『タカラヅカスペシャル2011』、いろいろ書いて落ち着いたところで、まっつの話。

 まっつファンとして、これほど感動したタカスペはなかった。

 オサ様サヨナラ時のTCAスペシャルもそのサヨナラショー仕様に大泣きしたけど、それとはまた別の感動。

 こういった全組単位のイベントにて、まっつは「声」を聴かせる機会をもらえない。
 歌の得意不得意に関わらず、歌っていいのが「スター」に限られているためだ。
 まっつはもうずっと、「その他大勢」としての出演だったため、バックダンサー・コーラス要員だった。
 ワンフレーズ歌い継ぎがあればめっけもん、というくらいの。

 タカスペは、スターと、そのファンのためにある。
 出演者たちは豪華だけど、番手付きスター以外のジェンヌファンには、いろいろ寂しい催しである。
 組の公演なら得られる扱いを、ここではしてもらえないから。

 どんだけその他大勢扱いでも……いや、そうだからこそ、出演するときは生で観なければならなかった。だってテレビカメラには映らないんだもの、すみっこにしかいないから!
 参加することに意義がある、まっつを見られる貴重な機会である、という以上の意味はないのが、タカスペだった。

 今回は雪組を代表しての出演だけど、今までのまっつ扱い的に、多大な期待は出来ない。
 2009年のまぁくんぐらいの扱いかなと思っていた。
 2009年は花組はDC公演間近で出演できず、年明けのバウチーム数名が代表して出演していたんだ。今回のまっつと同じ立場。
 組単位出演時にまとまって出てきたときは、センター。ちゃんとした1場面はもらえず、他の組にまざってみたり、メドレーでわずかに歌い継ぎをさせてもらったり。
 そんなもんだと思っていた。
 ……それ以下の扱いだったらどうしよう、と不安だった(笑)。

 それが、フタを開けてみたら。

 まともに、雪組3番手として、扱われている。

 えええええ。

 1幕の雪組コーナーにて、まっつはセンター奥の階段から、登場した。

 去年までその他大勢、いちばん良くて6人口にしか登場できなかったまっつが、梅芸メインホールの舞台に、たったひとりでセンターに立ち、歌う。

 今までの扱いと違いすぎて。
 見るなり心臓バクバク、体温が急上昇したのが、自分でわかった(笑)。
 ナニが起こっているんだ……。

 泣けてきたのは感動というより、生理現象だったんじゃないかと思う。
 体温が急激に上がりすぎ、本能的に温度調節を必要としたんぢゃないか? 顔がほてりまくって変な汗かいて、ナニか感じる前に涙が出て……って、ほんとコレただの生命維持活動だと思う……し、しなないために、ひつようだったんだ……。

 ソロで歌ったのは、「ニコライとプガチョフ」。
 男ふたりの掛け合いの曲なんだが、自分のパートのみ歌った。
 衣装は「La Vida」@『ロック・オン!』のときの薄紫燕尾。
 あのしあわせだった全ツの記憶が甦り、走馬燈のよーに現在目にしているモノに二重写しになる。あうあう、苦しい。しあわせすぎてくるしい。

 劇中歌でしかも一部分だから、ソロはあっちゅー間。

 プガ様ソングを歌い終わると、がらりと曲調は変わり、『H2$』。
 上手からコマ、下手からきんぐがフレーズをソロで歌いながら登場、あゆっちと翔くんも現れて、5人で歌う。
 衣装は5人とも色違いでカタチは同じ……ってゆーか、La Vida衣装って、こんだけ色違いであったんだ!!と、関係ないとこに驚愕。

 コーラスで歌う『H2$』だから、見慣れた姿。
 でもチガウの、まっつセンターなの、メインボーカルなの。キムくんが歌っていたパートなの。

 ここで困ったことにわたしの海馬は勝手に『仮面の男』の「努力しないで無銭飲食する方法」が甦ってきたりしたんだけど、それと同時に、しあわせでしあわせてたまらなかった、オサコンの記憶が甦っていた。

 頼りなげな顔のまっつを、歌いながら抱き寄せるオサ様。
 そのかがいた、彩音ちゃんがいた、ゆまちゃんがいた、しゅん様が、めぐむが、……みんなみんな、いた。
 もう帰らない日々。みんないない。今この花園にいるのは、残っているのは、まっつの他はみわっちとまぁくんとじゅりあだけ。

 感動、が、わたしのなかの「しあわせの記憶」を刺激する。呼び起こし、あふれさせる。

 あの八の字眉毛で困った顔のまま固まっていたまっつが、今、あのときのオサ様と同じ歌を歌っている。
 余裕綽々でかわいこぶり(笑)、あの頃のまっつのような下級生たちに囲まれている。

 うわわわわ。わわわ。
 心臓鳴りすぎて、ピストン早すぎて、やばいよ、止まらないよ。

 で、雪組コーナーの最後は「世界の王」。

 わたしは『ロミオとジュリエット』が好き。
 作品自体が大好きで、雪組の『ロミジュリ』が好きで好きで仕方がない。ヅカヲタやってそこそこ長いけど、ここまで好きになった作品はない。
 それくらい好きな作品、もう二度と会えないと肩を落としていた作品の、大好きな歌を……もういちど、聴けるなんて。

 もちろん、キムくんセンターの、大劇場公演まんまのメンバーで再現してくれたらうれしい。
 わたしは彼らの「世界の王」が大好きだった。

 だけどもうそれは叶わず、今ここで「雪組の今年の舞台を振り返る」ことができるのは、まっつを含めた5人だけだ。

 今ある中で、最高のカタチで、「世界の王」と再会できた。

 ベンヴォーリオがセンターで歌う、「世界の王」。

 厳密にはベン様ではないんだろう、まっつはもっとニュートラルに歌っていた。センターで。

 そう、「主役」としての歌い方だった。

 変にキャラをいじらない、ど真ん中の「主役」的歌い方。素直に、明るく、若く、キラキラに。

 もう一度ベン様に会いたかったわたしは、ベン様が歌っていた歌を歌うまっつにくらくらし、さらに、ベン様ではなく主役……ロミオ風に素直な若者の顔で歌うまっつに、くらくらした(笑)。

 じ、情報量多すぎ……処理できねー……。


 組を代表して出演しているんだから、自組コーナーでセンターなのは当たり前のことなんだけど、そんな姿見たことなかったし(まつださんは、未だにショーでセンターの場面を経験していません・笑)、いくらでも誤魔化してまっつにセンターさせない演出方法はあるわけだし、きっとそうなるだろうと思っていたんだよ。
 なにしろほら、直前のショー作品が『RSF』ですよ? あーゆーことかと思うじゃん?
 腹括るというか、覚悟するじゃん。どんなことになったって、ついていくだけなんだから。

 劇団のサディストぶりはすごいわ……上がって下がってまた上がって、もー大変。
 こんだけはらはら揺さぶられたら、ますます夢中になっちゃうわ。

 つか、出演している4つの組の3番手は、全員等しくソロでの見せ場があったんだけど、センターから登場させてもらったのはまっつだけなのね。
 トップのキムくんがいない、ための嵩上げ演出だとしても、そうやって気を遣った演出をしてくれることが、マジ泣きするほどうれしかった。ありがとうありがとう。

 1幕前半の雪組コーナーだけで、もー息も絶え絶え。
 なんなのこのありがたいタカスペは。
 こんだけ幸せだと、次がこわいよー。

 続く。 

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