トップ娘役の任期について、考える。

 あゆっちがえりたんと同時退団だと思い込んでいた原因に、わたしの「娘役の任期は短い」という先入観があるためだと、気がついた。

 わたしは、勝手に思い込んでいた。「トップ娘役は、トップスターより先に辞める」と。

 男役と比べ、娘役の寿命は短い。
 男役が入団から10年以上かけて一人前になるのに比べ、娘役の旬は新公学年内である場合が多い。

 トップスターは研12~14前後で就任するのが平均であるのに対し、トップ娘役は研5前後。
 ふつーに考えても、男役ひとりが育つ間に、娘役が数人育って卒業するサイクルだ。
 短期間で育つ娘役が、男役と同じ任期を務めたら、循環しなくなる。

 従って、トップスターひとりに対し、相手役のトップ娘役は数人まで可。

 これは男尊女卑とか娘役軽視とかじゃない。男役と娘役は育成期間にも旬にも差がある、それゆえの「区別」だ。「違う」ことと「優劣」は関係ない。
 娘役の旬が下級生時代、すなわち「若さ」のみにあるのはおかしい、大人の娘役だっていていいじゃないか、というのはまた別の話だ。

 理屈はともかく、わたしの場合は「刷り込み」があるのだと思う。
 わたしがヅカにはまった頃、はじめて「トップ」という肩書きのある人が退団発表した。
 雪組トップ娘役、鮎ゆうき。
 カリンチョさんが、「嫁を嫁に出すなんて……」と泣き笑いのように挨拶をしていたのをおぼえている。
 カリさんと鮎ちゃんは、同時就任。だけど鮎ちゃんは先に卒業し、とんちゃんが組替えしてきて、トップ娘役になった。
 カリさんが卒業したあととんちゃんは次の雪組トップいっちゃんの相手役になった。いっちゃんのトップお披露目公演を支え、次の公演で卒業。
 この、「ヅカにはまった当初の出来事」が「タカラヅカってこういうもん」という刷り込みになっているんだと思う。
 短期で卒業するトップさんは仕方ないけど、4年とかまとまった任期を務めるトップさんの相手役は、途中で変わる。そう、思い込んでいた。

 まあ、いっちゃんのふたりめの相手役はあのお花様で、わたしの刷り込みを覆す方なわけだが、あそこまでいくと「例外」としか思えず(笑)、刷り込みは刷り込みのまま残った模様。

 最初に観た・体験したことが、大きく影響するのはどこも同じ。
 わたしは漠然と「トップ娘役の任期はトップスターよりも短い」と思い込んでいた。
 だからこそ、トップコンビが同時に退団することも、美しいと思う。
 寿命も旬も違う、任期も違うふたりが、共に卒業するのは縁や意志あってのことだと思うから。

 わたしがトップ娘役の任期を「長いな」と思う場合は、この刷り込みと比較して、だなー。
 トップスターが7作位で循環するなら、娘役は4~5くらいで循環するイメージ。循環サイクルが違うから、単独退団も同時退団も生まれる。
 トップ娘役が5作を超えるとか、トップスターより長く君臨する、というのは「長い」と思う。

 長いと思う、だけであって、それがいい悪いということじゃない。相手役との兼ね合いもあるし、組事情もある。一概にどうこうじゃない。
 好きなスターさんは長くてもうれしいし、もっと観たいと思う。
 ので、そのスターさんをどう思っているかと、任期を「長い・短い」と感じるのは別チャンネルだ。
 くだんのお花様を「長い」ともちろん思っていたけれど、大好きだったので彼女のヒロイン公演を観られることがうれしかったもの。

 ただ、わたしの刷り込み、思いこみとして、「トップ娘役の任期はトップスターよりも短い」「トップ娘役は、トップスターより先に辞める」というものがあり、それに従ってトップコンビの去就を見ている、ということだな。

 あすかちゃん単体で大好きだったけれど、トウコと同時就任だったから、同時退団だろうなと思った。
 ののすみも同じ、彼女の芝居をもっと見たかったけれど、ゆーひくんと同時就任だから、きっと同時退団だろうと思った。
 みみちゃんはキムと同時就任ではなかったから、同時退団ではなく残って欲しいと切望した。

 その思いこみゆえに、今回も同じように思っていたわけだ。
 あゆっちは、えりたんと一緒に卒業する。
 「トップ娘役の任期はトップスターよりも短い」のがふつうだから、同時就任の場合は、娘役も一緒に退団する、のだと。

 思い込みであって、実際に「トップ娘役の任期はトップスターよりも短い」ものなのかどうか、統計を取ってないのでわかんない。
 お花様だけでなく、「長い」任期を務めた(務めている)娘役さんがわたしの記憶にあるだけでも何人もいるのだから、ほんとただの「思い込み」よね(笑)。


 男役と娘役の「役割」が違うことを「差別」だとも「軽視」だとも思わない。
 育成にかかる時間が違い、旬が違うのも、仕方ないことだと思う。長く観ていたいから、「もったいない」とは思うし、言うけど。でも、「タカラヅカ」がそういう有限の美を守ってきたところだと理解している。
 軽視っちゅーのは、トップ娘役を置かないとか、ヒロインをさせないとか、いなくてもいい扱いをすることでしょう。
 早く成長し、早く旬を迎え、それゆえに男役よりも寿命短く燃え尽きる「娘役」という稀有な存在を、正しく敬意を持って扱わないことの方が、わたしはヤだ。

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