『インフィニティ』の各公演最後の挨拶にて、何故かまっつがカミカミになってしまった話、続き。

 初日からしばらくは、淀みなく流暢に締めの挨拶をしていたまっつ。
 それが公演が進むにつれ、噛み出すようになった。
 本人は噛まないようにと大真面目だし、下級生たちもそれぞれまっつを見守るようになっていた。

 そんなある日。

 いつものよーにまっつが噛んだ。が、本人はそのまま流して話を続けようとした。

 そのとき。

「イエ~~イ!!(笑)」の声と共に、下級生たちがジャンピングウェーブをはじめた!! 上手から下手へ波が起こる。

 や、マジ突然。
 観客もびっくり。

「今のセーフじゃないのー?」
 とか、まっつは後ろ振り返って言いつのってるし。

 えー、説明ナシです。

 たとえば前日に「今度噛んだらみんなでウェーブするって言われてるんです」とか説明があったわけじゃないっす。
 たまたまその回を観た人に「この公演は、そんなルールなの?」って聞かれたけど、いやいやいや、んなルールないです、知らないです(笑)。それとも、出待ちとかしているファンの人たちなら、本人から聞いたりしてたのかしら。
 少なくとも観客には一切告知なし、その上、突然やっておいて、それでも説明なし。

 いやもお、かわいいったらナイ。

 ルール告知がなかっただけに、イベントとして企画したのではなく、ほんとに仲間たちがわいわいやった流れでできあったことなんだろうなと思える。まっつ自身、下級生たちがほんとにやるとは思ってなかったんじゃあ?
 だって、ウェーブの先端切るのはコマやヒメたち上級生ではなく、端っこの最下級生っすよ? 上級生の意を汲んでの行動なのは当然としても、組内2番目の学年のこの公演の座長にツッコミ入れるのが最下級生ってとこで、このカンパニーの盛り上がりが、わかる。
 すごーく学年の離れた下級生がツッコミ入れられるくらい、みんなが「仲間」なんだ。

 わたしはまっつがどんな人なのか知らないし、他の下級生たちにしろまったくわかってないんだが、今、この笑顔にあふれた空間を見ているだけで、満たされた気持ちになる。
 信頼と、愛情。
 それが見える空間は、人々は、とても微笑ましい。愛しい。

 その愛情の詰まった場の中心に、まっつがいる喜び。
 シンプルに、うれしい。

 この雰囲気のカンパニーだから、こんなにも素晴らしい舞台を見せてくれているのだなあと思う。

 ……もちろん、挨拶を噛むのは良いことではない。
 でも、大劇場という公の場ではない、個人のバウ主演の場という閉ざされた空間では、挨拶で噛んでしまうのもある意味ファンサービスだよなあ。と、思った。いつもは見られない、素の顔が見えるから。
 まっつ本人は、噛まないように必死の努力をしていたし、噛むたび謝り、「わざとじゃないんです」と言っていた。噛むとウケることはわかっていただろうに。
 これまでずーーっと、隙のない挨拶しかしてこなかった人だから、そうでないところを見られることが、うれしいよ。まっつ自身、こんだけ毎日毎回挨拶する立場は、生まれてはじめてだろうしねええ。そりゃ、本人が目指すもの以外の結果になっちゃったりするよ。

 公演前半は、『Samourai』組が観に来てくれたりお客様いろいろで、挨拶時にそれを紹介してきれいにまとめていた。
 後半、言うことがなくなってくるに従って、いろいろ大変そうだったなと(笑)。

 今日は言うことなさそうだな、どうするんだろう? てな微妙な沈黙のあと、「お楽しみいただけましたでしょうか」と言い出すところに、勝手に胸熱。
 というのも、「お楽しみいただけましたでしょうか」の言い方、空気やイントネーションがまとぶさんまんまで。
 まとぶんの挨拶を、ずーっと後ろから見守ってきたまっつならではだなあと思い、うれしくもくすぐったくなる。
 まとぶん時代の花組も、まっつも、大好きだったよ。

 かしこまって、挨拶。
 繰り返すのは、感謝の言葉。
 伝えようとする、意志。
 終演後の挨拶ってのは、そういうものだよね。
 ……噛もうと、噛むまいと(笑)。


 さて、カミカミ罰ゲームウェーブの起こった翌日。
 まっつさんがすげーがんばって、噛まずに挨拶をやり遂げたのは、言うまでもない。
 客席が期待しているのわかっているだろうに、絶対サービスで失敗したふりなんかしない人だ。直球勝負あるのみだ。

 ……別の回にやはり噛んじゃって、ウェーブ起こってたけどなー(笑)。

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