正しい悪役の姿。@オーシャンズ11
2011年12月14日 タカラヅカ とりあえず、ベニーがおもしろい。
『オーシャンズ11』を観て思った。役者として、ミュージカル俳優として、紅ゆずる氏がうまいかどうか、ではない。正直いろいろいろいろやばいと思うんだが、そんなことは置いておいて、とにかく、おもしろい。
好き嫌いはともかく、目立つ。目に入る。これは、強いよな。
嫌いな人にはすげー不快だろう、その芸風の派手さ。無視できないんだもの、画面の端に勝手にちらちら映り込むんだもの。
いやあ。
いいなあ(笑)。
こーゆー「スタァ」はアリだと思う。
ここはタカラヅカだもの。タカラヅカ的な美しさを持つことが前提で、あとは目を奪う人、派手な人が正しい。
ベニーは美しい。タカラヅカ的な美貌を持つ。それゆえに、あのおかしな芸風……とにかく、うるさいキャラクタが許されている。
ベニーを路線に引き上げた人は、なかなかタカラヅカを、星組をわかった人だなと思う。
判官贔屓が当たり前、劇団愛に守られた子は人気が出にくいヅカファン気質。それまでずーーっと脇役一直線で、組ファンにのみ認識され愛でられていた無名のベニーを突然大作主演に抜擢、スター誕生が大好きな人々の真理を突いた。
しかもベニーは星組ファンの好物、ハッタリ系の芸風。
美しさはある、しかし足りないものだらけ……という、ファンの力で育てることが可能な物件。
閉鎖的な星だからこその「うちの子」感で、脇時代を知っている組ファンは「あの子がこんなに立派になって」を味わえるし、他組ファンやライト層は「突然現れた新星!」として無邪気にわくわくできる。
またベニー自身が、こんなタカラヅカ的イレギュラー(トップになる子は入団前から決まってます的育て方がヅカのスタンダード)方針に萎縮せず、むしろ図に乗る性格だった。
なんにもできないくせに、「スタァ」としての存在の仕方は立派。
そこがイイ。それがイイ(笑)。
生真面目さが舞台に出てしまって、そこが残念なジェンヌや役を語るときに、「この役がもしもベニーだったら」と、仲間たちと話す。
「うわ、ウザそう」「絶対図に乗るよね」「カンチガイして暴走するよね」「ソレ観たいかも(笑)」
なんて言われちゃうくらいの、ある意味安心のキャラ・クオリティ。
ベニー自身がどれだけ生真面目に計算に計算を重ねて緻密で繊細に演じているとしても、ノリと勢いだけで突っ走っているよーに見える、あの芸風。
今後どう評価されるのか、また彼がどう変わっていくのかはわからないが、今この時点ではアリだと思う。
つーことで、ベネディクト@ベニー。
The 悪役。
わかりやすく悪役で、派手でかっこよくてバカ(笑)で、素敵だ。
ベネディクト自身苦労人なんだけど、それを吐露する場もあるけれど、彼はハリウッド映画の「悪役」だ、日本映画じゃない、悪役は完璧に悪でないと。
日本人は滅ぶ側に感情移入しがちだし、悪人にもその背景や「ほんとうはいい人」などと夢を見がち。でもアメリカさんはそうじゃない、悪は悪、徹底的にやっつけてよし、悪党が泣き叫ぶ様に拍手喝采する気風。
ベネディクトは、観客に同情されたり、感情移入されちゃいかんのだわ。
ダニー@れおんたち犯罪者チームが悪だってことを、気づかせちゃいけない。ダニーたちは正義、ベネディクトは悪。
突き抜けたキャラなのがイイ。彼が最後「ぎゃふん!」となることを、素直に受け取れる。彼のおかげで、ダニーがヒーローであれる。
いい仕事だなー、ベニー。
色男でおもしろくて。
2番手としての貫禄や説得力があるかというと微妙だが、初日はともかく、千秋楽は図に乗って暴れている感じが存在感になっていた。
てゆーか、気持ち悪くてステキ。
ベネディクト、気持ち悪い。
格好いいんだか気持ち悪いんだか、よくわからない。
だからこそ、目立つ。さらに目立つ。
ナニあの変な人?! 目が離せない。
かっこいい。かっこいいんだよ? でも、それだけじゃない、もっとチガウ(笑)。
期待をはずさない人だ。初日を観て、「公演が進めばきっとキモチ悪くなるよね」と友人と話したまんまの進化。
わたしにもっともっとお金があって、リピートたくさん出来ていたら、もっとチガウ面も感じられたのかもしれない。芝居の深みとか台詞の行間とかを感じ取れたのかもしれない。
でも、ほんの数回しか観劇できなかったので、あちこち観たいところが多すぎて、ベニーだけを全編通してガン見する回は作れなかった。
すごく表面しか観られていないのだろうけど、その表面的な派手さ……気持ち悪さが、良かった。
わたしが彼に期待するものであり、また、この役に期待するものだった。
イケコとベニーは相性が良いのではないかと思う。
イケコの作風は、派手なエンターテインメント。テーマパークのアトラクションを観ているような、気持ちの良い演出。盛り上がってしかるべきところで、ばばーんと盛り上げてくれる、爽快感。
その代わり、叙情的なところは弱い。
純文学ではなく、ライトノベル。小中学生から共感できる系の悩みや嘆き。
緻密でせせこましい構成や、複雑で裏のあるテーマではナイ。ダイナミックでキャッチーな、わかりやすい持ち味。
イケコのエンタメ性と、ベニーは通じるものがあるのかなと。
舞台人としての基本的技術は低いけれど、美貌と勢いでばばーんと煙に巻いてしまうベニー。複雑なモノは表現できないけれど、見た目のキャッチーさで派手に爆発させて細かいことは不問にしてしまう、パワー。
それらはなんともイケコ作品的持ち味。
イケコ自身は、もっと文学的だったり深みのある作品を作りたがっている・創っているつもり、だったりするんだろうけど。
悪の組織がマッドサイエンティストと組んで世界征服うわーー!!が本質であるイケコと、気持ち悪く格好つけて舞台で大暴れうわー!!なベニーは、良いコンビなんじゃないかな?
ドラマシティあたりで、イケコのトンデモオリジナル作品の「世界征服を歌う悪役」をベニーで見てみたいわー。
もしくは、イケコのアニメ的世界観のエンタメ主人公を、大劇場で。
がんばれベニー。このままもっともっと速度を上げて走ってくれ。こーゆージェンヌがいてもいいだろう。
星組でならアリだと思う!
『オーシャンズ11』を観て思った。役者として、ミュージカル俳優として、紅ゆずる氏がうまいかどうか、ではない。正直いろいろいろいろやばいと思うんだが、そんなことは置いておいて、とにかく、おもしろい。
好き嫌いはともかく、目立つ。目に入る。これは、強いよな。
嫌いな人にはすげー不快だろう、その芸風の派手さ。無視できないんだもの、画面の端に勝手にちらちら映り込むんだもの。
いやあ。
いいなあ(笑)。
こーゆー「スタァ」はアリだと思う。
ここはタカラヅカだもの。タカラヅカ的な美しさを持つことが前提で、あとは目を奪う人、派手な人が正しい。
ベニーは美しい。タカラヅカ的な美貌を持つ。それゆえに、あのおかしな芸風……とにかく、うるさいキャラクタが許されている。
ベニーを路線に引き上げた人は、なかなかタカラヅカを、星組をわかった人だなと思う。
判官贔屓が当たり前、劇団愛に守られた子は人気が出にくいヅカファン気質。それまでずーーっと脇役一直線で、組ファンにのみ認識され愛でられていた無名のベニーを突然大作主演に抜擢、スター誕生が大好きな人々の真理を突いた。
しかもベニーは星組ファンの好物、ハッタリ系の芸風。
美しさはある、しかし足りないものだらけ……という、ファンの力で育てることが可能な物件。
閉鎖的な星だからこその「うちの子」感で、脇時代を知っている組ファンは「あの子がこんなに立派になって」を味わえるし、他組ファンやライト層は「突然現れた新星!」として無邪気にわくわくできる。
またベニー自身が、こんなタカラヅカ的イレギュラー(トップになる子は入団前から決まってます的育て方がヅカのスタンダード)方針に萎縮せず、むしろ図に乗る性格だった。
なんにもできないくせに、「スタァ」としての存在の仕方は立派。
そこがイイ。それがイイ(笑)。
生真面目さが舞台に出てしまって、そこが残念なジェンヌや役を語るときに、「この役がもしもベニーだったら」と、仲間たちと話す。
「うわ、ウザそう」「絶対図に乗るよね」「カンチガイして暴走するよね」「ソレ観たいかも(笑)」
なんて言われちゃうくらいの、ある意味安心のキャラ・クオリティ。
ベニー自身がどれだけ生真面目に計算に計算を重ねて緻密で繊細に演じているとしても、ノリと勢いだけで突っ走っているよーに見える、あの芸風。
今後どう評価されるのか、また彼がどう変わっていくのかはわからないが、今この時点ではアリだと思う。
つーことで、ベネディクト@ベニー。
The 悪役。
わかりやすく悪役で、派手でかっこよくてバカ(笑)で、素敵だ。
ベネディクト自身苦労人なんだけど、それを吐露する場もあるけれど、彼はハリウッド映画の「悪役」だ、日本映画じゃない、悪役は完璧に悪でないと。
日本人は滅ぶ側に感情移入しがちだし、悪人にもその背景や「ほんとうはいい人」などと夢を見がち。でもアメリカさんはそうじゃない、悪は悪、徹底的にやっつけてよし、悪党が泣き叫ぶ様に拍手喝采する気風。
ベネディクトは、観客に同情されたり、感情移入されちゃいかんのだわ。
ダニー@れおんたち犯罪者チームが悪だってことを、気づかせちゃいけない。ダニーたちは正義、ベネディクトは悪。
突き抜けたキャラなのがイイ。彼が最後「ぎゃふん!」となることを、素直に受け取れる。彼のおかげで、ダニーがヒーローであれる。
いい仕事だなー、ベニー。
色男でおもしろくて。
2番手としての貫禄や説得力があるかというと微妙だが、初日はともかく、千秋楽は図に乗って暴れている感じが存在感になっていた。
てゆーか、気持ち悪くてステキ。
ベネディクト、気持ち悪い。
格好いいんだか気持ち悪いんだか、よくわからない。
だからこそ、目立つ。さらに目立つ。
ナニあの変な人?! 目が離せない。
かっこいい。かっこいいんだよ? でも、それだけじゃない、もっとチガウ(笑)。
期待をはずさない人だ。初日を観て、「公演が進めばきっとキモチ悪くなるよね」と友人と話したまんまの進化。
わたしにもっともっとお金があって、リピートたくさん出来ていたら、もっとチガウ面も感じられたのかもしれない。芝居の深みとか台詞の行間とかを感じ取れたのかもしれない。
でも、ほんの数回しか観劇できなかったので、あちこち観たいところが多すぎて、ベニーだけを全編通してガン見する回は作れなかった。
すごく表面しか観られていないのだろうけど、その表面的な派手さ……気持ち悪さが、良かった。
わたしが彼に期待するものであり、また、この役に期待するものだった。
イケコとベニーは相性が良いのではないかと思う。
イケコの作風は、派手なエンターテインメント。テーマパークのアトラクションを観ているような、気持ちの良い演出。盛り上がってしかるべきところで、ばばーんと盛り上げてくれる、爽快感。
その代わり、叙情的なところは弱い。
純文学ではなく、ライトノベル。小中学生から共感できる系の悩みや嘆き。
緻密でせせこましい構成や、複雑で裏のあるテーマではナイ。ダイナミックでキャッチーな、わかりやすい持ち味。
イケコのエンタメ性と、ベニーは通じるものがあるのかなと。
舞台人としての基本的技術は低いけれど、美貌と勢いでばばーんと煙に巻いてしまうベニー。複雑なモノは表現できないけれど、見た目のキャッチーさで派手に爆発させて細かいことは不問にしてしまう、パワー。
それらはなんともイケコ作品的持ち味。
イケコ自身は、もっと文学的だったり深みのある作品を作りたがっている・創っているつもり、だったりするんだろうけど。
悪の組織がマッドサイエンティストと組んで世界征服うわーー!!が本質であるイケコと、気持ち悪く格好つけて舞台で大暴れうわー!!なベニーは、良いコンビなんじゃないかな?
ドラマシティあたりで、イケコのトンデモオリジナル作品の「世界征服を歌う悪役」をベニーで見てみたいわー。
もしくは、イケコのアニメ的世界観のエンタメ主人公を、大劇場で。
がんばれベニー。このままもっともっと速度を上げて走ってくれ。こーゆージェンヌがいてもいいだろう。
星組でならアリだと思う!
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