東宝遠征はしていないので、東宝版『ラスト・タイクーン』を見たのは、『蘭寿とむラストデイ』がはじめてだ。

 これかぁ、変更されたのって。

 ユニオンのみなさんが突然心変わりするところ、ムラで観たときは、ナニが起こったのかわからなかった。
 初日観劇後、友人たちと「わたしが寝てたからわかんなかったの? いや、寝てないけど!」てな会話をしたっけ。目を開けたまま寝ていたとしか思えない、それくらい突然の展開に置き去りにされた。

 失敗した、と思ったらすぐに変えてくる、生田せんせの柔軟さに感心しました。
 や、そもそも展開に無理があるので、加筆したところで「ええーー???」感はあるんだけど、ムラ版の「1場面くらい飛んだ? でないとこんな展開にならないよね??」というわけのわからなさは軽減されたと思う。
 そういや『WMW』も途中で演出というかオチの一部変更したんだっけ。その柔軟さはいいよな。

 いっくんというと、先日見ただいもんの「Brilliant Dreams +NEXT」で、会話になってなかった姿を思い出す……こだまっちと同種のヲタク感というか、社会生活苦手なんだろうな感……(笑)。
 や、だいもんのホストとしての能力も足りてなかったとは思うけど、それにしてもコミュ力低そうだな、いっくん。

 変更された場面は、説明過多っぽいんだけど、花組メンバーの熱演で「わーーっ!!」と持って行かれた感じ。
 熱量押しは景子たんがうまいんだよなあ。生田くんもがんばれー。


 中継映像だと、芝居は「カメラによる演出」が加わる。制作側が「見せたい」と思うものを選んで映す。
 ……ので、キャサリン@蘭ちゃんがかわいかったっす。ちょっと心病んだ風なのがいいな。ブロンソン@だいもんとの場面より、モンロー@らんとむといるときの、ちょっとした「空白」の顔がいい。
 生舞台だとどうしても「見たいところ」ばかり見て、あんまり蘭ちゃん見てなかったんだなー、と改めて思った。
 そういやわたしが蘭ちゃんいいなと思ったのって、狂った姿ゆえだっけ。『HAMLET!!』に『二人の貴公子』……蘭ちゃんというと狂っちゃう女の子専門なのかと思ったくらい、ピックアップされるのは同じ役割ばかり、と当時ウケたよなー。

 だいもんは映像よりも、生の方が狂気が伝わるなという印象。
 今の「映像がいちばん大事」という風潮からははずれてるのかなあ? わたしは古い人間だから、生舞台の方が大事だと思うけど……生舞台はそのときだけで消え、何年と残るのは映像のみだから、この風潮は仕方ないんだろう。
 でもやっぱ、生のだいもんの空気感が好き。

 この作品のみりお様はよくわからないので、スルー。なにがしたいのかわからん。脚本ひどいわー。そしてこのひどい脚本を煙に巻くには、みりおくんは得意分野を封じられて気の毒。
 カメラワークも悪い(あくまでも『蘭寿とむラストデイ』なので、らんとむ中心)ので余計に、ブレーディさんわからないわ……。
 ただ、みりおくんは映像にも強いなと思う。スクリーンでアップになってもきれい。

 カレーくんの成長っぷりが心地いい。
 ムラ初日付近、ひどかったからなー(笑)。群舞センターで「声」を出す役割を果たしてなかった。こんなへなちょこ(失礼)が群衆芝居のセンターだと、作品自体苦しくなるよなあ、てくらい心許なかったのに、みるみる変わっていった。
 ムラ終盤もよくなってたけど、東宝はさらによくなってるのね。若者は吸収早いわあ。
 やっぱ「舞台に立つこと」がいちばんの勉強よね。


 原作を読んでいないので、「何故こうなった」のかわからない。オチだとか原作忠実だと聞くし。
 読んでないのに言うなだけど、わたしなら、こうはしないんじゃないかなと思う。もっと別の切り口で、別の話にすると思うなー。
 そして生田せんせにも、別のモノを期待していたよ。『BUND/NEON 上海』と『ランスロット』は面白かったもの。あーゆーのをやって欲しかったなー。(『春の雪』は大劇で観たいとは思わない)
 いろんなしがらみが多すぎたんだろうな。大劇場デビューでトップ退団公演だもんな。

 いろいろ問題ありすぎの大変な作品を、熟練トップスターが、力業でねじ伏せていく。
 という点で、「蘭寿とむのすごさ、得がたさ」を思い知らせてくれた。
 なんというか、とても「タカラヅカ」だ。
 『ラスト・タイクーン』も、らんとむも。

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