『インフィニティ』の、まっつ以外の出演者について、ぼちぼちと。

 この公演で見直したというか株が上がったというか、コマくんに着目した。
 や、コマくんには『雪景色』ですこーんとハマって以来一目も二目もおいているので、今さら見直したもナイんだが。

 しみじみ、いい子だなと。
 すごい子だなと。

 コマつん自身のスターとしての力は、今まで見てきた通り。
 今回思い知ったのは、カンパニーの中での、彼の力。

 1場面与えられたら、ちゃんとセンターとしての仕事をする。
 それでいて、2番手の仕事……「助演」としての役割を求められるときの、的確さ。
 出すぎない。でしゃばらない。実力で場を支える。しかし、埋没しない。地味にもならない。

 って、ナニこれ。
 すげえよ。

 きんぐには、そこまで感じない。
 彼は自分にできる精一杯を、ありのままにやっている。
 翔くんは自分のことだけでいっぱいいっぱい。奮闘中。

 男役ではコマだけが、周囲を見渡し、バランスを取っている。(娘役では、ヒメが同じようにやってます)

 ありがたいなと。
 なんかもー、しみじみ感謝しました。
 や、わたしが言うのもおかしなもんですが。おこがしいとは思いますが。
 感謝したの。
 コマつんがいてくれて良かったと、『インフィニティ』の成功は、まっつの成功は、コマくんはじめ仲間たちがいてくれたからなんだと思いました。


 決められた仕事をする以外に、コマはアドリブで舞台を盛り上げてくれた。
 まっつが仕掛けたりナニもしなかったり、気ままだったベネツィア。
 まっつがナニかすれば、的確に返してくれる。ナニもしなければ、さらっと流してくれる。
 毎回やるならともかく、いつやってくるかもわかんない絡みに、いちいちリアクションしてくれてありがとうだわほんと。
 それとも、前もって「今日絡むから」ってまっつから予告でもあるの?(しそうにナイ気がする……)

 で、いちばん派手に実力(笑)を発揮していた、インド場面。
 やる気があるんだかないんだかの、おかしな侍従役。
 マッツマハラジャ様にクビを言い渡されて去って行くときの、声の挙げ方に変化を付けて、リピーターからも笑いを取っていた。
 楽近くになると、マッツマハラジャ様の投げたオレンジに当たった演技(声)まで付け加えて。

 ほんとセンスあるわ、コマくん。

 そのあとの彼の見せ場、フィリピンの歌手も好きだったさ。
 コマくんの声とねっとり熱と湿り気のある歌い方が、曲と雰囲気に合っていて。


 それから。

 舞台でのコマつんのステキさとはまた別次元のことなんだけど。

 まっつファンとして、とても感謝していることがある。
 それはフィナーレの「ご挨拶」部分だ。

 ラストの場面で、出演者全員が順番に挨拶をする。
 喋るわけではなく、音楽に乗ってセンターへ進み出、思い思いのポーズで一礼する、というやつだ。
 下級生順にスタートして、コマくんは最後から2番目、まっつの前。

 この「ご挨拶」はフリーダム。
 みんな個性発揮、盛り上がってたのしいキモチのまま、キラキラした笑顔のまま客席にアピールする。
 いちばん濃いのは朝風くん。毎回違ったポーズで強いアピールをする。
 娘役ではもちろんヒメ。
 このふたりは、毎回「ナニやってくれるんだろう」とわくわくする(笑)。
 翔くんは美形っぷりに磨きを掛けてアピるし、きんぐもまたカッコ付け激しい。
 どんどんあとになるほど濃ゆいアピールをする人たちの中で、最後から2番目のコマつんは。

 とりたてて、ナニもしない。

 二本指の敬礼を左右に飛ばすだけ。

 とても抑えた、シンプルなアピール。

 どうして? コマのキャラからすれば、ものごっつーねっとりした、派手な爆弾アピールかましても、不思議じゃない。
 なまじ他の子たちが、学年が上がるにつれ濃ゆーく濃ゆ~~くアピってるんだ。
 コマのところでトーンダウンするなんて、おかしい。

 初日に見たとき、がっくりきた。
 え、なんで? って。
 右肩上がりの折れ線グラフが、コマのところでがくっと下降したから。

 でも、その直後にまっつが出てくることで、あれ?と思った。

 ひょっとして、このため? と。

 初日に感じた違和感は、回を重ねるごとに確信になった。
 他の子たちがどんどんはじけて派手になるアピール場面で、コマだけががんとして地味に抑えている。

 まっつの、ためだ。
 自分の直後に登場する、主役のためだ。

 コマくんなら、もっと派手にねちっこく、「自分のために」盛り上げることが出来る。
 なのにあえて、それをしない。
 助演である彼は、次に登場する主役のために、あえてトーンダウンさせているんだ。

 いったんコマのところで熱を落とせば、最後の「真打ち登場!」のまっつが、盛り上がる。

 自分のアピールポイントを削ってでも、「この公演のため」の仕事をしてくれている……!

 なんて、ありがたいんだろう。
 なんて、いい子なんだろう。
 なんて、なんて……。

 こんなこと感じているのはわたしだけかと思ったら、まっつメイトも同じように言っていて、あ、やっぱそうなんだ、と思いを強くした。

 当たり前の顔で、さらりとこんな仕事をしてしまえる、コマくんってなんてすごいんだろう。
 こういう子が当たり前にいる、これが「タカラヅカ」のすごさなんだ。


 コマくんをはじめ、ひとりひとりの力を結集して、『インフィニティ』号は旅をした。
 すごい公演だった。
 驚きと感動が詰まっていた。

 得がたい空間を、共有できたのだと思う。

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