んでこの『ランスロット』に出演している人たち。

 まず、ビジュアルありき。
 マンガやアニメ、ラノベにゲーム。そして、タカラヅカ。内容なんかわかんないし知らないけど、とりあえずこの絵を眺めていられるだけでいい、それだけで価値がある。
 ……そーゆーものが、ある。確実に。

 ランスロット@マカゼはまさに、そーゆーところからスタートした人だなと。
 彼にこのテーマを演じさせたいとか、この歌を歌わせたいとか、この言葉を表現させたいとか。技術面や役者としての技量面ではなく、ただもーひたすら、マカゼのビジュアルでこのキャラを見てみたい! ……てことじゃないかなと。
 ってくらい、ランスロットの彼はかっこいい。
 が、うまくない(笑)。
 台詞の表現がいまいちだから、表情その他の芝居の深みに欠ける。まして歌の残念さときたら……(笑)。

 顔立ちは水しぇんに似ているけど、彼ほどのシャープさはないんだよな。そしてなんつっても、暗い。寂しいというか。水くんはほんと、美貌だけでなく華々しい人だったよなあ。
 似ているとか思って観ると残念さが増すので忘れよう。水くんは水くん、マカゼはマカゼ。
 んで、実はカオよりも、声が似ている方に反応してしまう。
 なんつーんだ、水しぇんをもっと甘くした感じ……。水くんが高めの甘い声をわざと出しているときの声で、マカゼさんは固定されている。だからなんか、ドキドキする、水くんのラヴな声がずーっと続いているみたいで(笑)。
 いやいや、だから、水くんのことは切り離そうってば自分。

 偉大なる先人・水夏希がいなかったとしても、また水夏希を知らない人がこの舞台を観たとして、マカゼくんがセンター、主役なのは文句ないだろう。
 マカゼの持つ美貌は、「タカラヅカ」ど真ん中の資質だからだ。

 このビジュアルで何故こうも、うまくないのか。あああ惜しい、惜しいよマカゼ。
 でもその残念なところも含めて、今の彼、今の『ランスロット』という作品なんだろう。

 で、そのあちこちぽろぽろ足りていない主役に対して。
 2番手キング・アーサー@みっきーの、容赦なさ(笑)。
 いやあ、とてもいいみっきーだ。
 わたしがみっきーという人に抱いているイメージまんまの、実に素敵な芸風だ。

 プログラムに書いてある生田くんの「若手実力No.1」ってなみっきー絶賛はちょい行き過ぎだと思うにしろ(No.1って……)、みっきーは確かに実力派だ。
 いくらでもできるのに、今までろくに場を与えられずにいた、苦節何年、でよーやくめぐってきたチャンス、大役、エンジンかかるの鼻息荒いのも仕方ない、当然だ。
 にしても、マカゼとの、芝居の噛み合わなさがすごい(笑)。

 うまいのはみっきーだ。ちゃんと「芝居」ができているのはみっきーだ。
 しかし、主役はマカゼ。
 2番手がやりすぎちゃってるのはどうかなー。

 2番手がやりすぎる、といえば、『BUND/NEON 上海』のだいもん。誰が主役かわかんない勢いで彼は暴れまくっていた。
 しかしだいもんは憑依系。あのテの役を演じると、暴走しちゃって戻って来れなくなる。本人がどう思っている以前に、スイッチ入っちゃうんだろう。その結果主役を喰ってしまう。
 みっきーとはチガウ。
 みっきーは憑依系じゃない。計算して技術で演じている。
 そしてその技術で、実力で、主役を凌駕する気合い十分ときた(笑)。
 主役を喰うのがだいもん、主役を凌駕するのがみっきー。
 どっちもそれぞれ、面白い。

 でもまあ、みっきーってばマカゼ相手に浮いてるだけじゃなく、全体的に芝居が浮いている気もするんだが……ああいう独りよがりは嫌いじゃない。

 野心あふれる舞台人は好きだ。野心は向上心でもある。みっきーがより貪欲に「タカラヅカ」で泳いでくれることを望む。……てゆーか好きだなー。大変良いみっきーだ。

 ヒロインのグウィネビア@わかばちゃんは、ヒロインが納得の美しさ。
 ああ、少女マンガだなあ、この子。となみちゃん系っていうか、美貌だけで他のすべてを乗り越える感じ。

 わかばちゃんはなんつっても鼻が好きです。華ではなく、鼻。
 男も娘も含め、凹凸のない横顔ばっか抜擢されている昨今、こーゆー舞台映えする立体感あふれる顔立ちの美少女にわくわくする。
 とくにうまいわけではないけれど、ヒロイン力で乗り切ってくれればヨシ。

 とはいえ、あまりうまくない主人公とヒロインってのは、あちこち技術が不協和音。
 がんばれがんばれ。

 そして、技術だけではないのが「タカラヅカ」。
 『ランスロット』は美しい物語。
 マカゼ、みっきー、わかばちゃん、彼らだからこその『ランスロット』。
 うるさすぎる芸風のアーサーと、表現力の乏しいランスロットとグウィネビアにやきもきしつつも、それを愉しむ。


 生田せんせのいいところは、いろんな役を作れることだよなあ。
 ヒロインに対する恋敵、恋愛面でのライバル関係として主人公と2番手があり、実際の敵として3番手を配置する。

 モルドレッド@キキくん、いいなあ。
 まるまるとオンナノコっぽすぎて残念な顔立ちを、ダークなメイクで底上げし、なんとも耽美な悪役になっている。
 でもって彼、ふつーにうまいわー。
 このメンバーの中だと、安定してうまいのがよくわかる。
 台詞の聞き取りやすさは、若い子たちの間では、みっきーとキキが双璧だな。

 モルドレッドの狂気と悪意、それが台詞とは無関係に発せられていて、ゾクゾク。

 で、主人公の友人であり同僚である騎士たち。
 ガウェイン@麻央くんが、すげー柄に合っている。なんつーんだ、モロ体育会系っ!っていうか。あー、いるいる、こんな男子。
 でかくて繊細さに欠け、単純で、悪意はないけど自分勝手で。
 ランスロットを認めるくだりの潔さと、敵に回る短絡さ、どれも納得。
 麻央くんはあいかわらずまったくうまくはないんだが、この子がこの役なのはわかる。
 ジャイアンっていうのはやっぱ、花形キャラなんだ。地味な人がやってはいけないキャラクタなんだ。
 華は十分だから麻央くん、キレイになって欲しいなあ。うまくもなってほしいけど……(笑)。

 美貌といえばやっぱこの人、ボールス@汐月くん! かっけーかっけーかっけー!
 とにかく目立ちまくる、そのイケメンさ。
 あと、このメンバーの中では声がイイ。ちゃんと男役の声で話しているのがポイント高い。
 弟ライオネル@レイラがまた甘い美貌で、なんつー眼福な兄弟。
 最後、ふたりが対立し、兄弟対決になるのがまたたまらん。てゆーか勝つの弟なんだ、兄の喉元に剣を突きつける弟、兄ののけぞった首からアゴのラインが美しい……。(真ん中も見ろよ)

 で、主人公の恋敵にも親友がいる、のがいいよね。
 アーサーの腹心・ケイ@千寿はるくん。最初のお忍び参加の祭場面、アーサーと画面外でいちゃついてるのがかわいい。
 横顔と正面顔が違いすぎてびっくりする千寿くん、それでも甘い雰囲気がキラキラしててステキ。
 こーゆーいかにも弱そうな(失礼)優しい風情の騎士が、アーサーのそばにあるのは、いいコントラスト。
 こんな優しい人を親友にしている恋敵くんは、人間的にも良い人だって、説明しなくても感じられるよね。そーゆー意味でも「友だち」って大事。どんな人とつきあっているかで、そのキャラの人となりがわかる。

 主人公とその恋敵。
 その周辺だけでも、こんだけ男たちに役がある。他にもいろいろあるし、バウでこれなら上出来、すごいことだよー。
 みんなやり甲斐あるだろうな。

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