パワーバランスはいろいろチガウ。@新人公演『アルジェの男』
2011年8月18日 タカラヅカ 新公を観ることで、本公演の歪みっちゅーか特徴が浮き彫りになる場合がある。
新人公演『アルジェの男』感想続き。
ジャック@ちなつくんを見て、ジャックがまともであることに、驚いた(笑)。
ジャックが病的ぢゃない! 変な人ぢゃない! ホモでもない!
まさおェ……。
本役さんは独特っちゅーか、正誤を超えた役作りをしているんだってことが、よーーっくわかって、ウケた(笑)。
まさおかわいいよまさお。
新公のジャックはふつーでした。
ふつーに強そうで、ふつーに悪。
気持ち悪くないし、「ああ、いるいる、こんなちんぴら」という感じ。
多分コレが正しいジャックなんだろうなあ。
そして、このふつーに「いるいる」なちんぴらであると、2番手の役じゃないよなと、思う。
挨拶時の立ち位置のことじゃないよ。
ジャックという役自体が。
とことん悪、しかも安い悪であるところが、他劇団ならともかく宝塚歌劇団的に準トップスターが演じるにはどうよ?な役だ。
ふつーなら1場面割いて、ジャックの生活や内面を描くもんだ。それが2番手の役ならば。
ところがそれがないため、ただの脇役「おぼえてろ!」と捨て出台詞を吐く系の、どーでもいい悪役扱いになっている。
こんな描かれ方しかしていない役を、ふつうに地に足付けて演じてしまうと、こんなにふつーなんだなと。
引っかかりがない分、ほんとに話の中に沈んでしまう役だ。
悪いのは脚本ですとも、ええ。
ちなつくんは安心のうまさ、骨太さ。
くねくねしてないどっしり感で、堅実に演じきった印象。
ジュリアン@ゆりやくんがちんぴらに見えないキラキラひらひら系青年なので、コントラストがはっきりしていて良かったっす。
アンリ@たまきちは、なんつっても、姫抱っこかっけー!!
ジュリアンの裏切りに倒れてしまうアナ・ベル@ゆめちゃんを抱き上げるところが、なんつーナチュラルさ。
本役さんだと「がんばって!」と拳に力が入るので萌えるヒマがないんだが、たまきちはすげー自然さで姫抱っこしていた。
なにこのリアル男なたのもしさ。
たまきちの魅力のひとつは、間違いなくこの体格だよなあ。
元軍人であることが納得の力強さ。
なんというか、とてもストレートな存在だった。
秘めたる恋というよりは、幼い恋って感じ。
カラダは大きいけど、おねえさん相手に恋をしている男の子、子どもだから相手にされていない、打ち明けられない。
ラストシーン、ジュリアンを射殺するところも、べつにこわくない。
凄みは終始なかったなー。
それまでのいい人キャラから豹変はナシ、そのままのキャラで銃を撃つ。
そして、本公演では堂々と被害者の目の前を通って舞台中央に消えていくんだけど、端っこから狙い打ちして、こそこそ袖へ逃げていく。うわ、人間小さっ。……いや、これがふつーか。
薄ら笑いしながら殺人し、被害者と泣き叫ぶその恋人の目の前をわざわざ通っていく本公演のアンリはマジこわいからなー。確固たる信念!が感じられるのだけど、新公はそうじゃない。
衝動的に射殺、なにしろメンタル幼いですから、って感じ?
たまきちはヒゲに頼らない大人の男を修行中なわけだな。
彼がジャックだったら……と思い、パリではヒゲ男決定、そーでもないと大人にならないかも、とか思ってしまったのことよ。
や、彼のヒゲ男が大好物だからそう思っちゃうだけかもしんないが。
アンリが幼く見える理由の一端は、アナ・ベル@ゆめちゃんが大人の女性であることも大きい。
えっ、アナ・ベルってナニも知らない少女やなかったんや! 聡明な大人の女性、知性も人生経験もある、それゆえに諦観に満ちたキャラクタでした、新公アナ・ベル。
恋のひとつやふたつ経験してそうだ。あのしたたかな叔母の血を色濃く継いで、盲目もなんのその、いろんな経験してそう。
アナ・ベルにとってジュリアンは「最後の恋」だったんだなー。はじめての恋に破れたから自殺するんじゃなくて、さんざん恋愛して疲れて厭世人生送っていたところに救いになる人が現れ、この恋が転機!と思っていたらダメだったから、自殺に至ったんだなと。
それはソレでアリだと思うんだけど、それならいっそ、本格的にアナ・ベルを大人っぽく作って欲しかったんだが、外見とか少女っぽいままなので違和感。
アナ・ベルを本公演と同じ「無垢な少女」とするには、ゆめちゃんには知性がありすぎる。知性というか……計算? 言動の裏に経験からくる意識が働いているように見えた。
盲目であるということが、よりわかりやすい演技になっていたのも、彼女の神秘性を削ぐことになっていたかも。
本役さんはあまり盲目だということがわからない、一種妖精みたいな役作りだからなー。
反対に、年齢設定が下がっていたのはエリザベート@ちゅーちゃんだ。
エリザベート、若っ。と、初登場時に思った。
アルジェ総督の屋敷で本を持って現れる彼女、14~5歳?
詩を書いてパパに見せるシシィ@『エリザベート』くらいの女の子か。
パリでハタチくらいだとすれば、それでもおかしくないんだな。
本公演では初登場時から大人に見えていた(アルジェでハタチ、パリで25歳くらい?)ので、新公の「少女」っぷりが新鮮。
世間知らずで気の強いお嬢様。
変人ではなくて、お姫様育ち。
生意気で、それゆえに魅力的な少女。
子どもだから恋の手管なんか知らなくて、パリでのジュリアンとのダンスで思わせぶりなことを言われて、うろたえてしまう。そして、態度硬化、路上でジュリアンを否定するに至る……流れが自然だ。
純真無垢な少女はエリザベートで、アナ・ベルが人生経験豊富な大人キャラ、っての、えらい逆転ぶりやなー。
意図してそうなっているのか、ただの結果でしかないのか。
ちゅーちゃんもゆめちゃんも美人でうまい娘役さんたち。……なんだけど、学年よりえらく大人びた顔立ちなのは気になる。ただでさえ美人系っつーのは老けるのが早いから、なんとか「少女」で留まってくれるよう、がんばってほしいなー。
とくにちゅーちゃん、痩せすぎじゃないか……? 頬のこけ方が気になった。それでも芝居は「少女」だから、大したもん。
新人公演『アルジェの男』感想続き。
ジャック@ちなつくんを見て、ジャックがまともであることに、驚いた(笑)。
ジャックが病的ぢゃない! 変な人ぢゃない! ホモでもない!
まさおェ……。
本役さんは独特っちゅーか、正誤を超えた役作りをしているんだってことが、よーーっくわかって、ウケた(笑)。
まさおかわいいよまさお。
新公のジャックはふつーでした。
ふつーに強そうで、ふつーに悪。
気持ち悪くないし、「ああ、いるいる、こんなちんぴら」という感じ。
多分コレが正しいジャックなんだろうなあ。
そして、このふつーに「いるいる」なちんぴらであると、2番手の役じゃないよなと、思う。
挨拶時の立ち位置のことじゃないよ。
ジャックという役自体が。
とことん悪、しかも安い悪であるところが、他劇団ならともかく宝塚歌劇団的に準トップスターが演じるにはどうよ?な役だ。
ふつーなら1場面割いて、ジャックの生活や内面を描くもんだ。それが2番手の役ならば。
ところがそれがないため、ただの脇役「おぼえてろ!」と捨て出台詞を吐く系の、どーでもいい悪役扱いになっている。
こんな描かれ方しかしていない役を、ふつうに地に足付けて演じてしまうと、こんなにふつーなんだなと。
引っかかりがない分、ほんとに話の中に沈んでしまう役だ。
悪いのは脚本ですとも、ええ。
ちなつくんは安心のうまさ、骨太さ。
くねくねしてないどっしり感で、堅実に演じきった印象。
ジュリアン@ゆりやくんがちんぴらに見えないキラキラひらひら系青年なので、コントラストがはっきりしていて良かったっす。
アンリ@たまきちは、なんつっても、姫抱っこかっけー!!
ジュリアンの裏切りに倒れてしまうアナ・ベル@ゆめちゃんを抱き上げるところが、なんつーナチュラルさ。
本役さんだと「がんばって!」と拳に力が入るので萌えるヒマがないんだが、たまきちはすげー自然さで姫抱っこしていた。
なにこのリアル男なたのもしさ。
たまきちの魅力のひとつは、間違いなくこの体格だよなあ。
元軍人であることが納得の力強さ。
なんというか、とてもストレートな存在だった。
秘めたる恋というよりは、幼い恋って感じ。
カラダは大きいけど、おねえさん相手に恋をしている男の子、子どもだから相手にされていない、打ち明けられない。
ラストシーン、ジュリアンを射殺するところも、べつにこわくない。
凄みは終始なかったなー。
それまでのいい人キャラから豹変はナシ、そのままのキャラで銃を撃つ。
そして、本公演では堂々と被害者の目の前を通って舞台中央に消えていくんだけど、端っこから狙い打ちして、こそこそ袖へ逃げていく。うわ、人間小さっ。……いや、これがふつーか。
薄ら笑いしながら殺人し、被害者と泣き叫ぶその恋人の目の前をわざわざ通っていく本公演のアンリはマジこわいからなー。確固たる信念!が感じられるのだけど、新公はそうじゃない。
衝動的に射殺、なにしろメンタル幼いですから、って感じ?
たまきちはヒゲに頼らない大人の男を修行中なわけだな。
彼がジャックだったら……と思い、パリではヒゲ男決定、そーでもないと大人にならないかも、とか思ってしまったのことよ。
や、彼のヒゲ男が大好物だからそう思っちゃうだけかもしんないが。
アンリが幼く見える理由の一端は、アナ・ベル@ゆめちゃんが大人の女性であることも大きい。
えっ、アナ・ベルってナニも知らない少女やなかったんや! 聡明な大人の女性、知性も人生経験もある、それゆえに諦観に満ちたキャラクタでした、新公アナ・ベル。
恋のひとつやふたつ経験してそうだ。あのしたたかな叔母の血を色濃く継いで、盲目もなんのその、いろんな経験してそう。
アナ・ベルにとってジュリアンは「最後の恋」だったんだなー。はじめての恋に破れたから自殺するんじゃなくて、さんざん恋愛して疲れて厭世人生送っていたところに救いになる人が現れ、この恋が転機!と思っていたらダメだったから、自殺に至ったんだなと。
それはソレでアリだと思うんだけど、それならいっそ、本格的にアナ・ベルを大人っぽく作って欲しかったんだが、外見とか少女っぽいままなので違和感。
アナ・ベルを本公演と同じ「無垢な少女」とするには、ゆめちゃんには知性がありすぎる。知性というか……計算? 言動の裏に経験からくる意識が働いているように見えた。
盲目であるということが、よりわかりやすい演技になっていたのも、彼女の神秘性を削ぐことになっていたかも。
本役さんはあまり盲目だということがわからない、一種妖精みたいな役作りだからなー。
反対に、年齢設定が下がっていたのはエリザベート@ちゅーちゃんだ。
エリザベート、若っ。と、初登場時に思った。
アルジェ総督の屋敷で本を持って現れる彼女、14~5歳?
詩を書いてパパに見せるシシィ@『エリザベート』くらいの女の子か。
パリでハタチくらいだとすれば、それでもおかしくないんだな。
本公演では初登場時から大人に見えていた(アルジェでハタチ、パリで25歳くらい?)ので、新公の「少女」っぷりが新鮮。
世間知らずで気の強いお嬢様。
変人ではなくて、お姫様育ち。
生意気で、それゆえに魅力的な少女。
子どもだから恋の手管なんか知らなくて、パリでのジュリアンとのダンスで思わせぶりなことを言われて、うろたえてしまう。そして、態度硬化、路上でジュリアンを否定するに至る……流れが自然だ。
純真無垢な少女はエリザベートで、アナ・ベルが人生経験豊富な大人キャラ、っての、えらい逆転ぶりやなー。
意図してそうなっているのか、ただの結果でしかないのか。
ちゅーちゃんもゆめちゃんも美人でうまい娘役さんたち。……なんだけど、学年よりえらく大人びた顔立ちなのは気になる。ただでさえ美人系っつーのは老けるのが早いから、なんとか「少女」で留まってくれるよう、がんばってほしいなー。
とくにちゅーちゃん、痩せすぎじゃないか……? 頬のこけ方が気になった。それでも芝居は「少女」だから、大したもん。
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