私とあなたは裏表。@夢まつり宝塚’94
2014年1月17日 タカラヅカ
『風と共に去りぬ』を観ると、無性に、『夢まつり』が見たくなる。
1994年、80周年に行われたTMPスペシャル『夢まつり宝塚’94』は、捨て身のパロディ公演だった。
どう捨て身かっつーと、この年劇団は大々的に『風と共に去りぬ』を大劇場で上演しているんだ。天海祐希率いる月組でバトラー編、一路真輝率いる雪組でスカーレット編。前夜祭、役替わり、他組スター特出と、全組巻き込んでのフェスティバル、まさに『風共』祭り状態の年だったんだ。
その、本公演で『風共』を上演しまくった年のTMPスペシャル……今で言うところの『タカラヅカスペシャル』にて、全組それぞれ『風共』パロディを上演した。
ただでさえ再演を繰り返している有名作、しかも今年再演したところで、現在のヅカファンならほぼ全員知っる・観ている作品をネタに、全4組が、パロディを。
ただ衣装を着てコントをやった、というレベルじゃない。
舞台装置は、本物だ。
ピティパット家もバトラー邸も、樫の木屋敷の庭園も。本公演で、実際に使った物だ。
その本気の舞台セットの中で、本物の衣装を使い、パロディをやる。
どんだけ本気なん。どんだけ捨て身なん。こわい。宝塚歌劇団がこわい……!!
……というレベル(笑)。
忘れもしない、雪組版の「スカーレットがいっぱい」編。
本公演でスカーレット役のいっちゃんがバトラーとして登場、あの美声で朗々と「さよならは夕映えの中で」を、銀橋を渡りながら歌い、なんてまともなはじまり方……と思ったら、本舞台にスカーレットが、3人。
背中を向けて登場し、「ファニー・レディ」を歌いながら、ひとりずつ振り返る。
最初のひとりが、トドロキ。
はい。
爆笑されまてました。
次に振り返るのがタータンで、最後がセンターのタカネくん。このふたりはちゃんと拍手もらってた。
トドのみが、爆笑。
ただひとり、男声のままで歌ってたしね。
トドのインパクトが強すぎて、他のふたりは笑われなかったんだよねえ。
なつかしくなって、ビデオを発掘。
封入されている冊子はオールカラー46p、歌詞まで載ってる大盤振る舞い。今と比べると、なんて親切設計。
トドスカが振り返ったときだけ、拍手少ない……(笑)。
わたしはトドよりも、古代様のスカーレットを必死にオペラで追ってたんだっけ。その他大勢として登場する古代様を補足するのは大変でなあ……。
当時のわたしも雪ファンだったので、特に雪組場面に必死だったけれど。
4組『風共』パロディ競作、もっとも面白かったのは、星組版だ。
忘れもしない、ふたりのバトラー、飲んだくれスカーレット、そしてそして、ノルさんの代表作だと信じている、秀逸なアシュレ!!(笑)
演出/中村A 『風と共に去りぬ~私とあなたは裏表~』
スカーレットが愛したバトラーとは、一体何者だったのだろう…
今でも友人たちと語りぐさになっている。
まさかの「バトラーとスカーレット逆転バージョン」。
性別はそのまま、役割だけが男女逆、という。
幕が開くと、「街の男」たちがカーテン前で「♪お聞きになった?」と歌い出す。
「バトラー船長とアシュレが?!」
ケネディ雑貨店で、ふたりが抱き合っているのを見てしまったと言うんだ。
「♪お聞きになった?」「♪嘘でしょ」
ハッチさんとかヒロさんとか、堂々たる顔ぶれの男たちが歌う……本編でおば様方が噂話に花を咲かせるのと同じノリで。
まあ、最終的に彼らは「素敵」「いいと思う」とか口々に言いながら退場するんだけど。……ナニこの腐女子目線な男子たち(笑)。
次にバトラーI@シメさん、バトラーII@マリコさんが登場。
や、バトラーが大真面目な顔でふたり出てきた段階で、大笑いだったよなあ。
なのにマリコバトラーがめっちゃ色男全開(なにしろ本公演バトラー経験者ですから!)に、
「どうするんだね、あんなところを街のうるさ方に見られて」
って、スカーレットIIの台詞を言うもんだから、瞬時に理解できる、スカーレットとスカーレットIIの言い合うあの場面を、バトラーでやるんだってこと!!
「スカーレットの耳に入るのも時間の問題だな」
ふつーに話しているだけで、おかしくておかしくて。
しかも、話している内容が。
「しかし、抱かれているのを見られてしまった」
「やめてくれ。抱かれたなんて言うんじゃない。私が抱いたんだ」
トップスター様と、2番手スター様が、ヒゲのダンディ姿で、大真面目に言い合ってます。
そして、あの演出。
ぴこんとライトが走り、ふたりのバトラーが、「♪私とあなたは裏表」を歌い出す……!!
歌詞そのまま、振付そのまま!!
スカーレットとスカーレットIIの、あのかわいらしいナンバーを。
わ、わらいしぬかとおもった……。
そして次の場面は、もちろん本気のバトラー邸舞台セット、例のテーブルで、飲んだくれるスカーレット@あやかちゃん。
この、嫉妬に身を焼き酒をあおる、飲んだくれスカーレットの美しいこと!!
そして、『風共』きっての名場面を、役割逆転したまま、やる。
飲んだくれスカーレットがバトラーを床に転がし、
「あなたがあたしの腕に抱かれながら、あたしをアシュレだと思っていることは、ちゃんと知っているのよ」
「あたしはこの手でなんの苦もなく、あなたを八つ裂きにすることが出来るのよ」
……だもん。
抱いているのか、スカーレット! バトラーを!!(笑)
八つ裂きに出来るのか!! くるみ割りOKなのか!
すごいよスカーレット! 強いよスカーレット!!
その横で、バトラーIIとアシュレ@ノルさんの回想シーン。
2幕最初のオハラ農場にて、スカーレットがアシュレに「一緒に逃げましょう」と誘う場面……と、あといろいろ混ざってる。
首に花を付け、内股で歩くナヨ男アシュレに、色男全開のマリコバトラーが本気で口説きに掛かる。
「ぼくにはメラニーがいるんだ」
「ちがう、君は僕を愛しているんだ」
「愛してなんかいない」
「愛してるんだ」
……ヅカの舞台上、それも大劇場で、まさかの、ホモ芝居。
スカーレットの情熱に、アシュレはつい我を忘れ、激しいキスを……のくだりを、男同士で、やる。
「いけない、こんなことをしてはいけない!」
寸前で、アシュレが逃げるんだけど。
客席は笑ってるけど……笑ってるけど、「どうしよう?」「いいのか、これ?」というとまどいも、確実に漂ってたよ……(笑)。
で、場面戻って飲んだくれスカーレットが、バトラーを力尽くで引きずっていく。
「今夜はいつも、あなたがアシュレの幻を追っているベッドで、二人っきりで休むのよ」
いやもお、どうしろと(笑)。
ものすごすぎて。
今もこの「記念すべき80周年」であるはずのTMPスペシャルだけ、スカステで放送されないのは、このやり過ぎ芝居のせいぢゃないかと、疑っている……(笑)。
や、最初は著作権の問題で『風共』は放送できない、って話だったけど、今はもう期限切れてるんだよね? ふつーに本編放送してるもんな。
なのに、このパロだけ放送されてないのだとしたら、そのせいかも、と勝手に思う。
それくらいギリギリで、面白すぎたもん。
1994年、80周年に行われたTMPスペシャル『夢まつり宝塚’94』は、捨て身のパロディ公演だった。
どう捨て身かっつーと、この年劇団は大々的に『風と共に去りぬ』を大劇場で上演しているんだ。天海祐希率いる月組でバトラー編、一路真輝率いる雪組でスカーレット編。前夜祭、役替わり、他組スター特出と、全組巻き込んでのフェスティバル、まさに『風共』祭り状態の年だったんだ。
その、本公演で『風共』を上演しまくった年のTMPスペシャル……今で言うところの『タカラヅカスペシャル』にて、全組それぞれ『風共』パロディを上演した。
ただでさえ再演を繰り返している有名作、しかも今年再演したところで、現在のヅカファンならほぼ全員知っる・観ている作品をネタに、全4組が、パロディを。
ただ衣装を着てコントをやった、というレベルじゃない。
舞台装置は、本物だ。
ピティパット家もバトラー邸も、樫の木屋敷の庭園も。本公演で、実際に使った物だ。
その本気の舞台セットの中で、本物の衣装を使い、パロディをやる。
どんだけ本気なん。どんだけ捨て身なん。こわい。宝塚歌劇団がこわい……!!
……というレベル(笑)。
忘れもしない、雪組版の「スカーレットがいっぱい」編。
本公演でスカーレット役のいっちゃんがバトラーとして登場、あの美声で朗々と「さよならは夕映えの中で」を、銀橋を渡りながら歌い、なんてまともなはじまり方……と思ったら、本舞台にスカーレットが、3人。
背中を向けて登場し、「ファニー・レディ」を歌いながら、ひとりずつ振り返る。
最初のひとりが、トドロキ。
はい。
爆笑されまてました。
次に振り返るのがタータンで、最後がセンターのタカネくん。このふたりはちゃんと拍手もらってた。
トドのみが、爆笑。
ただひとり、男声のままで歌ってたしね。
トドのインパクトが強すぎて、他のふたりは笑われなかったんだよねえ。
なつかしくなって、ビデオを発掘。
封入されている冊子はオールカラー46p、歌詞まで載ってる大盤振る舞い。今と比べると、なんて親切設計。
トドスカが振り返ったときだけ、拍手少ない……(笑)。
わたしはトドよりも、古代様のスカーレットを必死にオペラで追ってたんだっけ。その他大勢として登場する古代様を補足するのは大変でなあ……。
当時のわたしも雪ファンだったので、特に雪組場面に必死だったけれど。
4組『風共』パロディ競作、もっとも面白かったのは、星組版だ。
忘れもしない、ふたりのバトラー、飲んだくれスカーレット、そしてそして、ノルさんの代表作だと信じている、秀逸なアシュレ!!(笑)
演出/中村A 『風と共に去りぬ~私とあなたは裏表~』
スカーレットが愛したバトラーとは、一体何者だったのだろう…
今でも友人たちと語りぐさになっている。
まさかの「バトラーとスカーレット逆転バージョン」。
性別はそのまま、役割だけが男女逆、という。
幕が開くと、「街の男」たちがカーテン前で「♪お聞きになった?」と歌い出す。
「バトラー船長とアシュレが?!」
ケネディ雑貨店で、ふたりが抱き合っているのを見てしまったと言うんだ。
「♪お聞きになった?」「♪嘘でしょ」
ハッチさんとかヒロさんとか、堂々たる顔ぶれの男たちが歌う……本編でおば様方が噂話に花を咲かせるのと同じノリで。
まあ、最終的に彼らは「素敵」「いいと思う」とか口々に言いながら退場するんだけど。……ナニこの腐女子目線な男子たち(笑)。
次にバトラーI@シメさん、バトラーII@マリコさんが登場。
や、バトラーが大真面目な顔でふたり出てきた段階で、大笑いだったよなあ。
なのにマリコバトラーがめっちゃ色男全開(なにしろ本公演バトラー経験者ですから!)に、
「どうするんだね、あんなところを街のうるさ方に見られて」
って、スカーレットIIの台詞を言うもんだから、瞬時に理解できる、スカーレットとスカーレットIIの言い合うあの場面を、バトラーでやるんだってこと!!
「スカーレットの耳に入るのも時間の問題だな」
ふつーに話しているだけで、おかしくておかしくて。
しかも、話している内容が。
「しかし、抱かれているのを見られてしまった」
「やめてくれ。抱かれたなんて言うんじゃない。私が抱いたんだ」
トップスター様と、2番手スター様が、ヒゲのダンディ姿で、大真面目に言い合ってます。
そして、あの演出。
ぴこんとライトが走り、ふたりのバトラーが、「♪私とあなたは裏表」を歌い出す……!!
歌詞そのまま、振付そのまま!!
スカーレットとスカーレットIIの、あのかわいらしいナンバーを。
わ、わらいしぬかとおもった……。
そして次の場面は、もちろん本気のバトラー邸舞台セット、例のテーブルで、飲んだくれるスカーレット@あやかちゃん。
この、嫉妬に身を焼き酒をあおる、飲んだくれスカーレットの美しいこと!!
そして、『風共』きっての名場面を、役割逆転したまま、やる。
飲んだくれスカーレットがバトラーを床に転がし、
「あなたがあたしの腕に抱かれながら、あたしをアシュレだと思っていることは、ちゃんと知っているのよ」
「あたしはこの手でなんの苦もなく、あなたを八つ裂きにすることが出来るのよ」
……だもん。
抱いているのか、スカーレット! バトラーを!!(笑)
八つ裂きに出来るのか!! くるみ割りOKなのか!
すごいよスカーレット! 強いよスカーレット!!
その横で、バトラーIIとアシュレ@ノルさんの回想シーン。
2幕最初のオハラ農場にて、スカーレットがアシュレに「一緒に逃げましょう」と誘う場面……と、あといろいろ混ざってる。
首に花を付け、内股で歩くナヨ男アシュレに、色男全開のマリコバトラーが本気で口説きに掛かる。
「ぼくにはメラニーがいるんだ」
「ちがう、君は僕を愛しているんだ」
「愛してなんかいない」
「愛してるんだ」
……ヅカの舞台上、それも大劇場で、まさかの、ホモ芝居。
スカーレットの情熱に、アシュレはつい我を忘れ、激しいキスを……のくだりを、男同士で、やる。
「いけない、こんなことをしてはいけない!」
寸前で、アシュレが逃げるんだけど。
客席は笑ってるけど……笑ってるけど、「どうしよう?」「いいのか、これ?」というとまどいも、確実に漂ってたよ……(笑)。
で、場面戻って飲んだくれスカーレットが、バトラーを力尽くで引きずっていく。
「今夜はいつも、あなたがアシュレの幻を追っているベッドで、二人っきりで休むのよ」
いやもお、どうしろと(笑)。
ものすごすぎて。
今もこの「記念すべき80周年」であるはずのTMPスペシャルだけ、スカステで放送されないのは、このやり過ぎ芝居のせいぢゃないかと、疑っている……(笑)。
や、最初は著作権の問題で『風共』は放送できない、って話だったけど、今はもう期限切れてるんだよね? ふつーに本編放送してるもんな。
なのに、このパロだけ放送されてないのだとしたら、そのせいかも、と勝手に思う。
それくらいギリギリで、面白すぎたもん。
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