ところで、今大劇場ロビーでやっている、宝塚GRAPH800号記念 芦沢仁 イラスト・原画展「タカラジェンヌ」

 あれだけ大量に、昔から今までのスターのイラストが並ぶと圧巻ですな。
 無料だし、写真撮り放題だし、扱いが生原画というより、ポスター(印刷物)並なんだが。

 わたしはこのレーターさんの絵が好きではない、ぶっちゃけ苦手な絵柄なんで、感想が辛くなってます。好きな人はすみません。
 あ、わたしが若い頃はイラストレーターさんをレーターさんって呼んでたけど、今はチガウかも? 「この作品にこのレーター合わないよ」とか「レーター買いした」とかそんな言い方を仲間内でしていたもんで、そのままの言い回しを使ってます。


 好きな絵柄でも画風でもないし、この人に好きなジェンヌや芸能人を描いてもらいたいかと言われると微妙だと思っていたんだが、この展覧会でひとつ、ウロコが落ちた。

 昔は、「似顔絵」を描いてたんだ!!

 最初に劇団から仕事をもらったころは、ちゃんと「似顔絵」だったんだな。
 そのジェンヌの生の姿を見て、動く表情や特徴を理解し、デフォルメして「絵」にしている。

 わたしがヅカファンになり、機関誌を書うようになった頃には、すでに「似顔絵」ではなくなっていた。
 えっとこれ、「写真のトレース」だよね? てなイラスト。
 そのジェンヌの魅力も知らないし大して興味もない、劇団から参考資料にもらった写真から1枚選んでトレースしてるだけだよね? それでも昔なら「手書きでトレースして、てんてんで表して、すごいね」だったかもしんないけど、今の画像ソフトなら、写真から輪郭だけ抜き出してこれ位の絵、出きるよね? てな。
 写真ベースにしているのが丸わかりな画風なんだもの。厳密なトレース絵ではさすがにないんだろうし、特徴のある顔の人なんかはちょっとデフォルメしたり(わかりやすく目が離れている人の目を、さらに離して描いたり)しているけど、元が写真だということは、間違いないだろう。
 昔の作品は、トレースではありえない、「生きた絵」だったもん。
 残念な変化だなあ。

 ヅカファンはこのレーターさんの絵が好きなわけじゃなくても、贔屓のジェンヌが「イラストになっている」というだけで喜ぶ。取り上げてもらうと喜ぶ。
 レーターを好きなわけでも、絵が好きなわけでもない。観点は「ジェンヌ本人に、似ているかどうか」。ひょっとしてそれで、どんどん写真トレース画風になっていっちゃったんだろうか。「似てればそれでいいんだろ」と。

 そうやって「元は写真だよね?」と思える画風なのに、「似ていない」人もけっこういる。
 たぶん、元の写真のチョイスが微妙なせいだろう。ファンが求めるジェンヌのイメージ、その人らしさ、キメの角度、魅力を感じている表情、そういった「ファン目線」を理解していないためだろうと思う。
 何故この表情? 何故この髪型? 何故よりによってこの衣装、このかぶり物?? てな。
 その結果、元写真には似ていても、ジェンヌ本人には似ていないイラストが出来上がるのかなと思う。

 興味のないレーターさんなので、さらーっと流し見していたんだけど。
 途中から、焦りだした。

 まっつが、ない。

 えええ? なんでないの? あたしがちゃんと見てないから?
 全部見る気はなかったんだけど、まっつが見あたらないから、端から端まで全部見ちゃったよ(笑)。
 でも、1周しても見つからない。
 2周しても、見つからない。

 なんで?

 落ち着いてよーっく考えよう。これは「グラフ」に掲載されていたヤツだよね? んで、まっつが載っていたあたりの年数が展示されているところを、重点的に眺めよう。
 1枚ずつちゃんと。
 絵だけではなく、小さく書かれている名前も読もう。

 あった。

 蓮水ゆうやさんだと思ってスルーしていたイラストが、まっつだった(笑)。

 あー、当時も似てないって言われてたヤツだーー。
 なんにせよ、まっつが見つかって良かった。

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