『ロバート・キャパ 魂の記録』出演者の感想、覚え書き。

 アンドレ@かなめくん。
 原田作品お約束の、きれいなだけの主人公。他人の言いなり人生。ヒロイン依存。でも慟哭とか苦悩とかする。
 たぶん原田くんの主人公には、暴走系の芸風の人が向いているんだろうなと思う。なんでそーなるのかわかんないけど、本人のアツさと激しさに煙に巻かれちゃう系。
 かなめくんのスマートさは、この作品の「きれいさ」には合っているのだけど、「わけわかんないうちに持って行かれる」には至らない。だから作品の薄味さに相まって「作品の流れ」とか「物語の構成」とかが透けて見える感じ。
 や、泣かせ演出好きだし、お約束でしかないパターン展開も好きです。ルールが正当に機能しているのはイイっすよ。スマートに収まりすぎてるのが気になるだけで。

 ってゆーのはわたしがうがっているだけで、とにかく「美しい」んだから、もうそれでいいんじゃないかという気もする。
 こんだけ美しい人を間近で見られて、その美しい人が笑ったり泣いたりするんだもん。それを眺められるだけで意味がある。
 『Je Chante』も『ニジンスキー』もそうだったけど、主演のファンが観るための、ファンアイテムとしてはすごくいい出来だと思う、原田作品って。

 かなめくんの美しさと、ほにゃんとしたやわらかさが伝わり、「いい人」感ハンパない。この青年を応援したい、と思える。
 主人公として正しい、真ん中として正しい力。


 ヒロインのゲルダ@うららちゃん。
 なんかすごく、彩音ちゃんを思い出した。能面のようなきれいな顔、棒読み系の芝居……いや、『二都物語』の彩音ちゃんの大根っぷりを思えば、ぜんぜんイイんですが……テイストは彩音ちゃん(笑)。
 『二都物語』の彩音ちゃんは当時研2か……。んで、うららちゃんは今研3。
 美人って表情作るの難しいのかな。喋りが棒読み系なせいで、余計に能面に見えちゃったのかな。
 新公ニーナ役のような、マンガちっくな役ならいろいろ派手に抑揚を付けられるけれど、大人の女役だとそうもいかない。芝居をしようとして、かえって芝居が閉じてしまっている印象。
 圧倒的にキャリア不足だから仕方ない。
 彩音ちゃんがあそこまで伸びたんだから、うららちゃんにも期待。
 ……あと、お化粧改善切実。あのチークはいったい……逆三角のおてもやんのやう……大劇場ならアレでいいのか? でも、横でかなめくんがナチュラルなのに、浮き上がるような色のお化粧って。


 アンドレの戦場で出来たお友だち、フェデリコ@いちくん。
 や、この役以外でも、とにかく格好良すぎるっ。

 いちくんがいて良かったと、群舞やモブ芝居でしみじみ思った。
 バウ公演の宿命とはいえ、男役のみなさんがまるまるぷくぷく過ぎて。下級生だから仕方ないんだけど、丸い顔と丸いお尻の男の子たちのセンターに、いちくんがいて、がしっと引き締めてくれていることに、心から感謝した。
 こういう、いぶし銀な人はイイ。
 同じように群舞に混ざっていても、りくくんは「スター」なんだと思う。立ち位置が脇でも、あああそこに若手スターがいる、と思える。
 でも群舞やモブは、「スター」の見せ場ではない。次代のスターを発掘する楽しみはあるとして、舞台の流れを切るよーな「スター様の見せ場」になってはいけない。
 主役は別にいる、物語の主軸は別にある、だけど今、このモブ芝居が、群舞が必要。……そういうときに、まだいろいろと出来上がっていない子たちばかりで弱く、流れがちな場面を、いちくんが牽引する。
 あああ、かっけー!!
 その確かな仕事っぷりに感動。

 そう、「カッコイイ」ことが重要。モブでも主役不在の群舞でも、センターは格好良くなくちゃなの!
 主役のキラキラを損なわない、キラキラスキーの人はスルーちゃうような、だけど渋い光を放つことが大切。

 いちくんが、大変好みでした。
 役を演じているときだけでなく、名もなきアルバイトのときも含めて。

 しかし、フェデリコの死亡フラグの慎みのなさにツボった(笑)。

 原田くんってほんとに俗物……(笑)。
 ギャグで使われるレベルの、死亡フラグの洪水。
 もうじき子どもが生まれる、まででも苦笑なのに、名前ネタまで来ましたよ。わざとやってんのかと。
 や、笑う場面でないことは承知してます。真っ当に物語を味わっているわたしの中で、別のチャンネルがあり、そこで盛大にツッコミ入りましたです、原田くんに。
 そこまでわざとらしくやらなくていいのに……いや、ソレが彼の作風か。

 わざとらしいっつか、やりすぎというと、ママ@光さんのキャラもエピソードもそうでしたなー。
 ちょっと置いてけぼりにされた(笑)。
 たぶん、光さんの「登場したときからトップテンション」の芝居と、「スロースタート、安全運転」のかなめくんの芝居が噛み合っていなかったためじゃないか、と思う。
 家族ネタ自体はお約束でいいんだけど……。
 あ、あと桜木くんがまたふっくらしていて残念だった。『クラシコ…』ではすっきりきれいだったのになあ。


 カメラマン仲間シム@モンチ。
 めがねっこ、めがねっこ!(笑)
 癒やしキャラ。かわいいし、彼の学年やポジション的にはオイシイ、いい役だったのではないかと。
 相変わらずうまいし、手堅い。かわいい息抜きキャラを演じてなお、「手堅い」(笑)。いいっすね!

 で、そのモンチの学年やポジション的にオイシイ……そんな役割だった、カメラマン仲間役のちーちゃん、新聞社の人りくくん。
 ふつーにうまくて、モブに混ざらない華と存在感と美しさがあって、役不足ぶりがもったいない限り。

 さらにもったいない、最後のナレーション以外、いてもいなくても大差ない「にぎやかしの友人」チーキ@みーちゃん。
 主人公にえんえん独り言言わせるわけにはいかないので、合いの手を入れる友人役は必要。だけど、この程度の役ならみーちゃんである必然性はナイ。もちろんみーちゃんはきっちりやってのけちゃうけど、彼ならもっと大きな役だって、きっちりやってのけたはずなんだ。

 みーちゃんは、派手な人なんだなと思った。
 華がある、とは少しチガウかもしれない。
 たとえば、トップスター様のキラキラを華と呼ぶなら、みーちゃんのソレは趣がチガウ。
 だけど、舞台にいると「彼がそこにいる」ことがわかる。モブには混ざらない。見落とされない。
 舞台人としての存在が、地味ではナイんだ。タカラヅカ的な意味では地味なカラーの人かもしれないけど。

 だからモブにも混ざれないんだよなああ。
 2役も出来ないんだよなああ。
 目立ち過ぎちゃうからさー。

 ヲヅキさんに似ている。彼もキラキラじゃないけど、舞台人として派手だ。モブでも目立ってしまう。2役やると見ていて混乱する。「さっきの人がどうして、ここにいるの?」と。
 舞台人としての強みだけど、時によって諸刃。

 ともあれ。
 みーちゃんの最後のナレーションで泣いた。

コメント

日記内を検索