マッツマハラジャに、勝利の凱歌を。@インフィニティ
2012年1月13日 タカラヅカ 『インフィニティ』は古式ゆかしい「タカラヅカ・ショー」、しかも通常の2倍の長さなので、ツボにはまらない人には「古い」「退屈」になるんだろうなと思う。
倍の長さがある、つーんで、一場面が無駄に長かったりするしな。55分の大劇ショーなら、もっとテンポアップしてるだろとか、シェイプアップしてるだろとか。
また、オギーファンの稲葉せんせは、ショーで完全な暗転やカーテンによる「断絶」を作らない。
すべての場面が、だらだらつながって進行する。
これが苦手な人には、きついだろーなー、とか。
オギーを目指しているけどオギーにはなれない、健康さと凡庸さ。目新しさのない、「どっかで見たような」場面が、区切りもなくだらだら続く、ありがち陳腐な音楽チョイス……てのがいなばっちの特徴。曲の著作権を気にするあまり、ポリシーのない選曲になったりとかな。
だけど。
多くの組子、出演者を適所で使うのは、オギー譲りの彼の長所。……なんでもオギーに関連づけるのはよくないが、いなばっちのショー作品を観るたびに、人の使い方も含め、オギーの影響を強く感じるものでな(笑)。
『インフィニティ』は、本当の意味で名作では、特にないんだと思う。
欠点もいろいろあるだろうさ。
でも今のわたしには、良い部分、ありがたい部分ばかりが心に染みる。
張り詰めたスペイン場面の直後に。
脱力系音楽と共に、インド場面がはじまる、この構成をうまいと思う。
緩急の効果。
そして、「主演」の魅力を出すという点で。
苦悩のマタドール役でファンの萌えだの涙だのをあおりまくっておいて、次の場面でマッツマハラジャですよ。
この落差に、ファンはめろめろです(笑)。
重くなりすぎた空気を変えるだけなら、まっつの出ない場面を続ければよかっただけのこと。コマがセンターのフィリピン場面を次に持ってくる、とかね。
だがそうはせず、あえてまっつをふたつ続けた。
うまいなと思う。
さて、空気を変えて登場したのはマハラジャの従者、コマ、亜聖くん、翼くん。
この3人がかわいいやらおかしいやら。……腋臭がひどいらしいですよ……ってなんなのこの振付(笑)。
いやあ、翼くんの笑顔がかわいくてなあ。でもって彼、声がいいのだわ、歌うまいんだわ。従者トリオの中でナニ気にいちばん歌詞がしっかり聞こえる。
続けて登場する侍女はヒメとあゆみちゃん。衣装の豪華さからしても、この場面のヒロインはヒメらしい。
韻を踏んだインドっぽい曲なんだが、歌詞がわからないところもいろいろ。
侍女、美女、才女、愛情、頑丈、過剰、退場……で、「男の言い訳は」……なんて言ってるの?
この公演最大の愉快な場面。
初日に観たときは「ここはアドリブコーナーになるんだろうな」と思った。ベニスの冒頭部分に感じたように。
ところがどっこい。
アドリブなし。
笑わせるシーンなのに、毎回きっちり同じことしかしない。
……ええ、まっつが。
ベニスもそうだけどさ、まっつはほんっとーに、アドリブしない。
台本通り、演出通りにしか、やらない。
観客が期待していても、やらない。
なんつーか、プライドだなあ、と思う。
幕が開く前は、バウでショーの公演だから、もっと内輪受けのものを想像していたよ。
トークコーナーがあって、カーテン前で主演と何人かがお喋りしたり、アドリブOKコーナーもあって、ファンサービスしたり、客席降りや登場がふんだんにあって、みんなで盛り上がったり。
去年のそのかバウのイメージも強かったしね。
なのに、そーゆー「客へのおもねり」が一切ない。
潔いまでに、「作品」勝負。「芸」勝負。
アドリブなんかでリピーターを喜ばせない。そんなもんを目当てに通ってもらっても困る。
初見の人もリピーターも、同じように楽しめる、規定通りの仕事をする。
客席に降りてファンサービスなんかしない、舞台の上だけで魅了する。
トークの時間なんかいらない、ここは「タカラヅカ」だ。「タカラヅカ」のショーを公演時間内びっちり見せる。
そーゆー、自信と誇り。
まっつらしいなあ、と思う。
今回、まっつは演出に口出しせず、稲葉せんせにまるっとお任せしたと雑誌の記事にあったが、まっつの意志が大きく反映された『宝塚巴里祭』もお笑い場面ナシ、トーク最低限だったわけで、まっつにアテ書きすると自然とストイックな作りになるんだと思う。
つーことで、マッツマハラジャもみなさんいつ観ても安心、いつもきっかり同じことしかしてませんから、「アドリブらしいけど、元を知らないからどこがアドリブなのかわかんない」なんてことにはなりません。
従者コマ発案で、侍女たちが踊るわけだが、マッツマハラジャは喜ばない。
舞台奥の椅子で、やる気なさそーに沈み込み、大あくびをして椅子の飾りのオレンジを取ろうとしてうまく取れず、坐り直してからひとつ取り、従者橘くんを呼んで彼の服でオレンジを拭く。
で、「やめいやめい」で踊りを止めて、コマにクビを言い渡す。
コマくんはほんと、いいセンスをした役者だなと思う。
この従者の喋り方とか、すごいもんよ。正塚せんせに見込まれてるだけあるなあと(笑)。や、正塚芝居のテンポと空気で笑わせる役をえんえん振られ続けているコマは、役者として買われているんだと思うよ。
で、稲葉せんせは正塚フリークだしな(笑)。
クビを言われて走り去るコマくんが、ひとりで工夫を見せ、リピーターにも笑いを取っている。……ええ子や、コマ……。
いかにもなインド舞踊を「つまらない」と一刀両断したマッツマハラジャ。
彼自ら立ち上がり、新しいダンスを披露する。
これが、もう。
未涼亜希の魅力全開。
まっつアテ書きならでは!!(笑)
いやあ、これこそまっつですよ!
彼はあの、プラスチックダンス・マスターですよ? スーツ姿で真顔orまぶしい笑顔で「プラスチック!」と踊るナンバーでもっとも魅力を発揮するという、独特の魅力のある人です。
ふつうにしれっと踊っているだけなのに、この人が踊るとなんでこうもおかしいんだ……?! と言われた、アレ系のダンスです。
まっつキターーッ!! まっつの、いかにもまっつらしい、まっつならではのダンスキターーッ!!
コミカルなダンスです。男女入り乱れの総踊りです。
なのに。
まっつが、エロい。
腰の動きとか、えらいことになってます。
顔はノーブルに美しくアンニュイで、お貴族様そのものなのに、カラダの……下半身動きはキレキレエロエロというギャップ。
しれっとおかしく、いやらしい。
マッツマハラジャにファンが狂喜乱舞するのはソコです。
まっつの魅力をよーっくわかった場面だから。
すなわち。
オモシロいのかエロいのか、どっちなのかはっきりしろ!!と言いたくなる感じ。
その前の場面が、ストイックにドシリアスなマタドールですよ? これもまた、まっつならではの美しさと色気にあふれていました。
その直後にマッツマハラジャを持ってくる稲葉くんに脱帽。
まっつの活かし方、という点では、なんとも見事な手腕です。
最高っす。
続く。
倍の長さがある、つーんで、一場面が無駄に長かったりするしな。55分の大劇ショーなら、もっとテンポアップしてるだろとか、シェイプアップしてるだろとか。
また、オギーファンの稲葉せんせは、ショーで完全な暗転やカーテンによる「断絶」を作らない。
すべての場面が、だらだらつながって進行する。
これが苦手な人には、きついだろーなー、とか。
オギーを目指しているけどオギーにはなれない、健康さと凡庸さ。目新しさのない、「どっかで見たような」場面が、区切りもなくだらだら続く、ありがち陳腐な音楽チョイス……てのがいなばっちの特徴。曲の著作権を気にするあまり、ポリシーのない選曲になったりとかな。
だけど。
多くの組子、出演者を適所で使うのは、オギー譲りの彼の長所。……なんでもオギーに関連づけるのはよくないが、いなばっちのショー作品を観るたびに、人の使い方も含め、オギーの影響を強く感じるものでな(笑)。
『インフィニティ』は、本当の意味で名作では、特にないんだと思う。
欠点もいろいろあるだろうさ。
でも今のわたしには、良い部分、ありがたい部分ばかりが心に染みる。
張り詰めたスペイン場面の直後に。
脱力系音楽と共に、インド場面がはじまる、この構成をうまいと思う。
緩急の効果。
そして、「主演」の魅力を出すという点で。
苦悩のマタドール役でファンの萌えだの涙だのをあおりまくっておいて、次の場面でマッツマハラジャですよ。
この落差に、ファンはめろめろです(笑)。
重くなりすぎた空気を変えるだけなら、まっつの出ない場面を続ければよかっただけのこと。コマがセンターのフィリピン場面を次に持ってくる、とかね。
だがそうはせず、あえてまっつをふたつ続けた。
うまいなと思う。
さて、空気を変えて登場したのはマハラジャの従者、コマ、亜聖くん、翼くん。
この3人がかわいいやらおかしいやら。……腋臭がひどいらしいですよ……ってなんなのこの振付(笑)。
いやあ、翼くんの笑顔がかわいくてなあ。でもって彼、声がいいのだわ、歌うまいんだわ。従者トリオの中でナニ気にいちばん歌詞がしっかり聞こえる。
続けて登場する侍女はヒメとあゆみちゃん。衣装の豪華さからしても、この場面のヒロインはヒメらしい。
韻を踏んだインドっぽい曲なんだが、歌詞がわからないところもいろいろ。
侍女、美女、才女、愛情、頑丈、過剰、退場……で、「男の言い訳は」……なんて言ってるの?
この公演最大の愉快な場面。
初日に観たときは「ここはアドリブコーナーになるんだろうな」と思った。ベニスの冒頭部分に感じたように。
ところがどっこい。
アドリブなし。
笑わせるシーンなのに、毎回きっちり同じことしかしない。
……ええ、まっつが。
ベニスもそうだけどさ、まっつはほんっとーに、アドリブしない。
台本通り、演出通りにしか、やらない。
観客が期待していても、やらない。
なんつーか、プライドだなあ、と思う。
幕が開く前は、バウでショーの公演だから、もっと内輪受けのものを想像していたよ。
トークコーナーがあって、カーテン前で主演と何人かがお喋りしたり、アドリブOKコーナーもあって、ファンサービスしたり、客席降りや登場がふんだんにあって、みんなで盛り上がったり。
去年のそのかバウのイメージも強かったしね。
なのに、そーゆー「客へのおもねり」が一切ない。
潔いまでに、「作品」勝負。「芸」勝負。
アドリブなんかでリピーターを喜ばせない。そんなもんを目当てに通ってもらっても困る。
初見の人もリピーターも、同じように楽しめる、規定通りの仕事をする。
客席に降りてファンサービスなんかしない、舞台の上だけで魅了する。
トークの時間なんかいらない、ここは「タカラヅカ」だ。「タカラヅカ」のショーを公演時間内びっちり見せる。
そーゆー、自信と誇り。
まっつらしいなあ、と思う。
今回、まっつは演出に口出しせず、稲葉せんせにまるっとお任せしたと雑誌の記事にあったが、まっつの意志が大きく反映された『宝塚巴里祭』もお笑い場面ナシ、トーク最低限だったわけで、まっつにアテ書きすると自然とストイックな作りになるんだと思う。
つーことで、マッツマハラジャもみなさんいつ観ても安心、いつもきっかり同じことしかしてませんから、「アドリブらしいけど、元を知らないからどこがアドリブなのかわかんない」なんてことにはなりません。
従者コマ発案で、侍女たちが踊るわけだが、マッツマハラジャは喜ばない。
舞台奥の椅子で、やる気なさそーに沈み込み、大あくびをして椅子の飾りのオレンジを取ろうとしてうまく取れず、坐り直してからひとつ取り、従者橘くんを呼んで彼の服でオレンジを拭く。
で、「やめいやめい」で踊りを止めて、コマにクビを言い渡す。
コマくんはほんと、いいセンスをした役者だなと思う。
この従者の喋り方とか、すごいもんよ。正塚せんせに見込まれてるだけあるなあと(笑)。や、正塚芝居のテンポと空気で笑わせる役をえんえん振られ続けているコマは、役者として買われているんだと思うよ。
で、稲葉せんせは正塚フリークだしな(笑)。
クビを言われて走り去るコマくんが、ひとりで工夫を見せ、リピーターにも笑いを取っている。……ええ子や、コマ……。
いかにもなインド舞踊を「つまらない」と一刀両断したマッツマハラジャ。
彼自ら立ち上がり、新しいダンスを披露する。
これが、もう。
未涼亜希の魅力全開。
まっつアテ書きならでは!!(笑)
いやあ、これこそまっつですよ!
彼はあの、プラスチックダンス・マスターですよ? スーツ姿で真顔orまぶしい笑顔で「プラスチック!」と踊るナンバーでもっとも魅力を発揮するという、独特の魅力のある人です。
ふつうにしれっと踊っているだけなのに、この人が踊るとなんでこうもおかしいんだ……?! と言われた、アレ系のダンスです。
まっつキターーッ!! まっつの、いかにもまっつらしい、まっつならではのダンスキターーッ!!
コミカルなダンスです。男女入り乱れの総踊りです。
なのに。
まっつが、エロい。
腰の動きとか、えらいことになってます。
顔はノーブルに美しくアンニュイで、お貴族様そのものなのに、カラダの……下半身動きはキレキレエロエロというギャップ。
しれっとおかしく、いやらしい。
マッツマハラジャにファンが狂喜乱舞するのはソコです。
まっつの魅力をよーっくわかった場面だから。
すなわち。
オモシロいのかエロいのか、どっちなのかはっきりしろ!!と言いたくなる感じ。
その前の場面が、ストイックにドシリアスなマタドールですよ? これもまた、まっつならではの美しさと色気にあふれていました。
その直後にマッツマハラジャを持ってくる稲葉くんに脱帽。
まっつの活かし方、という点では、なんとも見事な手腕です。
最高っす。
続く。
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