突然の南国音楽とクラゲの映像に茫然としたあと、舞台の雰囲気は一気に変わる。
 暗闇の中にぽつんとライトが点り、剣が浮かび上がる。
 登場するのは白尽くめのフィリップ@キム。
 彼はサーベルをその場で転がし、床に円を描いてから、それを握る。
 サーベルを使った、静かなダンスがはじまる。

 なんて美しいシーン、美しいキムラさん……と、ぼーっと見とれていちゃいけません。サーベルダンスがはじまったら、上手をロックオン!

 上手の回転壁から、忍者みたいにばたん、とアトス様@まっつが登場します。
 いつもの……ってゆーか、ソレしかないのかもしれない、一張羅姿。ただし。
 ここで、着替えをする。

 三銃士の、黒いマント。

 なっま着替え! なっま着替え!!

 わざわざ見えるところで着替えるアトス様!!
 マントとロングベストが一体化したよーな、オープニングで着ていたアレ。
 背中に十字架、裏打ちは赤。

 客席に背中を向けて着替えるアトス様は、マントを着込んだあと、長い髪を手ですくって、マントの外に出す。この仕草が……っ!!
 いやはやごちそうさま。
 なんつーサービスっぶりだ。

 『仮面の男』のアトス様語り、ラスト。

 着替えを終えたアトス様は壁にぶら下げてある剣を2本取り、1本は上手袖から登場したアラミス@きんぐへ渡す。アラミスはもう着替え済み。
 剣を渡すときのアイコンタクト。戦いへ赴く男同士。

 同じように下手ではポルトス@ヲヅキが着替えをしているらしい。見たことがないのでよくわからないが、ポルトスもきっと彼らしく着替え、ファンの目を楽しませていることだろう。
 演出の都合上、アラミスはナマ着替えナシ。てゆーか別に舞台上で着替える必要はないので、これはファンサービス。ありがたい。

 三銃士としての正装に身を包んだ彼らは、中央のフィリップと合流、頭上高々と剣を合わせ、「三銃士」の決まり文句「ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために」を唱和する……フランス語で。
 わたしはちゃんと日本語で言って欲しかった派だ。せっかくの有名キメ台詞なのに。

 4人の背後は大階段。
 ダルタニアン@ちぎを中心に、ルイの手下たちが勢揃い。

 ここから長々と戦闘シーン、フェンシングです。
 サーベルが長くてかっこいいぞ。ぶっちゃけ、ちっちゃなまっつに不釣り合いなほど剣は長い(笑)。あんな長い物をあの身長でよく鞘から抜き差しできるよなー、と毎回思っていた。(失礼な)

 みんなそれぞれ立ち回りに忙しい。
 アトス様の敵は主にロシュフォール@せしる。大階段上で、スローモーションでの戦い。
 かっけーかっけーかっけー。
 ってことで、アトス様ばっか見ているので他がどうなっているのか、いまいち把握していない(笑)。
 位置的にはセンター。三銃士の真ん中だから。

 階段を降りて、アラミスと背中合わせになるのもいい。
 背中合わせ!は男のロマンだわねええ。

 んで、戦いながらわーっとはけていく。

 混戦の最中、ダルタニアンと一騎打ちになるのはポルトスだけど、もしもこれがアトスだったら、彼は最初から一切戦わないのかもなと思う。
 アトス氏は最初から最後まで、一貫してダルタニアンを信じている様子なので。


 ダルタニアンとロシュフォール、ルーヴォア@ひろみの戦いが決着したあと、再度舞台にみなさんがわーっと戻ってくる。
 アトス様はここで最後の登場。
 仲間の命乞いのために犠牲になるというフィリップのくだり。台詞もろくになく、傍観するのみ(笑)。

 愉快なのは、あっけなく心変わりしたダルタニアン。
 悪党ルイ@キムに剣を向けた彼は、ルイを捕らえる相手として、迷わずアトス指名。

 何故アトス。
 つまりダルタニアンには、説明不要で自分の命令に従ってくれる部下が銃士隊にはいないらしい。
 敵対していた元三銃士より、ふつーは部下に命令するよね? でも、国王を捕らえる、というとんでもないことを任せられるよーな信用できる部下は、いない。だから事情を飲み込んでいる元三銃士に託すしかなく、その中でもリーダーのアトスなわけだ。
 ダルタニアン、人望ナイんや……。サンマール@コマはダルタニアンのシンパらしいけど、なにしろ彼はナニかとアレな人だし? いざというときは頼れないらしいよ?

 てことでご指名受けたアトス様。
 なんか命令されて動く下っ端みたいですが。ほんとに瞬時に迷いなく、名前呼ばれただけでなにをすべきか理解している。……すげえな。

 でもダルタニアン、この人選ってどうなのよ?
 というのもだ。
 アトス様は、ルイに吹っ飛ばされそうになっている。
 アトス、非力……。
 アトスVSルイはこれまでもあったけれど、素手で剣を持ったルイに対峙し、ルイから剣を奪って言うことを聞かせたり、していたけれど、純然たる腕力勝負になると、ルイ以下なんだ、アトス……。
 ひとりでは暴れるルイを抑えきれず、必死になってポルトスを呼ぶアトス。
 ポルトスとふたりがかりでルイを押さえ込み、仮面を付けることに成功。

 剣を使えば無敵だけど、乗馬も泳ぎも任せろ!だけど、非力で、わがまま王様ごときにも負けちゃうアトス。
 ナニその萌え設定。
 剣の腕ゆえに銃士隊で活躍してきたけど、腕力は弱いから、男たちに簡単に組み伏せられちゃったり、強引に自由を奪われて「離せ!」とか言ったりしちゃうタイプなわけだ。
 まあ、あの華奢さからは想像つくけど、こんなBL的テンプレ設定の美青年ってすげえなヲイ(笑)。

 ダルタニアンは終始えらそーなままなので、アトスとダルタニアンの力関係は謎なままでした。原作ではアトスが大人でダルタニアンが少年のところからスタートだから、ふたりは対等ではないっていうか、アトスの方が立場が上、のイメージあったからなー。
 長年のつきあいで、もう年の差も立場も関係なくなっているにしろ、基本的な立ち位置は変わらないと思うんだが、そのへんはまったくわからなかった。

 なんにせよ、改心したダルタニアンにアトスはにっこり、「信じていた」。
 初日直後あたりはもっと重々しかった台詞だけど、後半からはふつーににこやか。
 アトスさんは「俺は脇役であって、主役じゃないし」と、とってもわきまえた芝居になっていった気がする。シリアス全開にしちゃうと中心人物になっちゃうよなあ、ラウル@翔くんの件がアトスにはあるわけだから。

 ラストは晴れ晴れとした「ひとりはみんなのために」。
 剣を三銃士+ダルタニアンで合わすわけだけど、位置がうれしい。アトスは上手端。
 かざすのが右腕ということもあり、向かって右端に立つアトスだけが、障害物ナシで顔が見えるの。きゃっほう。

 このキメポーズのままライトが落ち、盆が回っていく。
 ライトが落ちると、まっつの顔立ちの美しさがまたしてもよくわかりますよ。ええ、陰影がアニメ的ですから。……ってことで、見えなくなるまで見送ります。盆より先に光がなくなって見えなくなる感じかな。

 2007年から、実に丸5年続いた黒髪歴に終止符を打った公演、そして役。
 アトス様は美しい人です、ええ。

 ……もっとちゃんと、ドラマを描いてくれればなああ。

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