旅の終わりと、そして。@インフィニティ
2012年1月16日 タカラヅカ 1月16日、『インフィニティ』千秋楽。
祭りの終焉について、まだ語る言葉を持たない。
わたしはこの公演を、『インフィニティ』という作品を、整理しきれていない。
だから千秋楽の話ではなく、昨日欄の続きを書く。
「荒城の月」は美しい曲。
歌詞も好きだから、まっつの声でいつか聴きたい。
美しい日本。
美しいタカラヅカ。
美しい男役たち。
タカラヅカのルールに則り、端正にストイックに踊りきったあと、舞台にはまっつひとりが残る。
黒燕尾姿で、たったひとり。
ホリゾントのみだった背景に、冒頭で水兵コマが「出航」を告げていた羅針盤と海の幕が下りてくる。
歌うのは、旅の終わり。
稲葉くん……大劇場公演の、トップ娘役ナシか、トップスター単独退団公演ショーの作りになってるわ……(笑)。
ふつーにトップコンビがいるなら、ここはデュエットダンスの位置。
旅の終わり、出会えた人々、出来事の回想、思い出として胸に刻んでね……てな曲と演出。
曲名は「限りなき世界」でしょうかね。無限を、永遠を歌いながら、「旅の終わり」と言ってるんですよ。物理的にはこれで終わり、別れ。だけど心の中には永遠に生き続ける、みたいな意味。
めっちゃ「別れ」演出やん!!(笑)
そーやってひとり切々と歌い上げたあと、客席に背を向けて、舞台奥へ歩み去る。
……これって、大階段を上って去って行くイメージですか……。
去るまっつと入れ違いに現れるのは、ヒメ。
エトワールです。
センターでしばらくひとりで美声を披露。ヒメもいろんな歌い方のできる人だけど、ここではほんとーにど真ん中な、美しい透明な声。エトワールですから。
で、こっから大階段パレードです。
朝風くん、カレン姐さんの歌手コンビが歌い継いだあとは、スタークラスが階段を降りながら裏主題歌(笑)の「青い星の上で」を歌う。まさしく大階段パレード、番手順。
シャンシャンが欲しいくらい、わかりやすい演出。
えー、ヅカヲタらしく階段降りの順番を記しますと、あゆみ・翔、あゆっち・きんぐとふたり降り、あゆっちはスキャットのみできんぐはソロと、ちょっときんくが格上げされてます。ひとり降りはコマのみ。
で、全員が舞台で待ち構えるところへ、大羽根背負ってトップスター登場。
……という、演出です(笑)。
バウなんで、階段ナイし、羽根もシャンシャンもナイけどなー。
上手から、「いかにもタカラヅカ」な、ドリーミングな水色衣装で登場したまっつがソロで歌い継ぎ、ラストは全員のコーラスで終了。
パレードアレンジせずに済んでいるもんで、正味美しい「聴かせる」リズムです。大劇場だったら、まっつのソロも途中からテンポが変わり、後半は手拍子の入れられるよーにテンポアップされたアレンジになるんだろう。
んで、一旦幕。
プログラムに載っているのは、ここまで。
大劇場のショーと同じ方程式で作られたショーだけど、なにしろここはバウホール。大劇と同じでは終わらない。
プログラムのあとに、アンコール場面がある。
プログラムに載っていないアンコール場面があること、までが、別箱の芝居以外公演のお約束。
幕が下りても客電は点かない。真っ暗な中、拍手を続けると、再び幕が開く。お約束お約束。
ここまで、大劇場のショー公演と同じ作りにしてきておいて。
そして、「トップスターのサヨナラ公演」みたいな演出にしておいて。
最後に、ひっくり返す。
通常のタカラヅカではできないこと。
下りた幕を、上げること。
出演者全員の、本気のアカペラ・コーラス。
シャンシャンを持ったパレードで定位置に並んで終了、ではできない、みんなでひとつに集まって声を集め、「声」の力を爆発させること。
歌うのは、主題歌。
「はじまり」の歌。
さっき、「旅の終わり」を歌ったやん! まるきし大劇場の、本公演の、サヨナラ公演みたいな顔して。そんな演出と歌詞で。
なのに、下ろした幕を上げて、「はじまり」を歌う。
それは、この作品のオープニングと呼応した場面。
インフィニティ。無限大。
輪はぐるりとめぐって、最初に戻る。
終わらない!!
終わらないんだ。続くんだ。
まっつは、みんなは、歌う。
「誰にも止められない 今はじまる」と。
これほどまでに、大劇場と同じ演出、作りだったのは、コレをやりたかったからか!
いかにもサヨナラ風味な大劇場ショーのふりして一旦幕を下ろし、「終わらないよ! まだまだ続くよ!!」とやる。
ぐるっと回って最初に戻る。
これって、バウでしか……大劇場の本公演以外でしか、できないことだ。
大劇と同じショーを、大劇では決して真ん中に立てないまっつのために、バウで作ってくれた稲葉先生に感謝した。
しかし、それだけじゃなかったんだ。
コレって、大劇のルールもバウのルールも逆手に取った、バウでしかできないショーだったんだ。
おもしろい。
すごい。
退団風味な演出もされているわりに、わたしを含め周囲のまっつファンが誰もしんみりとはせず、素直に「主演うれしい! ショー楽しい!」と浮かれていられたのは、この演出のおかげ。
最後にどーんと持ち上げてくれるので、高揚したまま終わることができる。
「旅の終わり」を、否定して終わるんだもん。
そして、まっつは実に生き生きと、たのしそうに舞台にいる。
雪っこたちも、たのしそうに、そしてキラキラとした目でまっつを見つめてくれている。
このアンコール場面ではじめて、出演者の個別挨拶がある……んだが、よくある名前紹介(愛称で誰々と呼びかける)はなく、思い思いのポーズで礼をする。
このとき、挨拶の順番待ちの組子たちが、まっつに絡んでからセンターへ進み出るのが、うれしかった。
絡むったって、ただ顔を見合わせてにっこりするだけなんだけどね。まっつがすごく優しい顔で、目を線にして、頷き返すの。「行っておいで」みたいに。
この挨拶パフォーマンス、朝風くんとヒメがいちばん濃くてすごかった……その日替わりっぷりも含め(笑)。
で、ラストは一列になって、曲が終わるまで……幕が下りるまでなんとなく動き続ける。ここはなかなかにぐたぐた。毎回ちがうんだが、仕込みはしていないらしく、なしくずしにそれぞれチガウことやってる。
お約束でもう一度幕が開き、主演の挨拶。
まっつの挨拶が噛み噛みなのはご愛敬。
このカーテンコール場面の方で、幕が下りる間際の振付が決まっているのは、ニクいなと思う。
まずまっつがひとりで踊り(投げチュー付き)、それにみんなが従う感じ。挨拶のあとなだけに、さらにまっつを中心に、って感じがして良い。
幕が下りるころにはフリースペースになってるから、結局ぐたぐたになってるんだけどね(笑)。
『インフィニティ』、というタイトルに偽りない公演、作品だった。
めぐる輪、終わりの否定。
「進めるだけ羽ばたこう」「今はじまる」……そう歌うまっつを信じ、ついていくよ。
祭りの終焉について、まだ語る言葉を持たない。
わたしはこの公演を、『インフィニティ』という作品を、整理しきれていない。
だから千秋楽の話ではなく、昨日欄の続きを書く。
「荒城の月」は美しい曲。
歌詞も好きだから、まっつの声でいつか聴きたい。
美しい日本。
美しいタカラヅカ。
美しい男役たち。
タカラヅカのルールに則り、端正にストイックに踊りきったあと、舞台にはまっつひとりが残る。
黒燕尾姿で、たったひとり。
ホリゾントのみだった背景に、冒頭で水兵コマが「出航」を告げていた羅針盤と海の幕が下りてくる。
歌うのは、旅の終わり。
稲葉くん……大劇場公演の、トップ娘役ナシか、トップスター単独退団公演ショーの作りになってるわ……(笑)。
ふつーにトップコンビがいるなら、ここはデュエットダンスの位置。
旅の終わり、出会えた人々、出来事の回想、思い出として胸に刻んでね……てな曲と演出。
曲名は「限りなき世界」でしょうかね。無限を、永遠を歌いながら、「旅の終わり」と言ってるんですよ。物理的にはこれで終わり、別れ。だけど心の中には永遠に生き続ける、みたいな意味。
めっちゃ「別れ」演出やん!!(笑)
そーやってひとり切々と歌い上げたあと、客席に背を向けて、舞台奥へ歩み去る。
……これって、大階段を上って去って行くイメージですか……。
去るまっつと入れ違いに現れるのは、ヒメ。
エトワールです。
センターでしばらくひとりで美声を披露。ヒメもいろんな歌い方のできる人だけど、ここではほんとーにど真ん中な、美しい透明な声。エトワールですから。
で、こっから大階段パレードです。
朝風くん、カレン姐さんの歌手コンビが歌い継いだあとは、スタークラスが階段を降りながら裏主題歌(笑)の「青い星の上で」を歌う。まさしく大階段パレード、番手順。
シャンシャンが欲しいくらい、わかりやすい演出。
えー、ヅカヲタらしく階段降りの順番を記しますと、あゆみ・翔、あゆっち・きんぐとふたり降り、あゆっちはスキャットのみできんぐはソロと、ちょっときんくが格上げされてます。ひとり降りはコマのみ。
で、全員が舞台で待ち構えるところへ、大羽根背負ってトップスター登場。
……という、演出です(笑)。
バウなんで、階段ナイし、羽根もシャンシャンもナイけどなー。
上手から、「いかにもタカラヅカ」な、ドリーミングな水色衣装で登場したまっつがソロで歌い継ぎ、ラストは全員のコーラスで終了。
パレードアレンジせずに済んでいるもんで、正味美しい「聴かせる」リズムです。大劇場だったら、まっつのソロも途中からテンポが変わり、後半は手拍子の入れられるよーにテンポアップされたアレンジになるんだろう。
んで、一旦幕。
プログラムに載っているのは、ここまで。
大劇場のショーと同じ方程式で作られたショーだけど、なにしろここはバウホール。大劇と同じでは終わらない。
プログラムのあとに、アンコール場面がある。
プログラムに載っていないアンコール場面があること、までが、別箱の芝居以外公演のお約束。
幕が下りても客電は点かない。真っ暗な中、拍手を続けると、再び幕が開く。お約束お約束。
ここまで、大劇場のショー公演と同じ作りにしてきておいて。
そして、「トップスターのサヨナラ公演」みたいな演出にしておいて。
最後に、ひっくり返す。
通常のタカラヅカではできないこと。
下りた幕を、上げること。
出演者全員の、本気のアカペラ・コーラス。
シャンシャンを持ったパレードで定位置に並んで終了、ではできない、みんなでひとつに集まって声を集め、「声」の力を爆発させること。
歌うのは、主題歌。
「はじまり」の歌。
さっき、「旅の終わり」を歌ったやん! まるきし大劇場の、本公演の、サヨナラ公演みたいな顔して。そんな演出と歌詞で。
なのに、下ろした幕を上げて、「はじまり」を歌う。
それは、この作品のオープニングと呼応した場面。
インフィニティ。無限大。
輪はぐるりとめぐって、最初に戻る。
終わらない!!
終わらないんだ。続くんだ。
まっつは、みんなは、歌う。
「誰にも止められない 今はじまる」と。
これほどまでに、大劇場と同じ演出、作りだったのは、コレをやりたかったからか!
いかにもサヨナラ風味な大劇場ショーのふりして一旦幕を下ろし、「終わらないよ! まだまだ続くよ!!」とやる。
ぐるっと回って最初に戻る。
これって、バウでしか……大劇場の本公演以外でしか、できないことだ。
大劇と同じショーを、大劇では決して真ん中に立てないまっつのために、バウで作ってくれた稲葉先生に感謝した。
しかし、それだけじゃなかったんだ。
コレって、大劇のルールもバウのルールも逆手に取った、バウでしかできないショーだったんだ。
おもしろい。
すごい。
退団風味な演出もされているわりに、わたしを含め周囲のまっつファンが誰もしんみりとはせず、素直に「主演うれしい! ショー楽しい!」と浮かれていられたのは、この演出のおかげ。
最後にどーんと持ち上げてくれるので、高揚したまま終わることができる。
「旅の終わり」を、否定して終わるんだもん。
そして、まっつは実に生き生きと、たのしそうに舞台にいる。
雪っこたちも、たのしそうに、そしてキラキラとした目でまっつを見つめてくれている。
このアンコール場面ではじめて、出演者の個別挨拶がある……んだが、よくある名前紹介(愛称で誰々と呼びかける)はなく、思い思いのポーズで礼をする。
このとき、挨拶の順番待ちの組子たちが、まっつに絡んでからセンターへ進み出るのが、うれしかった。
絡むったって、ただ顔を見合わせてにっこりするだけなんだけどね。まっつがすごく優しい顔で、目を線にして、頷き返すの。「行っておいで」みたいに。
この挨拶パフォーマンス、朝風くんとヒメがいちばん濃くてすごかった……その日替わりっぷりも含め(笑)。
で、ラストは一列になって、曲が終わるまで……幕が下りるまでなんとなく動き続ける。ここはなかなかにぐたぐた。毎回ちがうんだが、仕込みはしていないらしく、なしくずしにそれぞれチガウことやってる。
お約束でもう一度幕が開き、主演の挨拶。
まっつの挨拶が噛み噛みなのはご愛敬。
このカーテンコール場面の方で、幕が下りる間際の振付が決まっているのは、ニクいなと思う。
まずまっつがひとりで踊り(投げチュー付き)、それにみんなが従う感じ。挨拶のあとなだけに、さらにまっつを中心に、って感じがして良い。
幕が下りるころにはフリースペースになってるから、結局ぐたぐたになってるんだけどね(笑)。
『インフィニティ』、というタイトルに偽りない公演、作品だった。
めぐる輪、終わりの否定。
「進めるだけ羽ばたこう」「今はじまる」……そう歌うまっつを信じ、ついていくよ。
コメント