『ランスロット』観て来ました。

 出演者もさることながら、実はわたしのいちばんのお目当ては、生田大和新作ってことでした。
 新人演出家の中で、彼への期待っちゅーか、わくわく感ハンパないっす。
 生田くんのデビュー作、『BUND/NEON 上海』は、マジ恥ずかしかった!!
 こんなこっ恥ずかしい物語を、臆面なく真っ正面から作ってくる新人作家! 楽しみじゃないですか!

 わたしは、作家の鼻息は荒い方が好みです。
 「俺はコレを書きたいんだっ」と、がるがる唸りをあげているよーな人が好きです。
 なにがしたいの? ほんとにそれが作りたかったの? 別にここでなくてもいいんじゃないの?な作家には、あまりときめきません。
 原田作品に興味が薄く、生田作品にわくわくするのは、作家の鼻息の荒さ……恥ずかしさの差にあるのかも。

 生田せんせの新作だっつーだけで、誰が主演でも大喜びで駆けつけたけど。
 マカゼ主演ですと?!

 もともとマカゼのことは、「顔が好き」と言い続けてきた。オサファンで水ファンのわたしが、あの顔を好きにならないはずがない。
 しかしまあ、実力があまりにアレだったので(笑)、「頼む、うまくなってくれ」と祈り続けていた。
 そんなこんなで前回の『めぐり会いは再び』。
 わたしのなかで、マカゼブーム到来(笑)。
 エルモクラート先生@マカゼ、かわいすぎる。てゆーかあの人、いろいろとど真ん中過ぎるんですけど(笑)。
 何故かまっつメイト間でマカゼ株がみょーに上がっていたような……まっつファンをくすぐる役だったのか、いや、そんな狭いところに限定しなくても、世の女性の大半の好みたるキャラクタだったのか……。
 あのヘタレなとこも含めて魅力的。

 マカゼいいよねマカゼ……と盛り上がっているところに、『ランスロット』のポスターだ。
 あまりにかっこよくて、どーしよーかと。

 んで配役発表、アーサー@みっきー。……えええ、みっきー2番手?! 新公主役している子が複数出演しているから、みっきーはまた脇かと……。
 いや、2番手とは限らないがキング・アーサーならどう転んでも大きな役だ、そして生田くんなら2番手役はオイシイぞ……っ。

 期待ばかり膨らむが、チケットはない。友会全滅したしなー。
 なんか星組は最近ずっとチケ難イメージ。盛況なのはいいことだ。
 とりあえず1枚だけチケット入手。あとは野となれ山となれ。

 『燃えろアーサー』世代なので、アーサー王伝説はなんとなくわかっているし、何年か前の、中間管理職が悲しいアーサーさんとその愚痴っぽい奥さん・ランスロットの、ハリウッド映画は見た。トリスタン役のマッツ・ミケルセン目当てだったりしたんだが(笑)。
 キャラクタは知っているけど、生田くんがどう料理するかは別だもんよ。フィクションなんだから、自由にしてヨシ。
 どーゆー話なのか、予備知識はナシで観劇。

 なんというか。

 よかったね、生田くん、「タカラヅカ」があって。と、思った……(笑)。

 スクエニ系のコミックが好きで、各種ライトノベルが好きで、三次元でソレ系をやりたい人には、ヅカってほんと正しい生き場所だよなあ。
 小柳タンのヲタク全開作品とか観ても思うんだけどさー。
 ヅカはやっぱ、ヲタに対してもっと宣伝するべきだよ。年寄り相手にするよりいいマーケットじゃないかな?

 いまどきこんな、ガチな幼なじみで姫と騎士やって、友情やって罪と罰やって、己れの闇と闘って……しかも、二次元的に美しい世界なんて、ヅカ以外にないよ。リアル男性だと、どーしても二次元にはならないからなー。

 おもしろいなあ。

 いやほんとに、おもしろかったです。

 きれいでトンデモなくて、力押しで。
 いや、情熱押しかな。
 ジェンヌの舞台に対する掛け値なしの真面目さ、大人になってしまう前にしか出せないがむしゃらさ、それと演出家の中二ぶりがひとつになって、なんとも眩い作品に仕上がっている。

 『BUND/NEON 上海』に比べればトンデモ度は下がり、出来は良くなってる。
 それは作者のパッションが減ったというよりは、作劇のコツが飲み込めた感じ。
 根っこの恥ずかしさは同じってゆーか(笑)。

 わたしも中二病がなんたるかを自覚するヲタのなれの果てである分、あちこち作者の鼻息が気恥ずかしく、身につまされる思いがする。
 わたしが生田作品を好きなのは、チャンネルが合うからだろう。その鼻息、その気恥ずかしさも含め。
 彼の「やりたいこと」が、わたし自身のやりたいこと……今まさにやっていること(二次創作で・笑)だったりするので、うっわー、こう来たか、と観ながらアタマを抱えた(笑)。

 ヅカにおけるヲタク系演出家の元祖はサイトーくんだと思うが、彼はあくまでもメジャー系少年マンガ属だと思う。ジャンプとかマガジンとか。ジャンプっぽい見せ方をするサンデー系ってイメージなんだが。(ナニソレ)
 小柳タンはゲーム系、ストーリーやテーマよりキャラクタ重視、設定資料だけあればいいあたりの。
 このふたりは根っこが健全かつ、全年齢向きだから夕方とか日曜朝に地上波放送OK。ドラマじゃなくてアニメの話ですよもちろん。
 んで、彼らに比べ生田せんせは暗ーい重ーいラノベ系。宿命とか暗い過去とか山ほど背負って苦悩してるやつ(笑)。アニメ化されても深夜枠一択。
 同じアニメ系ヲタクでも、作風いろいろ(笑)。

 ただ自意識過剰な中二病系なだけでなく、底辺にまず「哀しみ」があり、上空に「光」がある。
 その上で、宿命だの過ちだのとうだうだやってるんですよ。
 舞台になっているところがどんだけうだうだいろんなことをやっていたとしても、「光」が不動である限り、それはやはりエンタメであると思う。さらに、「哀しみ」が加わっていると、わたしの好みになるんだと思う。
 『BUND/NEON 上海』『ランスロット』と共通した部分。底辺の「哀しみ」、上空の「光」。

 個人的な意見なんだが、「哀しみ」を言外に持つ人は、「美しいもの」を作れるのだと思う。
 『ランスロット』はかなり泥臭い画面の作品なんだけど、それでも美しさを凛と漂わせているのは、哀しいからだろう。
 最初からずーーっと、哀しみがチリチリと見えている。そこが、この作品がラノベであり、「タカラヅカ」である醍醐味かなと思う。
 センシティヴでナンボじゃんねえ、中二なんてもん!!(笑)

 つーことで、期待通りに楽しいです、『ランスロット』。

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