『太陽王~ル・ロワ・ソレイユ~』初日観劇。

 うーん……微妙?
 有名海外ミュージカルの日本初演で星組で、というと『ロミオとジュリエット』を思い出しますが、『ロミジュリ』のときは心からわくわくしたし、1幕からダダ泣きだったんだけど。
 なんともモタつくというか、構成イマイチ感が終始気になった。
 作品自体についていちばん強く思ったことは、つぎはぎ感すげえ。でした。
 統一感が薄いというか、場面場面が浮いているというか、別物過ぎて。黒ミサとかなんであんなことに……。
 や、絵としては楽しいかもしれんけど、わたしは求めてないっていうか、他の手法でダーク&エロスを表現してくれても良かったのに、と。こりゃまた安易なとこに走ったなあ、てな。
 単純に場面ごとにも唐突感や断絶感を感じたのだけど、キャラクタもそうだったの。
 マカゼの話にしろ、忘れた頃に出てくるベニーにしろ、もう少し「ひとつの物語」として描けなかったなかったのかと。
 ひとつの場面が長く、曲も長く、やりとりも長い。そして場面ごとがつぎはぎっぽい。
 特に1幕は盛り上がりどころのないまま進んだ印象。幕が下りるちょい前でよーやく動き出した。

 そのぶつ切り感を、主役のれおんくんが力技でつないでいた。

 もっと面白い話に出来そうなのに、なんとももどかしい。わたしなら同じストーリーラインで、別の描き方するのになあ、と。
 まず、狂言回しいらない。この人が出てくるたびに「作りごと」感が増して「つぎはぎ」が強調される。もっとうまい人なら、自在に空気を操れたのかもしれないけれど……少なくとも初日の段階では、わたしには不要な役目に思えた。
 狂言回しを使うなら、もっと物語内で重要な役目を持った人にする。第三者が語るのではなく、一人称にできるような。
 ラストにフランソワーズに集約するなら、彼女が狂言回しでもいいな。そうすれば、恋愛を超えた位置のヒロインとして、統一感を出せる。
 また、つぎはぎ感が強かったムッシューや、ボーフォールを狂言回しにしてもいい。彼らに役割を与えることで、彼らの物語が浮かなくなる。

 もともとのミュージカルが、どれくらいの大きさの劇場でやることを想定された作品なのか、無教養ゆえ知らないのだけど、もっと小さい箱でやった方が良かったんじゃないかなと思った。
 舞台の使い方も小さいし、出演者もわずかで済んでいるよーな。そりゃモブはいくらいてもいいんだろうけど……派手な場面があるわけでなし。
 わたし、『太陽王』という壮大っぽいタイトルゆえに、劇場もわざわざオーブだし、すげースペクタクルなモノを想像していたの。
 まさか、王宮を舞台にした、お茶の間劇だったとは、思ってなくて。
 ほとんどが部屋の中のやりとりで終始する、半径数メートル内での出来事ばかり。
 だから大きな舞台も必要なく、階段や額縁みたいな枠で区切られた、小さな空間だけで済んじゃった。

 あー、でも、王様モノってそうなっちゃうのか。大抵身内の陰謀とかで大騒ぎしてるものね。


 でも、その狭い舞台が、きれいだった。
 元作品がどうなのか知らないけど、キムシンらしいシュールな背景てんこ盛りで。

 作品は、わたしにはちょっと残念だったんだけど、れおんくんが次々豪華衣装で登場するので、その着せ替えぶりだけでも、ファンにとっては観る価値あると思う。
 それに、初日だからばたばたしてつぎはぎ感が大きかっただけで、こなれてくれば違うのかも。
 そして、リピートしたら楽しくなるのかもしれない。
 タカラヅカはスターありきだし、リピート基本だし。

 他の出演者も衣装がきれいで髪型が凝っていて、眺めるだけでも楽しい。

 りこちゃんと風ちゃんの場面では泣かせてもらったし。


 ……面白そうだからこそ、もどかしかった。
 かゆいところに手が届かない作劇で。

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