アーサーは、いいキャラだよな。

 さすがはキング・アーサー、多面的に面白いキャラクタだ。

 ぜんぜん語り足りない、『ランスロット』のこと。
 ああまったく、わたしのこの作品大好き(笑)。←笑うのか。

 アーサー@みっきーは言う。
「王である前に人でありたい」と。
 繰り返し繰り返し、そう歌う。

 そう切実に願い続けた男が、たったひとつの愛、最愛の妻に対して下した決断は、「私はキャメロットの王だ」……人であることより、王であることを、選んだ。
 その哀しさ。

 それは彼が、自分の意志以前に「王になる宿命」を与えられたモノであるということとリンクする。
 聖剣エクスカリバーを抜き、彼が王となった。
 彼がエクスカリバーを征して王になったのではなく、エクスカリバーが彼を選び、王にした。
 与えられた宿命、決められた運命。

 グウィネビア@わかば、モルガン@あんるがそれぞれ親から「宿命」を植え付けられとまどうオープニングそのままに。

 宿命に屈さず、より自由に高みにのぼろうとしていたアーサーは、ひたすらキラキラまぶしい。
 ランスロットが思わずひざまずいてしまうほどの魅力を持った青年。
 実力と人望を持ち、仲間たちに囲まれ、夢を夢で終わらせず確実にカタチにしていく。
 それはどれほどの吸引力。
 男子が憧れる、男子の姿(笑)。
 だからこそアーサーは野郎どもにきゃーきゃーかしずかれている。

 そんな彼がなんでああまで転落したのか、実際よくわかんない。
 モルドレッド@キキの悪意があったとはいえ、人望総崩れなのが極端だ。(円卓の騎士の選抜基準もよくわかんないんだけどねー。なんでモルドレッドは仲間入りできたんだか)
 もしアーサーに変わらず人望があるなら、騎士たちはグウィネビアに死刑判決は出さなかったはずだ。グウィネビアの罪が罪だとしても、敬愛するアーサーが彼女を許したいと思っているなら、そのキモチを尊重したはず。
 グウィネビアを殺そうとするのは、騎士たちによるアーサーへの謀反だろ、アレ。アーサーいじめだろ。
 王らしくあるために、妻よりも国を取れと、諭す意味でなんて誰も行動していない。個人の腹立ちから「いやがらせ」をしているように見える。それがアーサーにではなく、遠征失敗の責任をなすりつけているランスロットに対してであったとしても、それによってアーサーを傷つけてもいいと思っているあたり、騎士たちは人として終わっている。
 それが全部モルドレッドの妖術だとでも言うの? モルドレッドどんだけ便利キャラ。

 聖杯奪取遠征が失敗だったことはわかる。
 だがそこからの円卓の騎士たちの言動が、ヒステリックでよくわかんない。
 グウィネビアの不義に関しても、冷静な裁判ではなく集団ヒステリーのまま最悪の結末になだれ込むため、騎士たちの個のキャラが崩壊している。
 「人間なんてそんなものさ」というより、ただの筆力不足に見えるんですが。

 辻褄の合う合わないは置くとして、とりあえず作者的にはアーサーに「私はキャメロットの王だ」と言わせ、愛よりも王であることを選ばせたかったんだな(笑)。

 んで、ここまでいいんだ。
 「王である前に、人でありたい」と願い続けたアーサー。
 なのに彼は、結局王であることを選び、人であることを捨てた……そうするしかできなかった……。

 しかし。
 このあとがいけない。
「ランスロットにグウィネビアを助けさせる」
 えーと?
「そーすると、戦争になる」
 えええ?

 国を守るために、不義を犯した妻を斬り捨てた、んだよね?
 妻より国を選んだんだよね、王として。
 なのに、妻の命を助けるために戦争起こしたら、意味ないじゃん。

 それなら最初から、国よりも妻を選んでおけよ、それなら誰にも迷惑かけないよ、「王様はダブスタだよなー、法律決めておいて、自分だけは破ってもいいんだ」と後ろ指さされるだけで済んだのに。
 戦争になって、人が死ぬのより、その方がぜんぜんいいのに。

 処刑するはずの王妃が元騎士団長とその仲間に奪われたのなら、そりゃ王様としては面子に懸けて追討軍を指揮するしかない。
 アーサー軍とランスロット軍、キャメロットを戦禍と混乱に落としてのガチ戦スタート。
「次に会うときは敵同士だ」とか、男子が大好きな台詞を言い合うアーサーとランスロット。
 いやいやいや、ソレおかしいから! そんなことになるのなら、最初からグウィネビアを無実にしておけっつーの! より王としておかしいだろその行動!

 で、戦場で一騎打ち、「さあ、殺せ」「私にアナタは殺せない」とか、これまた男子が大好きなやりとりをして、最期は腕の中。

 生田くんの中二病ぶっちぎりぶりに、アタマ抱えてきゃーきゃー恥ずかしい悲鳴を上げたくなります(笑)。

 そーゆー、「萌え場面、萌え台詞をやりたかっただけ」にしろ、アーサーは、いいキャラなの。

 恥ずかしい方向に花開いちゃってるから大変だけど、それでも当初のテーマ、「王である前に、人でありたい」とあがくアーサーはステキなのよ。

 彼が抱える屈折と鬱屈、それでも彼が持つ本来の輝きは、実に興味深いものなのよ。

 聖杯ヨセフ様@ちーくんがランスロットLOVEでつきまとっていたように、アーサーにだってマーリン@れんたがいるもんね。
 マーリンは人間たちのアレな部分をわかった上で、アーサーのアレな部分も理解した上で、それでも立ち上がるアーサーを愛しているの。

 それでわたし、勝手に想像しているの。

 マーリンは、満月の夜だけ、美しい青年になるの(笑)。

 いつもはあの通り、白髪白髭のおじーちゃん。でも満月の夜だけ本来の姿、若く美しい青年になり、……でも中身はあのまんまで、アーサーのそばにいるの。

 アーサーもそれはもう慣れっこだから、振り返ってマーリン青年バージョン(ヒゲ無し・笑)でも「ああ、そういや今日は満月だっけ」と思うだけ。
 マーリンも自分の外見なんか気にしてないから、ふつーにお説教したりうんちく垂れたりしてるの。

「ずっとそのままでいればいいのに」
「なんだ、気になるのか」
「いや。どっちでもいいんだけどな。そばに、いてくれるなら」
「じゃあ、どっちでもいいじゃろう。そばに、いるんだから」

 って、そんな会話。

 青年でも、じじいでも。

 アーサーいいよなー。
 みっきーのあの、いろいろとやりすぎちゃって、ちょいわざとらしい(笑)芝居ごと、愛しくてならない。

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