『アルジェの男』、ジャック@まさおがわかりません!の続き(笑)。

 大臣@マギーに依頼されて、ジャックは「ボランジュさん@リュウ様失脚作戦」に手を染める。
 この仕事を受ける段階で、ジャックはジュリアン@きりやんを金ヅルとして利用するつもりだった、という前提は終わる。
 ボランジュさんが失脚するとジュリアンも終了、これ以上ジュリアンからお金をもらえなくなる。
 ジュリアンから金を搾り取らなくてもかまわないくらいの大金をマギー大臣がくれた。または、金よりもジュリアンがなにもかも失うことがポイント、ジャックの目的はジュリアンへの復讐だ。……てな理由ならわかる。

 「ボランジュさん失脚計画」を引き受けた。
 この時点で、ジャックはジュリアンの人生を終了させようとしている、と考えるべきだ。

 だけどこの作戦が、妙なんだ。

 てっきり、「ボランジュさんの片腕のジュリアンは、前科者ですよ。こんな男を雇っているボランジュさんは大臣に相応しくないですよ」ってことで、スキャンダルにするんだと思った。秘書の不始末で政治家失脚はよくあることですから。
 これなら、ボランジュさんもジュリアンも共倒れ。大臣から報酬もたっぷりもらえるし、ジャックがジュリアンを恨んでいるなら「いい気味だ」てなもんで復讐成功。
 なんのために、ジャックはジュリアンの過去を知っているんだ? それを盾に今まで脅してきたんだ? こーゆーときのためだ。ちまちま金をせびるより、大仕事に利用させてもらう。

 ジュリアンのところへ行く前に、銀橋で「ジュリアンひとりだけ成り上がってずるい、一緒に連れて行って欲しかったのに」と歌っている。
 ふたりそろって成功か、あるいはふたりそろって奈落。ひとりだけはずるい、足を引っ張ってやる。
 そう言うんだから、てっきりジュリアンを陥れるとか、悪いことをするつもりだと思ったさ。前述の通りの作戦実行なら、ジュリアンももれなく破滅だもの。

 なのに、そうじゃなかった。
 ジャックの立てた作戦ってのは。
 「ボランジュさんの恥ずかしい写真を撮っちゃえ☆」……えええ。

 まさか、「仲間になろうよ」とジュリアンを誘いに行くとは思わなかったさ……。
 ジュリアンの過去を暴けば済むことなのに、
「パトロンのボランジュをふたりで陥れて、大金を得よう。そしてふたりで逃げよう」
 って、そう持ちかけてる。俺からは逃げられないぜ、とかなんとか。
 これならたしかに、ジュリアン自身は無傷だ。後ろ盾は失うけど、ジュリアン自身が後ろ指をさされることはない。
 ジュリアンを守りつつも今の生活を捨てさせ、大金を得る作戦……ジャック、おそろしい子!(白目)

 マギー大臣の報酬も、ボランジュさん失脚作戦もただの言い訳。
 ジャックの目的は、ジュリアンと仲良くすることだよね……?
 彼を仲間にする、陽の当たる場所から、自分の腕の中へ連れ戻す。
 そーゆーことだよね?

 くらり。
 目眩がします、彼の歪みっぷり。

 サビーヌも、そりゃ射殺するわ。

 ジャックが撃ち殺されて、サビーヌにライトが当たる。
 そのときに、すごく納得した。
 はいはいはい、そーでしょうともよ。

 ジャックはいちおー、サビーヌの男だった。
 彼の目的がジュリアンであったとしても、対外的にはサビーヌの亭主だったんだ。
 なのに、
「ボランジュを色仕掛けで陥れてくれ、そこを写真に撮るから。ナニしてもいいぞ、オマエなんか興味ないし。それで後ろ盾を失ったジュリアンが俺の元に戻ってくる。オマエは写真に顔もカラダも写るわけだから、マスコミの餌食になるし、ボランジュに恨まれてどうにかなるかもしれないが、俺とジュリアンがラブラブハッピーエンドだから問題なし」
 なんて計画を聞かされたら。
 そりゃ、切れるわ。

「キタナイ計画を聞いたの……」と、撃った理由を語るサビーヌに、心から同情した。
 悪くない、キミは悪くないよっ、そんなこと言う男、殺されてとーぜんだって!!

 脚本がめちゃくちゃなので、ジャックの行動がもお、愉快で愉快で。
 イイデスヨ、このホモ男。
 気持ち悪くてステキ!

 ジャックは一貫して歪んでいるし、ジュリアンは一貫してジャックに弱みを握られている。

 これでジャックがもう少しまとも……というか、いやらしくなかったら、ナニかしら深刻な理由を想像するところだけど。
(彼らが実は異母兄弟で、ジュリアンの母のせいでジャック母が死に、ジャックはジュリアンを逆恨みしているとか、そーゆーの)

 ジャックがギラギラに変質的なので(笑)、ホモな想像しかできない……っ。

 つまり、アルジェでふたりがデキていた、つーことですな。
 サビーヌがジュリアンに口説かれても本気にしないと頑なだったのは、ソレを知っているから。
 ジュリアンの恋人は、ジャックでしょ? いくら女好きのふりしてあたしを口説いても、信じられない。キスなんかできない。ほんとうにあたしだけを愛してくれているの……?
 と、考えるよなあ。

 ジュリアンがゲイだとわかっていたら、ボランジュ総督にめーっちゃくちゃ不自然に、無理矢理に、ありえない展開で取り込まれても、「そういうことなんだ……」って思うよね。
 悪いのは脚本ですがね。説得力皆無のやりとりで、突然ボランジュさんがジュリアン見初めるからねー。お稚児さんにしたってだけだよねー。
 だからサビーヌは、パリへ行くというジュリアンに「行かないで」とも「あたしも一緒に行く」とも言えない。
 ジュリアンは愛人の男と旅立つんだもの。女の自分に入る隙間なんかないって、わかるもんなあ。そりゃ全身で「行かないで」と表現しつつも笑顔で見送りになるよなー。

 そして、ボランジュにジュリアンを取られたジャックが、サビーヌと共にパリへ。ふたりそろって5年間ストーカー。
 という話。
 サビーヌ、つらいなああ。

 ところでわたし、マギー大臣に「ボランジュのスキャンダルは下世話なほどいい」と持ちかけられたジャックがジュリアンのもとへ行ったとき、ボランジュ氏とその秘書ジュリアンの不倫関係をネタにするんだと、本気で思ったんだが、初見時。
 マギー大臣がなにか含みのある言い方してたからさー。あ、さすがマギー、ボラさんの性癖知ってるんだ、それをネタにしろって暗に言ってるんだ、と。
 そりゃ、秘書とデキてて不倫で、しかも秘書は男で娘の婿になる予定……って、こんなことを暴露されたら大スキャンダル、間違いなく失脚ですよ。

 なのにわざわざボラさんを呼び出して、サビーヌとのえっちな写真を撮るんだとかゆー、中学生のいやがらせみたいな作戦を聞いて、そしてそんな陳腐な話を聞きながら、盛大に苦悩するジュリアンを見て、これは言葉の裏を読むべき? いくらなんでもこんなつまらない作戦を持ちかけるはずがない、どーでもいいことをクチにしながら実は「オマエとボランジュの関係を暴露するぞ」と脅しているのか……?! と、考えたよ(笑)。

 ほんとに、わけわかんない脚本だよなあ。
 ぼろぼろにツッコミどころ満載だから、いろんなことを考えられるよなあ。

 ジャックの行動が1から10までみんな変で、辻褄合ってなくて。
 おかげで、とても愉快です。


 で。
 結局ジャックってどんな人なの?(笑)

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