ただの好色から牢獄へ。@仮面の男
2011年11月18日 タカラヅカ「で、あゆみちゃんの別の顔って、ナニ?」
「……さあ?」
という会話がかわされました、『仮面の男』東宝版の演出変更。
「ルイの悪趣味」という場面のはずが、ただの好色、ふつーにいくらでもあり得る範囲の話になった、元人間ボウリング場面。
差し替えられた場面は地味で台詞による説明ばかり、ひとこと台詞のために順番に前に出ます演出で、どこの植爺かスズキ・ケイか状態。
若手男役たちの出番は総じて抑えられ、キャストを眺める魅力も半減。
つまらなくなったこの場面、唯一良かったことは、短くなったことだ。
いやあ、何度も語ったが、「人間ボウリング」でナニがいちばん嫌かって、長いことだったもんよー。
面白くないのに、くどくどくどくど長かった。すべったギャグを何分も続けられる芸人ライブみたいなもん? ねーこれまだやるの、早く次行ってよー状態。
どんなにつまらない場面でも、短ければ許せるってこと、あるじゃん?
しかしそれがえんえん続くとなると、すげーストレス。
この場面は長い、辟易するほど長い、と覚悟していたため、さっさと終わったことにびっくりした。
えっ、もう終わり?! みじかっ。
……助かる。それってすごく、助かるわ。ライトユーザーがどう思うかはともかく、ヘビィリピーターには、すごくやさしい変更だ。
出演者に含みはない。長くて退屈でも、雪組っこたちの姿を、がんばりを眺めていることは出来た。てゆーか、ムラではそれだけで耐えきった。しかし、趣味に合わないただ長い場面は辛かった。
で、そのなんの工夫もない人数任せの場面、こだまっちの大好きな「醜い争い」とやらを繰り広げる女たちの中、マントノン夫人@あゆみちゃんが楚々と進み出てくる。女遍歴を説明していたルイ@キムが、「彼女には別の顔が……!」と、いかにも「引き」という感じで張り上げるのでナニがあるのかと期待したんだが。
ナニもない。
ムラ版の勝者@あゆみちゃんとルイのダンスにつながるだけ。
一応、おとなしそうな彼女が、「別の顔が」で髪を跳ね上げるよーに手で肩から払って、堂々とルイの前に出てくる……ので、「昼は淑女、夜は娼婦」的な意味だと思う。
しかし、弱い。
髪をぱさっと跳ね上げただけだもんよ。
『ファントム』の白鳥→黒鳥の変身くらいやってくんないと、わかんねーよ。台詞による引きのあと、ただデュエットダンスになるだけじゃあ拍子抜け。
マントノン夫人がルイと同等以上の強さ、淫らさで踊るならともかく、あくまでも「好色なのはルイ」という設定(トップスター2役ゆえの、黒い演技を見せる場面)である都合上、マントノン夫人はルイに振り回される立場になる。
こんなの、「別の顔」でもなんでもない。ふつーに淑女なだけ。
よーするに、ムラ版の切り貼りだから、東宝版とのつなぎ目が粗いってこと。
東宝版で「別の顔が」と言いながら、つながる先はムラ版のふつーの淑女とのデュエダン。ふつーじゃいかんやろ、ふつーじゃ。「淑女には別の顔が」と解説したんだから、別の顔を見せろっつの。
キムくんとあゆみちゃんのダンスはムラと同じだけど、この周囲で踊る人々は変更。
人道的・倫理的に相当やばかったキャスター椅子による小びと淑女ダンスは全カット。
マントノン夫人とルイを冷めた目で見つめる淑女たちがずらりと並んだあと、ふつーの男女のデュエットダンスになるあたりが、こだまっちの抵抗かな。新公では単にキャスター椅子だけ使わない演出だった。意地でも新公と同じことはしないんだ(笑)。よっぽど新公の演出変更は屈辱だったんだろう。
クチビルソファーやキャスタードレス淑女のくだりは変更無し。だからマントノン夫人は特にナニもしないままいなくなる。
ルイーズ@みみ登場の矢印も健在。クチビルパペットもそのまま。
そして、『H2$』はまるっと変更無し。著作権はOKだったらしい。←問題があったら変更されてるだろう。
次に変更があるのは、「王はすべてお見通し」のラウル@翔くん捕縛から。
ムラ版ではミレディ@ヒメの催眠術で膝を折ったラウルは、兵士(看守)に引き立てられ、早々に舞台から消える。
が、東宝ではいつまでも舞台にいる。
銀橋でルイーズがルイにラウルの無実を訴え、「侍女になれ」と迫られる場面になるが、その背後、本舞台にまだラウルと兵士がいる。抗うラウルを殴り倒して、無理矢理連行する兵士たち。
そのまま場面は牢獄になる。疲れ切った顔の囚人たちの間を、「僕は無実だ」と叫びながら、ラウルが連行されていく。
ここの変更はいいと思う。
ムラ版ではラウル捕縛から収監、脱走の流れが不明だった。いや、実際の時の流れが不明なのは変わらないが、舞台上の流れは正しくなる。
ちなみにムラ版では、催眠術をくらって連行されたはずのラウルは、長い長い大囚人ナンバーのあと、観客が存在や本筋を忘れた頃に再登場。
看守「逃げられました」、サンマール@コマ「バカ、まぬけ」のやりとりの中、ラウルくんはおしゃれな羽根飾りの付いた帽子姿のまま牢獄をフラフラして、「仮面の男」の素顔を目撃してしまう、という演出だった。
ルイーズが「彼は無実です」と国王に陳情できるくらい、何日か経っているだろうに、捕まったときと同じ姿で牢獄をフラフラしているなんて、なんだそりゃ、でした。「ラウル捕縛」「ルイーズ陳情」「ラウル収監」がそれぞれ別の場面のぶつ切りであるために、時間経過が一層変だったの。東宝版は「ラウル捕縛~収監」がひとつの場面として続いているし、その間に平行して「ルイーズ陳情」があるため、なめらか。
そしてなんといっても、大囚人ナンバーが、ナイ。
これは全カットされるだろうと期待していたが、本当にカットされた。
ひどい場面だったけど、そこで活躍していた生徒たちに罪はない、出番や見せ場を削られてしまった人たちは残念だったとは思う。
悲鳴オーケストラメンバーがうなだれて坐っているだけ、彼らもすぐに退場。ただの「牢獄ですよ」というデコレーションとして扱われた。
そのデコレーションのためだけに、気合いの入った変ヘアを作ってくれたにわにわ乙!
大囚人ナンバーはなくても本筋にまったく問題なし。囚人たちの見せ場はカットしてもいいが、コマの見せ場をカットするわけにはいかない。
ということなんでしょう、看守長サンマールはムラ版とは別人になって登場(笑)。
続く。
「……さあ?」
という会話がかわされました、『仮面の男』東宝版の演出変更。
「ルイの悪趣味」という場面のはずが、ただの好色、ふつーにいくらでもあり得る範囲の話になった、元人間ボウリング場面。
差し替えられた場面は地味で台詞による説明ばかり、ひとこと台詞のために順番に前に出ます演出で、どこの植爺かスズキ・ケイか状態。
若手男役たちの出番は総じて抑えられ、キャストを眺める魅力も半減。
つまらなくなったこの場面、唯一良かったことは、短くなったことだ。
いやあ、何度も語ったが、「人間ボウリング」でナニがいちばん嫌かって、長いことだったもんよー。
面白くないのに、くどくどくどくど長かった。すべったギャグを何分も続けられる芸人ライブみたいなもん? ねーこれまだやるの、早く次行ってよー状態。
どんなにつまらない場面でも、短ければ許せるってこと、あるじゃん?
しかしそれがえんえん続くとなると、すげーストレス。
この場面は長い、辟易するほど長い、と覚悟していたため、さっさと終わったことにびっくりした。
えっ、もう終わり?! みじかっ。
……助かる。それってすごく、助かるわ。ライトユーザーがどう思うかはともかく、ヘビィリピーターには、すごくやさしい変更だ。
出演者に含みはない。長くて退屈でも、雪組っこたちの姿を、がんばりを眺めていることは出来た。てゆーか、ムラではそれだけで耐えきった。しかし、趣味に合わないただ長い場面は辛かった。
で、そのなんの工夫もない人数任せの場面、こだまっちの大好きな「醜い争い」とやらを繰り広げる女たちの中、マントノン夫人@あゆみちゃんが楚々と進み出てくる。女遍歴を説明していたルイ@キムが、「彼女には別の顔が……!」と、いかにも「引き」という感じで張り上げるのでナニがあるのかと期待したんだが。
ナニもない。
ムラ版の勝者@あゆみちゃんとルイのダンスにつながるだけ。
一応、おとなしそうな彼女が、「別の顔が」で髪を跳ね上げるよーに手で肩から払って、堂々とルイの前に出てくる……ので、「昼は淑女、夜は娼婦」的な意味だと思う。
しかし、弱い。
髪をぱさっと跳ね上げただけだもんよ。
『ファントム』の白鳥→黒鳥の変身くらいやってくんないと、わかんねーよ。台詞による引きのあと、ただデュエットダンスになるだけじゃあ拍子抜け。
マントノン夫人がルイと同等以上の強さ、淫らさで踊るならともかく、あくまでも「好色なのはルイ」という設定(トップスター2役ゆえの、黒い演技を見せる場面)である都合上、マントノン夫人はルイに振り回される立場になる。
こんなの、「別の顔」でもなんでもない。ふつーに淑女なだけ。
よーするに、ムラ版の切り貼りだから、東宝版とのつなぎ目が粗いってこと。
東宝版で「別の顔が」と言いながら、つながる先はムラ版のふつーの淑女とのデュエダン。ふつーじゃいかんやろ、ふつーじゃ。「淑女には別の顔が」と解説したんだから、別の顔を見せろっつの。
キムくんとあゆみちゃんのダンスはムラと同じだけど、この周囲で踊る人々は変更。
人道的・倫理的に相当やばかったキャスター椅子による小びと淑女ダンスは全カット。
マントノン夫人とルイを冷めた目で見つめる淑女たちがずらりと並んだあと、ふつーの男女のデュエットダンスになるあたりが、こだまっちの抵抗かな。新公では単にキャスター椅子だけ使わない演出だった。意地でも新公と同じことはしないんだ(笑)。よっぽど新公の演出変更は屈辱だったんだろう。
クチビルソファーやキャスタードレス淑女のくだりは変更無し。だからマントノン夫人は特にナニもしないままいなくなる。
ルイーズ@みみ登場の矢印も健在。クチビルパペットもそのまま。
そして、『H2$』はまるっと変更無し。著作権はOKだったらしい。←問題があったら変更されてるだろう。
次に変更があるのは、「王はすべてお見通し」のラウル@翔くん捕縛から。
ムラ版ではミレディ@ヒメの催眠術で膝を折ったラウルは、兵士(看守)に引き立てられ、早々に舞台から消える。
が、東宝ではいつまでも舞台にいる。
銀橋でルイーズがルイにラウルの無実を訴え、「侍女になれ」と迫られる場面になるが、その背後、本舞台にまだラウルと兵士がいる。抗うラウルを殴り倒して、無理矢理連行する兵士たち。
そのまま場面は牢獄になる。疲れ切った顔の囚人たちの間を、「僕は無実だ」と叫びながら、ラウルが連行されていく。
ここの変更はいいと思う。
ムラ版ではラウル捕縛から収監、脱走の流れが不明だった。いや、実際の時の流れが不明なのは変わらないが、舞台上の流れは正しくなる。
ちなみにムラ版では、催眠術をくらって連行されたはずのラウルは、長い長い大囚人ナンバーのあと、観客が存在や本筋を忘れた頃に再登場。
看守「逃げられました」、サンマール@コマ「バカ、まぬけ」のやりとりの中、ラウルくんはおしゃれな羽根飾りの付いた帽子姿のまま牢獄をフラフラして、「仮面の男」の素顔を目撃してしまう、という演出だった。
ルイーズが「彼は無実です」と国王に陳情できるくらい、何日か経っているだろうに、捕まったときと同じ姿で牢獄をフラフラしているなんて、なんだそりゃ、でした。「ラウル捕縛」「ルイーズ陳情」「ラウル収監」がそれぞれ別の場面のぶつ切りであるために、時間経過が一層変だったの。東宝版は「ラウル捕縛~収監」がひとつの場面として続いているし、その間に平行して「ルイーズ陳情」があるため、なめらか。
そしてなんといっても、大囚人ナンバーが、ナイ。
これは全カットされるだろうと期待していたが、本当にカットされた。
ひどい場面だったけど、そこで活躍していた生徒たちに罪はない、出番や見せ場を削られてしまった人たちは残念だったとは思う。
悲鳴オーケストラメンバーがうなだれて坐っているだけ、彼らもすぐに退場。ただの「牢獄ですよ」というデコレーションとして扱われた。
そのデコレーションのためだけに、気合いの入った変ヘアを作ってくれたにわにわ乙!
大囚人ナンバーはなくても本筋にまったく問題なし。囚人たちの見せ場はカットしてもいいが、コマの見せ場をカットするわけにはいかない。
ということなんでしょう、看守長サンマールはムラ版とは別人になって登場(笑)。
続く。
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