ヴェローナは大騒ぎ。@新人公演『ロミオとジュリエット』
2012年7月10日 タカラヅカ※上演時間の都合により、抜粋された場面の上演となります。また、上演場面につきましては、著作権上の許諾をもとに、選定しております。
1本モノを短縮して上演するのが当たり前の新人公演で、ついぞ見たことのナイ注意書きがプログラム冒頭にありました。
雪組新公の演出が、どんだけ不評だったかってことだな。
こうしてわざわざ「ひどい構成で上演するけど、劇団のせいじゃないから、文句言わないでね!」と書いてあるってことは、前回相当苦情があったんだろうなあ。
ある意味、ほっとしました。
どんな演出でも観客は黙って受け入れるのみ、ひどいものを「ひどい! あんまりだ!」と言っても劇団には届かないのかと思っていた。
『仮面の男』の件もあるし、ひどい演出に関しては、「ひどい」って認めてもらえるんだね。(人事その他については、観客の声なんてまーーったく届かないにしろ)
つーことで、月組新人公演『ロミオとジュリエット』。
演出っつか構成は雪組新公とほぼ同じ。いきなり仮面舞踏会で、主人公もヒロインも、他の主要人物も全員白尽くめ+仮面着用で、誰が誰だがまったくわからず。
主役が誰かわからんわけだから、ストーリーもわからない白尽くめの人々のドタバタ群舞を何分間も見せられ、途方に暮れた頃によーやくロミオ@たまきちとジュリエット@咲妃みゆちゃんのふたり場面になる。
雪組で耐性付いていたから、まあなんとか、最初から「こーゆーもん」と乗り切った。
ほんと、ひでー演出。
ともあれ。
死@ちなつくん、ステキ。
ナニあの耽美な人!!
美しいです。しなやかです。
なのに、不気味。
立ち姿とか、不自然に前傾していたり、左右非対称だったりして、生理的に「ぞわっ」とする感じ。気持ち悪い。それがもお、すごく「死」だ。
ちなつくんをゆーひくんに似ていると言う人がいるってのを、はじめて理解した。
たしかに似ている……。
耽美なダーク化粧すると、すごくゆーひくんっぽい。
死を眺めているだけで堪能できる新公だった。
つか、もっぺんちゃんと死だけオペラで追いかけたいんで、新公あと2~3回上演してくださいよ(笑)。
ベンヴォーリオ@ゆうまくん、でかっ。
最長身ベンヴォーリオ……。公称身長177cmっすよ。月組最長、全組合わせたって、そっから上は悠未さんとか十輝さんとかですよ……。
雪組の小さなベンヴォーリオを見慣れているモノとしては、異生物を見るハァトですわ……でかいー……。
月組新公をなにがなんでも観に来たのは、ゆうまくんのベンヴォーリオを見るためだったと言っても、過言ではない。
本公演でおっさん役なので、若者役、二枚目役をやるゆうまくんが見たかったの。
ふつうにうまかった。うん、ふつーに。
……プラスアルファの発見は、なかった。
本公演の大公役がうまい、そのまんまに、ベンヴォーリオ役もうまい。
同時に、大公役で足りていない部分は、ベンヴォーリオ役でも足りていなかった。
歌はうまいけど、芝居部分は歌ほどじゃない、声がまだ男役じゃない。
あと、大公よりも芝居している時間が長いし、いろんなことを表現しているので、ひとつものすごーく気になった。
呆然としているときの表情が……美しくない……。
役者なんだから、いろんな表情をしてしかるべきだし、あえてアレな顔をするのはいいのよ。それが必要だと判断し、計算と確固たる意志でやっているならば。
でもたぶん、そうじゃないよね?
「美しいことが基本のタカラヅカだが、あえて俺はタカラヅカを超えた表現をしてみせる!!」となにもかもぶちこわしてもいい、それで起こることすべて受け入れる覚悟の上であの表情をしているわけぢゃ、ないよね?
単にまだ、美しく見せる技術が足りてないだけだよね……?
役に入り込んで泣いたり傷ついたりするのはいい。でも、役者は自分のナマの感情を見せるだけじゃだめだ、表情を含む身体をコントロールして「表現」しないと。
ゆうまくんはふつーにしていれば、かっこいい。
だからどうか、動いて、芝居して、さらにかっこよくあってほしい。
技術を磨いて欲しい。
や、今でも学年のわりにうまいんだけど。それはわかっているけど、もっと!と、期待してしまう。
マーキューシオ@朝美くん。……ちっちゃっ!!
って、公称身長169cm、決して小さくないんだけど、ベンヴォーリオ177cm、ロミオ172cmと並んじゃうと、小さいわ……(笑)。
相変わらずイケメンです。
そしてなんつーか、とってもマイペースなマーキューシオでした。
1幕前半をカットされているとモンタギューチームがとっても割を食う。マーさんも同じ、見せ場が半減。
ほぼ唯一だよねって見せ場、死の場面にて。
「あれ言ってこれ言って、それから次はこれ言って、はい死んだ」という忙しさ。やることたくさんあるの、それを全部やるのに必死で、順番守るのに必死で、周囲のことは見えてないっちゅーか、気にしてない?
うっわー、マイペースやな~~。
ちょっと唖然と、オペラグラスのぞいてました(笑)。
ロミオはついて行けないと判断したのか、そもそもそういうキャラなのか、気にせずにゆっくり嘆いてるし。
ベンヴォーリオはその~、あまり美しくない表情で固まってるし。
モンタギュートリオ、大変そうだなあ。
もしも新公が文化祭みたいにあと何回か続けて上演されたら、この子たちはどう変わっていくんだろう。
マーキューシオは変わりそうで、ワクテカなキャラだ(笑)。
さらに暴走するか、それとも周囲を見回す余裕ができるのか。
見てみたかったなー。
ジュリエット@みゆちゃんは、かわいかった。
歌が大変そうっていうか、ブレスが大きすぎで、最初なんでこんなに溜息つきまくるんだろう、と首を傾げたよ。
息継ぎしていると思わないくらい、大きな音なんだもん……。
あとになればなるほど芝居も発声もよくなっていって、初ヒロインとしては十分だったんじゃないかと。
つか、かわいいってのはいいわー。
しかし、やっぱ前髪ぱっつんなんだ……イケコよ……(笑)。
ロミオ@たまきちは……うーん、別に悪くはなかった、よ……ね?
たまきちに関しては、いちばんの感想が、発見がない、だった。
や、ただのわたしの問題。
ほとんどヒロイン、てな新公2番手役であざやかにデビューして、今回で主演3回目。本公演やその他公演での露出の多さもあって、見慣れた感のあるたまきちくん。
その、見慣れた、ままのたまきちだった。
外見は若く作っていたし、若い芝居も別に悪くはないんだけど……いわゆる「ロミオ」というキラキラした美貌ではなかったし、外見をぶっ飛ばすほどの圧倒的歌唱力も演技力も、今回は発揮していなかった気がするし。
ふつうに良かったけど、3回目の主演で大役で、ふつうに良かった、というのは、どうなんだろう……。
彼は本公演の死役も生彩を欠いているし、伸び悩みの時期なのかなあ。
ロミオが似合う……つまり、みりおくん的美貌やかわいらしさを、たまきちに求めるのは柄違いってことなんだろうけど、劇団がソレを求めているみたいなんで、こりゃもうがんばっておくれよと。
あ、衣装がなつかしかったっす。雪組ロミオ……(笑)。
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