愛する人がいる、屈辱を感じながらパトロンに身を任せている……という。

 ちょ、大野せんせ自重しようよ、と思いました、きりやさんドリーム炸裂ぶりに。

 きりやんがすげー真正面から美形やってるし、まさお変だし、まりもちゃんきれーだしナマ腹だし、みりおくん端正だし。
 面白いなヲイ。

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