ミニマムだけど、「タカラヅカ」。@宝塚音楽学校第98期生文化祭
2012年2月19日 タカラヅカ PCを立ち上げると画面に地元の気温が表示されるんだが、朝見ると「-2度」だった。
マイナス2度……。気温が氷点下になった記憶を思い出せない、ぬくい世界で生きてる身なので、ちょっと感動してしまった。
そんな寒い寒い朝、さらに寒いだろう宝塚ムラへ。
『宝塚音楽学校第98期生文化祭』、12時の部観劇。
文化祭はWキャスト。12時と16時で演劇の出演者がチガウ。
いつもチケットが手に入った回のみを観ているので、誰の舞台姿を観られて、誰を観られずに終わるのかは、運次第。
去年は友会で当たりすぎたけど、今年は見渡す限り全滅。友会席が見直されたのかもしれない。
てことで、八方手を尽くし、入手できたのがこの回だったんだ。
演劇は谷先生の『アルト・ハイデルベルク』。
……わたしにとって『アルト・ハイデルベルク』というと、『紀元2600年のプレイボール』だったりするんですが、通じる人いますか?(笑)
皇太子カール・ハインリッヒは、2年間の期限付きで大学都市ハイデルベルクで学生生活を送ることになった。彼の下宿には、美しいケティという娘がおり、ふたりは身分違いの恋に落ちるが……。
谷先生の作品だと、学生でもがっつりコスプレすることになるので、勉強になっていいのかなあ。
わたしのなかで印象が強いせいか、マサツカ芝居のイメージがあって、「男役はまだいいけど、娘役はデコ全開ひっつめ髪のまま芝居しなきゃならないから大変」と思い込んでいた。みんな同じ髪型、美人もかわいこちゃんも、これ以上美しくなりようがナイ姿で、がんばって演じるしかないんだ、と。
ソレって正塚先生限定か。
谷先生だと、真面目にコスプレですよ、カツラもアクセも必要ですよ。
女の子たちはドレス、男たちは軍服や宮廷服、みんなカツラ装着っす。
着こなしは微妙なんだけど、それでもみんなすごく張り切って華美な衣装を着て、女の子たちはカツラとかがんばってたし、衣装替えもあるからきっと楽屋でも総力戦であたっているんだろうなと、いろいろ想像させてくれて、胸熱。
主役のカール・ハインツくんは、首席の男の子でした。
丸顔のかわいこちゃん。花組の鳳くんに似ているなーと思って見ていた。
ヒロインのケティは、第1部のポピュラー・ヴォーカルで活躍していた、派手な顔立ちの美人さん。
このふたりの比重がハンパない。
文化祭の芝居ってもっと、全員まんべんなく出番や見せ場がある印象なんだが、今回はまともに主役中心芝居だった。
それだけ期待されているのかな。16時の主演コンビも含め。
このふたりは主役としてのタカラヅカ的ど真ん中芝居をさせられており、あとは皇太子の内侍役の子が「いちばん芝居できます」ポジションかな、という印象だった。内侍くんはひとりボケツッコミっつーか、ひとりで話を回していかなくてはならない役だったので。
首席くんは甘い雰囲気がいかにも「王子様」。
他の登場人物がわいわいやって、さんざん気を持たせたあとに登場するので、大変だったろうなあ(笑)。
それを言うなら、ケティも「美女」と男たち総勢で褒め称えたあとの登場だ。
……このへん、ものすごく谷芝居(笑)。
お勉強にはなったろうし、文化祭なんだからそれだけでいいんだろうけど、未熟さゆえに求心力のない出演者でやるには、ちょっとキツイ芝居だったかと。隣の席のおにーさん居眠りしないで、オチが最初からわかっている、ほんの少数の登場人物が向かい合って会話するばっかのキツイ演出だけど、隣でオチられると気になっちゃったわ(笑)。
もう少し、「文化祭」「デビュー前の学生たちが出演している」ことを踏まえた演出にしてほしかったっす、谷せんせ。
んで、ツボったのは、ラストシーン。
文化祭のプログラムは「第1部 日本舞踊/予科生コーラス/クラシック・ヴォーカル/ポピュラー・ヴォーカル」「第2部 演劇」「第3部 ダンス・コンサート」とわざわざ分けてある。
歌は第1部なの。第2部は芝居だけ、歌はナイの。ストレートプレイなの。
だから余計に、ガチな対面会話による芝居ばかりだと場が持たなくて大変なわけで。
観ながら、「この台詞のあとは、歌だよな」と勝手に考えてしまった。
なんつーんだ、もうカラダがそう出来上がってしまっているというか、ミュージカルのお約束、ヅカのお約束に毒されてしまっているみたいだ。
主人公がものすごーくクサく、型通りにもったいつけてシリアスな台詞を言う、次の瞬間ジャジャンと情熱のソロに入る、みたいな。
身構えた自分に「乙!」という気分だったのに。
主人公、歌い出すし。
えええ。
ストレートプレイのはずなのに?! ラストシーンの今まで、歌もダンスもナシ、台詞だけの芝居だったのに?!
主人公のドラマティック・ソロを受けたヒロイン、こちらもまた、ヅカのお約束で行けば歌い返すはずだが、なにしろこれは文化祭の「演劇」で、ストレートプレイのはず……。
ヒロイン、歌い出すし。
突然のミュージカル!! 10のうち9までストプレだったのに、ラストシーンで唐突に。
歌う主役カップルの周りに、他のキャラたちも歌いながら大集合。過ぎゆく青春、旅立ちます!的に。
うわー……。
ベッタベタに、「タカラヅカ」。ベッタベタに、谷正純。
ヅカのお約束、ヅカ芝居の言い回し、ヅカ芝居のリズム……全部全部、まるっと使ってる!!(笑)
なんせ、ようやく再会した主人公とヒロインの場面で、ヒロインが言うのよ。
「涙が邪魔をして、あなたの顔がよく見えない……」
ちょ……っ!(笑)
ここでまさかのお花様@『望郷…』来たよ!! 谷せんせ、どんだけベッタベタ……。
いやはや。
すごかったっす。いろいろと。
去年の演劇も谷せんせで、やっぱりラストに突然歌があって「えええ」だったけど、前回だけが特別かと思ってたんだ。いかにも特別らしくプログラムにわざわざ書いてあったし。
これからは演劇も歌アリのミュージカルにするのかな。
それなら突然ラストだけミュージカルにせず、全編そうすればいいのに。
首席くんはうまかったと思うけど、ヒロインちゃんと芝居が合っていない気がした。
というのも、やたらふたりきりでの芝居が多いっつーに、ふたりの芝居の力関係を円グラフで表すと、3分の2をヒロインちゃんが押し切っているように思えたんだ。
円グラフはせめて半々、ほんとなら主役が3分の2を取るくらいが本来のバランスじゃないかな?
ヒロインが強くて、首席くんは受けの芝居に回っていた気がする。後手に回っているというか。
ヒロインちゃんがうまくて主役を食っているというよりは、主役が踏ん張りきっていないような。
公演回数を重ねたら変わってくるかもだが、なにしろ文化祭は2回こっきりだ。
パワー円グラフは収まりの悪いままでも、仕方ないか。
難しい役だなと思ったのは、国務長官。
大人の男の役、しかも抑えた風情の辛抱役だ。発散系の内侍役の難しさとは正反対。
冒頭はこんなもんかというか、そうだよね、これが精一杯だよね、と思って見ていたけれど、最後の方はけっこー良かった。
顔と名前が一致しなくて、最後まで見分けられなかったんだけど、ザクセン団の爵位なし学生の2名がなかなか、気になる子たちだった。
んで、わたし的に今回いちばん芝居が気に入ったのは、街の娘のひとり。最初、下宿屋の女将に話しかけたいのになかなか口を開かせてもらえずにいた子。
後半の出番では、もったいつけてなかなか「大変」の意味を言わなかった子。
あの子の芝居、好きだわー。
マイナス2度……。気温が氷点下になった記憶を思い出せない、ぬくい世界で生きてる身なので、ちょっと感動してしまった。
そんな寒い寒い朝、さらに寒いだろう宝塚ムラへ。
『宝塚音楽学校第98期生文化祭』、12時の部観劇。
文化祭はWキャスト。12時と16時で演劇の出演者がチガウ。
いつもチケットが手に入った回のみを観ているので、誰の舞台姿を観られて、誰を観られずに終わるのかは、運次第。
去年は友会で当たりすぎたけど、今年は見渡す限り全滅。友会席が見直されたのかもしれない。
てことで、八方手を尽くし、入手できたのがこの回だったんだ。
演劇は谷先生の『アルト・ハイデルベルク』。
……わたしにとって『アルト・ハイデルベルク』というと、『紀元2600年のプレイボール』だったりするんですが、通じる人いますか?(笑)
皇太子カール・ハインリッヒは、2年間の期限付きで大学都市ハイデルベルクで学生生活を送ることになった。彼の下宿には、美しいケティという娘がおり、ふたりは身分違いの恋に落ちるが……。
谷先生の作品だと、学生でもがっつりコスプレすることになるので、勉強になっていいのかなあ。
わたしのなかで印象が強いせいか、マサツカ芝居のイメージがあって、「男役はまだいいけど、娘役はデコ全開ひっつめ髪のまま芝居しなきゃならないから大変」と思い込んでいた。みんな同じ髪型、美人もかわいこちゃんも、これ以上美しくなりようがナイ姿で、がんばって演じるしかないんだ、と。
ソレって正塚先生限定か。
谷先生だと、真面目にコスプレですよ、カツラもアクセも必要ですよ。
女の子たちはドレス、男たちは軍服や宮廷服、みんなカツラ装着っす。
着こなしは微妙なんだけど、それでもみんなすごく張り切って華美な衣装を着て、女の子たちはカツラとかがんばってたし、衣装替えもあるからきっと楽屋でも総力戦であたっているんだろうなと、いろいろ想像させてくれて、胸熱。
主役のカール・ハインツくんは、首席の男の子でした。
丸顔のかわいこちゃん。花組の鳳くんに似ているなーと思って見ていた。
ヒロインのケティは、第1部のポピュラー・ヴォーカルで活躍していた、派手な顔立ちの美人さん。
このふたりの比重がハンパない。
文化祭の芝居ってもっと、全員まんべんなく出番や見せ場がある印象なんだが、今回はまともに主役中心芝居だった。
それだけ期待されているのかな。16時の主演コンビも含め。
このふたりは主役としてのタカラヅカ的ど真ん中芝居をさせられており、あとは皇太子の内侍役の子が「いちばん芝居できます」ポジションかな、という印象だった。内侍くんはひとりボケツッコミっつーか、ひとりで話を回していかなくてはならない役だったので。
首席くんは甘い雰囲気がいかにも「王子様」。
他の登場人物がわいわいやって、さんざん気を持たせたあとに登場するので、大変だったろうなあ(笑)。
それを言うなら、ケティも「美女」と男たち総勢で褒め称えたあとの登場だ。
……このへん、ものすごく谷芝居(笑)。
お勉強にはなったろうし、文化祭なんだからそれだけでいいんだろうけど、未熟さゆえに求心力のない出演者でやるには、ちょっとキツイ芝居だったかと。隣の席のおにーさん居眠りしないで、オチが最初からわかっている、ほんの少数の登場人物が向かい合って会話するばっかのキツイ演出だけど、隣でオチられると気になっちゃったわ(笑)。
もう少し、「文化祭」「デビュー前の学生たちが出演している」ことを踏まえた演出にしてほしかったっす、谷せんせ。
んで、ツボったのは、ラストシーン。
文化祭のプログラムは「第1部 日本舞踊/予科生コーラス/クラシック・ヴォーカル/ポピュラー・ヴォーカル」「第2部 演劇」「第3部 ダンス・コンサート」とわざわざ分けてある。
歌は第1部なの。第2部は芝居だけ、歌はナイの。ストレートプレイなの。
だから余計に、ガチな対面会話による芝居ばかりだと場が持たなくて大変なわけで。
観ながら、「この台詞のあとは、歌だよな」と勝手に考えてしまった。
なんつーんだ、もうカラダがそう出来上がってしまっているというか、ミュージカルのお約束、ヅカのお約束に毒されてしまっているみたいだ。
主人公がものすごーくクサく、型通りにもったいつけてシリアスな台詞を言う、次の瞬間ジャジャンと情熱のソロに入る、みたいな。
身構えた自分に「乙!」という気分だったのに。
主人公、歌い出すし。
えええ。
ストレートプレイのはずなのに?! ラストシーンの今まで、歌もダンスもナシ、台詞だけの芝居だったのに?!
主人公のドラマティック・ソロを受けたヒロイン、こちらもまた、ヅカのお約束で行けば歌い返すはずだが、なにしろこれは文化祭の「演劇」で、ストレートプレイのはず……。
ヒロイン、歌い出すし。
突然のミュージカル!! 10のうち9までストプレだったのに、ラストシーンで唐突に。
歌う主役カップルの周りに、他のキャラたちも歌いながら大集合。過ぎゆく青春、旅立ちます!的に。
うわー……。
ベッタベタに、「タカラヅカ」。ベッタベタに、谷正純。
ヅカのお約束、ヅカ芝居の言い回し、ヅカ芝居のリズム……全部全部、まるっと使ってる!!(笑)
なんせ、ようやく再会した主人公とヒロインの場面で、ヒロインが言うのよ。
「涙が邪魔をして、あなたの顔がよく見えない……」
ちょ……っ!(笑)
ここでまさかのお花様@『望郷…』来たよ!! 谷せんせ、どんだけベッタベタ……。
いやはや。
すごかったっす。いろいろと。
去年の演劇も谷せんせで、やっぱりラストに突然歌があって「えええ」だったけど、前回だけが特別かと思ってたんだ。いかにも特別らしくプログラムにわざわざ書いてあったし。
これからは演劇も歌アリのミュージカルにするのかな。
それなら突然ラストだけミュージカルにせず、全編そうすればいいのに。
首席くんはうまかったと思うけど、ヒロインちゃんと芝居が合っていない気がした。
というのも、やたらふたりきりでの芝居が多いっつーに、ふたりの芝居の力関係を円グラフで表すと、3分の2をヒロインちゃんが押し切っているように思えたんだ。
円グラフはせめて半々、ほんとなら主役が3分の2を取るくらいが本来のバランスじゃないかな?
ヒロインが強くて、首席くんは受けの芝居に回っていた気がする。後手に回っているというか。
ヒロインちゃんがうまくて主役を食っているというよりは、主役が踏ん張りきっていないような。
公演回数を重ねたら変わってくるかもだが、なにしろ文化祭は2回こっきりだ。
パワー円グラフは収まりの悪いままでも、仕方ないか。
難しい役だなと思ったのは、国務長官。
大人の男の役、しかも抑えた風情の辛抱役だ。発散系の内侍役の難しさとは正反対。
冒頭はこんなもんかというか、そうだよね、これが精一杯だよね、と思って見ていたけれど、最後の方はけっこー良かった。
顔と名前が一致しなくて、最後まで見分けられなかったんだけど、ザクセン団の爵位なし学生の2名がなかなか、気になる子たちだった。
んで、わたし的に今回いちばん芝居が気に入ったのは、街の娘のひとり。最初、下宿屋の女将に話しかけたいのになかなか口を開かせてもらえずにいた子。
後半の出番では、もったいつけてなかなか「大変」の意味を言わなかった子。
あの子の芝居、好きだわー。
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