思えば去年のタカスペも、小林公平氏の追悼ネタでしたね……。
 んで今年は震災、エールを込めて。
 テーマがかぶるっちゅーか、構成が似てしまうのは仕方ないことなのか。

 『タカラヅカスペシャル2011』、どさくさにまぎれてプログラムのサイズが変わり、値段も100円UPしてました。セコイよ劇団様……。

 タカスペ、ヅカスペ、略し方が2種類あり、わたしもそのときによっててきとーに使ってましたが、今回からタカスペに統一します。
 理由は、スカステで宇月としくんが「もうすぐタカスペ」とキーワードにしていたから。
 ああ、タカスペが公式略語なんだなと(笑)。


 去年のタカスペはいろいろひどかった。
 公平氏の追悼にしたって、MCやるのがトドロキだ。彼は観客の感情を波立たせる気の利いたトークは出来ない。
 脚本にある通りなんだろうっていう、キレイゴトな話を機械的にナレーションしていた。
 1部のパロディはまあ、意義やデキについては置くとして。
 2部のショーが、ほんっとーにひどかった。
 ヅカファンのあまり馴染みのない海外公演ネタで、ただ曲をだらだらつなげただけのなんの工夫もない演出に終始していた。

 去年の構成が、なんでああまでひどかったか。
 それは、「タカラヅカ」のピラミッドが形成されていなかったためだ。

 すなわち、トップコンビがいて、男役2番手がいて、3番手がいて、というきれいなポジショニング。
 どの組も同等の位置に同等の人がいるから、シャッフルもできるし、演出に幅が出る。

 それが去年は、ぐちゃぐちゃだった。
 トップ男役は3人、でもトップ娘役はふたりだけ。
 単独2番手もふたりしかおらず、3番手と3番手扱いの2番手見習いが計4人。
 組ごとにポジション構成がばらばらだから、イベント恒例のトップコンビ・シャッフルダンスもできやしねえ。トップコンビが華麗に競うこともできやしねえ。

 そんな去年に比べて、今年は、良かった。

 まず、MCの達人、ミサノエールがいる!
 彼が狂言回しとして全体を締めてくれるし、震災絡みの、今回のテーマとなる部分も「ええ話」として聴かせてくれる。
 なんてありがたいんだ、ミサノエール!

 彼の語りから、追悼として「希望」を、トドを中心とした男たちの歌とダンス、礼くんといちかの「:Amazing Grace」っつー感動的な歌声に牽引させ、男たちの総踊りで1部の幕を下ろす。
 この盛り上がりっぷりはイイ。

 大劇場で退団挨拶を見た専科さんが、こうして別の公演の舞台に立っているのを見るのはヅカヲタ人生でもはじめてのことだ……(笑)。どんだけ劇団から買われているんだ、ミサノエール。

 そして今後、彼なくして、イベント物のMCはどうなってしまうんだ……。

 マヤさんの功績はともかく。
 ショーとしての構成も、今年は落ち着いていた。

 なにしろ、トップコンビのデュエットダンスからはじまるんだぜえ。

 うわあああ、「タカラヅカ」だ、「タカラヅカ」だよお。
 この美しさ、優雅さ。他では味わえない夢の世界だ。

 また、どのコンビも「俺たちがいちばん!」と思って踊っている。男たちなんか絶対、「俺のカノジョが、いちばんかわいい! きれい!」とか思ってるよね? そうでなくちゃね!

 トップ娘役不在だった去年では、逆立ちしても出来なかった演出だよ……。

 そして、トップコンビだけでなく、2番手、3番手もしっかり決まっていた。
 それゆえに、構成や人遣いにブレがない。

 2部の演出は去年に引き続いて中村B。上から順番1、2、3の中村Bだ。彼にイレギュラー構成は作れない、だから去年はぐだぐだだった。
 しかし、ちゃんと順番が決まった人たちで作っていいショーならば、中村Bはいつも通りの仕事をする。
 特にいいわけじゃないけど、平気点の仕事はする。

 みんなに元気を届ける歌、というコンセプトはわかりやすく、感動的なものにしやすい。
 総力戦の「明日へのエナジー」からはじまり、前向きソングでメドレーをやり、「ゴールデン・デイズ」でキンキラ総力戦、生への讃歌を歌い上げる。
 で、甲斐オペラの壮大な曲「世界に求む」で盛り上げて、とどめが全員での「心の翼」。

 中村Bの本領発揮のスタンダードさ(笑)。

 グループ分けは正しく順番通り。
・トド(ソロいっぱい、舞台にただひとりもいっぱい、ソロの客席降りあり)
・らんとむ、きりやん、れおん(ソロも、舞台にただひとりも、ソロの客席降りもあり)
・えりたん、まさお、すずみん(ソロあり)
・みわっち、みりお、まっつ、ベニー(少人数口センターにてソロあり)
・まぁくん、ともみん、だいもん、マカゼ(ペアでセンターあり)
 それ以下の男役は、ポジションに準じて少人数口の登場人数が違っている。

 作りやすかったんだろうなあ、今回。あまりにきれーに「テンプレートまんま」なので感心した。

 ショーとしての構成は、「心の翼」で終了。
 そっからあとはタカスペならではのお約束、「クリスマス抽選会」と、トド+トップスターの客席降りソロ、2・3階席置き去り演出。

 抽選会は去年ほどぐだぐだになってなかった。
 抽選する前に、これからどの賞品のくじを引くのか説明していたし。(ソレすらできてなかった去年って)
 賞品のしょぼさ、お金の掛かってなさも去年と同じ(笑)。

 良かったのは、抽選の場にいたのが全員トップスターだということ。
 去年は男役トップスターと「お手伝いの下級生」だったから、下級生はただいるだけで口を挟めず、かといってトップだけではどーにもならず、大変なことになっていた(笑)。
 今年の初日初回は、らんとむさんが自分の抽選、次回花組公演チケットのプレゼントをまるっと忘れていて、すげーあわてふためいていたけれど、それでもまだ去年の初日初回よりマシ、って、どんだけ……(笑)。

 トップ娘役ちゃんたちがいるのは、いいなあ。
 あの子たちはなんであんなにきらきらきゃあきゃあしているんだろう。声も話していることもやっていることも、いちいち「女子!」で、かわいいったらない。(おやぢ発言)
 そんなカノジョたちを見守る旦那衆……トップスターたちもまた、鼻の下が伸びていてイイ。

 相手役がしっかりいるためか、今年は「かわいこちゃんによる、飲み物の差し入れ」はナシなのね……(笑)。

 そのあとの客席降り4連発は、もう「お約束」とあきらめてる。
 トドとトップスターの格付けに必要なんでしょう。
 空っぽの本舞台に誰か出して、2・3階席のお客様を楽しませるより、スターひとりだけの舞台、他の出演者に場を割かないという面子が大事。

 初回はまったり3階席だったので、客席降りはもうあきらめてた。周囲が色めき立っても無関係、身を乗り出すこともしない(笑)、どーんとくつろいで声だけ聴いてる。
 で、翌日観劇時は正反対に1階前方席だったんだが、これまた客席降りってけっこう不自由なのね。あっという間に後ろの方に行っちゃうし、前方席の人って後ろを振り返らないものなのね、みんな行儀良く空っぽの舞台の方を向いて坐っている。わたしひとり後ろを向くのも、後ろの人と目が合いまくってやだし、結局、3階にいたときと同じ、声だけ聴いていた。
 たったひとりのスター様の客席降り(お触りなし)って、1階後方席の人しか、おいしくないんじゃあ……?
 大勢がわーっと客席降りしてくれるのは、1階席の人みんな楽しいと思うけど。

 で、あとはフィナーレ突入だし。
 梅芸で行うタカスペの限界だね、この「トップスターの面子ゆえ」のソロ場面の演出の盛り下がりは。客席半分置き去りにしても、「やらなければならない」んだもん……銀橋のない梅芸で。

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