悪役は世界征服を歌うべきだ(笑)。@オーシャンズ11
 ゾロ目が並ぶとうれしい小市民。
 2011年11月11日、『オーシャンズ11』に行ってきました。

 上り調子の組ってすごいやね。びっしり埋まった駐車場、人であふれたロビー……なんかなつかしいタカラヅカの雰囲気(笑)。
 初日に立ち見が出てるなんて、近年のムラではめずらしい光景だもんなあ。

 タカラヅカが活気づくことは、単純にうれしい。

 んで、『オーシャンズ11』。
 映画観てません、予備知識ナシ。映画は予告編見ただけで「本編見なくてもおなかいっぱい」になったクチです、はい。

 第一の感想は。

 ねね様の脚っ!!!

 第二の感想は。

 ……原作付き? チガウよね、これ、イケコオリジナルだよね?

 でした(笑)。

 ダニー・オーシャン@れおんが、悪者金持ちテリー・ベネディクト@ベニー経営ホテルの金庫から、大金を盗み出す計画を立てる。ひとりじゃ無理だから、仲間を集めて全部で11人で計画実行、「オーシャンと10人の愉快な仲間たち」というのがタイトル。
 でもダニーの目的は金じゃなくて、ベネディクト氏とラヴラヴになっちゃってる妻のテス@ねねちゃんを取り戻すこと。ベネさんの悪の顔を暴いたら嫁さん戻ってくんじゃね?てな。
 悪者に天誅を、とゆーか、なにしろ悪者なのであちこち恨み買ってるし、仲間は集めやすい……てゆーか、10人はやっぱ多すぎっつーかバランス悪いなあ、敵もそれなりに人数いるし、まさかの登場人物紹介だけで1幕終了。
 まる1幕かけてキャラ紹介したんだ、2幕はどんだけ盛り上がるのかと思いきや、えーと、まあその、結局ダニー以外大して見せ場なく作戦完了、オーシャンズ11チームが勝利してハッピーエンド。えええ。

 幕間からすでに、
「ねえコレ、『LUNA』? 『LUNA』だよね?」
「ベニーがリカちゃんで、ねねちゃんが檀ちゃんだよね?」
「エコエコ言ってるのが、檀ちゃんの調査調査にあたるのよね?」
 と、意見出まくり、なつかし語りに突入する、ヅカヲタ歴フタ桁軽いわな人たち……(笑)。
 『LUNA』に限らず、今までのさまざまなイケコオリジナルまんまっす。

「イケコ……フラストレーション堪ってたんだろなあ」

 『ロミジュリ』だけじゃ足りなかった模様。ネットでサイバーで携帯電話でエコでNPOでヒップホップですよ。イケコオリジナル必須条項全部詰め込んでストレス解消、やりたかったんだね、いつものイケコ世界。

 小池せんせのやりたい放題完全オリジナルって、『MIND TRAVELLER』が最後? そのあとに『アデュー・マルセイユ』はあったけど、トップサヨナラという縛り付きだったから、完全フリーは『マイトラ』だよね。
 『MIND TRAVELLER』、感動的に売れなかったもんね……小池先生自らテーブル出してチケット取り次ぎしてたくらい、大変だったんだよね……そのおかげで、もうオリジナル書かせてもらえなくなって、ネットでどうこうケータイでどうこうっつー話が書きたいのに無理だから、原作付きでやっちゃうんだね……。

 や、映画『オーシャンズ11』にもハッカーは登場するけど、星組の『オーシャンズ11』とは色合いがチガウ、結局のところイケコオリジナルだよコレ、と原作映画も観たし、「人生でいちばんたくさん観た公演は『LUNA』。ムラ東宝博多制覇」という剛の者がニラニラ語る。


 ということで、物語的には、「原作がある分破綻していないが、その分盛り上がりに欠ける、イケコオリジナル作品」って感じです。

 イケコオリジナルは破綻しまくりで馬鹿馬鹿しいことこの上ないけど、とりあえず、派手だ。

 なにしろマッドサイエンティストが出てきておかしな機械をバチバチさせ、悪役2番手が「世界征服」を歌う。

 主人公とそのチームが挑むのは、地球の命運が掛かった大作戦だ。

 個人レベルの悪党の私財を盗んで終了とか、そんな地味な話では、絶対ナイ。

 イケコオリジナルがいいとはぜんぜん思わないけど、イケコらしさを押さえ込んで破綻させない話にしたら、こんなに地味になるんだと、そこが新しい発見でした。
 やっぱ悪役は世界征服ぐらい、ぶちあげなきゃなー(笑)。

 「仲間集め→悪者と闘って勝利→囚われのヒロインを助け出しハッピーエンド」という1本モノで、直近では『太王四神記』を観ている。
 同じ軸であるだけに、『オーシャンズ11』の地味さはよくわかった。服装が所詮現代スーツだし、なんといっても戦闘シーンがない。
 仲間も敵も全員揃ってバトル!てな場面がなく、それぞれ個別にごちゃごちゃやっていて、スクリーンにアップになるわけでもない舞台というジャンルである限り、11人も主人公チームがいるとすごく散漫。個人の活躍はほんっとに少ない。
 まる1幕かけてキャラ紹介しておいて、この尻つぼみ感はいったい……! てな残念さ。

 あっちを尖らせばこっちが引っ込む、すべて良くはならないもんなんだな。
 派手にすると破綻するし、ブレーキ踏みつつ走れば事故らないけどスピード出ないし。
 破綻しない、あるいは多少の破綻なんかぶっ飛ばすような派手派手演目は、出来ないものなんだろうか。


 と、なんかアレなことをいろいろほざいていますが。

 面白いよ。

 『LUNA』のときより、小池せんせの演出技術が上がっている以上、焼き直しをするにしても、演出が良くなってる!!
 しかも、イケコのトホホなセンスを、「原作付き」という縛りが押さえ込み、スタイリッシュ。

 お金も掛かっているので舞台豪華だし、役が多いし、舞台上にいろいろごちゃごちゃ登場しているし、とにかく楽しい。

 四の五の理屈は置いておいて、わくわする。
 もう一度観たくなる、エンタメはこうでなきゃね!感覚。

 ハリウッド映画の大味さと、タカラヅカの大衆性は、実は相性いいのかも? いやいや、そうだとしてもそれだけではない、イケコの演出手腕、そしてキラキラした星組メンバーの力あってこそ。
 たのしいなー、まいったなー、わたしもうお金ナイのになー(笑)。

 ねねちゃんの美しさも一見の価値有り。
 これでもかと美脚強調ドレス。

 れおんくんがかっこいいのは言うまでもなく。

 ちえねね! ちえねね! と拳振って喜んでまつ。わーん、ちえねね好きだーー。


 ……『MIND TRAVELLER』も、今のイケコとこの予算で、大劇場で再演したら、これくらい格好良くなるのかなあ? と、考えてしまいました……いや、あんなの再演なんて一生なくていいですが(笑)。
 駄作だったけど、出演者のファンは見どころが多くてリピート可の作品だったのよ、『MIND TRAVELLER』。ざっつイケコオリジナル!

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