『ROYAL STRAIGHT FLUSH!!』がつらい原因のひとつに、耳にやさしくない、というのがある……(笑)。

 トップスターのキムくんは歌ウマ、まかせて安心の人だ。彼がセンターにいる限り、耳にやさしい公演になるはず……が。

 今回はそうでもなくて。

 というのも、彼がどーんと歌い上げる系の作品ではないためなんだ。

 いつもがちゃがちゃしているショーで、キムくんが真ん中どーん!になっていない。たとえば星組みたいに、切っても切ってもれおんくん、歌ウマれおんくんがひとりで何人分働いてます!歌ってます!という作りではない。

 キム体制になってから、『ロミジュリ』『ロック・オン!』『H2$』と、キムが真ん中どーん!のショーやフィナーレしか見てこなかった。
 1本モノのフィナーレなんてもんはほんと、トップ以外ろくに出番がなくてとーぜんだしな。『ロック・オン!』は前トップ退団公演まんまだからやはりトップにしか見せ場がないよーな作りだし。

 おかげで雪のショーってのは、キムが歌いまくって耳は安全、という印象が強く残っていた。

 しかし、本公演での初のショー作品、『ROYAL STRAIGHT FLUSH!!』。
 キムくんとちぎくんが、ほぼ交互に出てきて歌う。ショーの歌場面をトップと2番手で二分している勢い。
 しかもがちゃがちゃうるさいショーなので、トップがひとり、腰を据えて1曲しみじみ歌い上げることもない。
 出番が半々だったら、その、耳に優しくない歌声の方が印象として勝つというか、よかったことより「うわっ」と思うことの方が強く感じてしまう人間の生理というか。
 なんかすごくたくさん、ちぎくんの歌を聴いた気がする……。

 そしてさらに、トップと2番手の次にたくさん歌うのが、ヲヅキさんだ。
 ヲヅキがもー、歌う歌う(笑)。
 狂言回しとして、幕開きから本編のシメの部分まで、大活躍だ。
 これがなかなかキツイ(笑)。

 芝居歌なら、ちぎくんもヲヅキもぜんぜんいいんだけどなあ。
 ショーとして聴くとなんでこう大変なことになるのか。

 んで、女の子たち、トップのみみちゃん、2番手のあゆっちもまた、歌がすごーく大変そう。
 みみちゃん一時期歌うまくなっていたのに、またしても元に戻っているような。

 みみちゃんは芝居だけを徹底的にお稽古するときれいな歌を歌えるのかな。
 ショーでごちゃごちゃしたままだと、歌えなくなっちゃう?

 トップから男3人、女の子ふたりのたくさん歌う5人のうち4人が歌大変!レベルだと、そりゃ耳にやさしくない公演になるわ……(笑)。

「雪組って、『ロミジュリ』やった組だよねえ」
「えーと、こんな歌唱力だっけ……?」
 と、終演後に友人とアタマを抱えた。

 芝居歌ならいいんだよみんな! 丁寧に丁寧に、心を乗せて歌っている。
 ショーはそれどころじゃないっていうか、他にやること多すぎて、歌だけに集中できないのかなー。
 芝居は「演技力」「芝居心」が歌にプラスアルファされるけど、ショーではその人個人の「歌唱力」が問われるからなあ。

 がおりとさらさが歌い上げる場面、あそこだけですよ、歌が聴けるのって。
 キムくんはあのレベルでしっかり腰を落ち着けて歌う場面がナイのな。

 歌ウマトップのショーお披露目なんだから、オサ様公演ばりに、トップがしみじみと歌を1曲聴かせてくれる場面が欲しかったっす……あまりにがちゃがちゃノイジーな作りの1本なんだから、どこかに1箇所、腰を落ち着ける場面がさぁ……。

 個人的には、キムくんに『TRAFALGAR』やらせたのを、「サイトー、ちょっとソコ坐れ!」と思ってます(笑)。ゆーひさんを思わせる衣装を着せるのは、デリカシーなさ過ぎだろうと。
 サイトーくんほんと、自分の趣味優先で、キムのことも雪組のことも考えてくれてないのかなあ。しょぼん。

 ちぎくんのいちばんの見せ場が、バド@『H2$』みたいなおちゃらけシーンというのも、なんだかなあ。
 あれほど正統派に美しい人に、滑稽に、しかも忙しく歌わせるっていうのは……。

 みみちゃんのアリスもカツラや衣装がえーらいこっちゃ!だし。お色気系に変身ってのも、みみちゃんの持ち味とはチガウし。

 なんでこう、得意分野や持ち味をスルーした作りなんだこのショー。

 そしてもちろん、まっつに歌がほとんどナイことも、物申したいです(笑)。
 まっつの番手や立ち位置のことは劇団が考えること、劇団が番手をつけたくないというのなら仕方ない。いや、ぜんぜんうれしくないし、哀しいんだけど。
 でも、そーゆーわたし個人の思いはともかくとして、1観客として、歌ウマの歌を聴かせろと、思う。
 番手のあるスターとしてではなく、別格職人でもいいよ、歌えるんだから歌わせようよ。
 適材適所、歌える人が歌う、それだけのことじゃん。
 他組を見ても、組ファン以外が「誰アレ?」っていう人でも、歌ってるじゃん。歌える人が。

 まあ、サイトーくんが、まっつが歌える人だというのを知らなかった可能性もあるがなー。
 ほら、中村Bがオサ様退団公演に、歌の場面でではなくダンスソロ場面を与えたように、オサ様が歌ウマだって知らなかったわけじゃん? あんだけの期間を務めたトップスターの得意分野と苦手分野を知らなかった座付き演出家のいる劇団だもん、まっつごときの得意分野をサイトーくんが知らなくても仕方ない。

 キムくんと、あとはコマにがんばってもらうしかないか……このショーの歌は。
 いやほんと、耳にやさしくないのがつらいです(笑)。


 ところで、ほんの一瞬だけある「ドリーム5」とやらの場面。
 特撮戦隊モノのノリでそれぞれが銀橋で名乗りを上げるわけだが、そこの台詞をしっかり知りたい人は、「プチミュージアム」へ行きましょう。
 まさにそこの台本が置いてあります。
 ええ、台詞として書いてあるんですよ、あの恥ずかしい名乗り部分が。

 サイトーくん、コレ自分で考えて書いたんや……(笑)。

 ドリーム5の台詞を読む限り、サイトーくんがこの5人のイメージを間違って受け取っているとは思えないんだがなー。
 ちゃんと愛情はありそうなんだがなー。

 全体として、なんでこんなショーになっちゃったんだか。

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