その絶望の瞳に。@ベルサイユのばら―オスカル編―
2014年5月25日 タカラヅカ かなめ様のオスカル様が、なんかもー、ピンポイントで胸に迫りました。
今のところわたしのベスト・オスカル様は、この間の雪全ツのちぎカル様です。脚本がわたしの『ベルばら』観劇歴最高の出来だったことも後押しし、いちばんオスカル様として観ていて気持ちのいい人でございました。
その「観劇歴最高」を観た直後、酷い脚本を見せられ、ビジュアルその他なまじっか期待が高かった分、テルカル様は可もなく不可もなく、「まあこんなもん……?」という感想でした。『ベルサイユのばら―オスカル編―』初日。
ビジュアルが素晴らしいのはわかっていたことだったし、その素晴らしいビジュアルを堪能したはすが、フィナーレのセンスの悪さにアタマぶん殴られてその印象すら霧散したし。
かなめくんのオスカル自体に、あまり印象がなかった。主役はジャルジェパパ@汝鳥さんかもな、って感じだったしさ。
作品になにも期待がないまま、役替わりだけに釣られてやってきた2回目観劇にて。
オスカル様が、我が胸にクリティカル。
えーと、ベスト・オスカル様がちぎカルなのは変わりません。原作ファンとして、そしてタカラヅカファンとして、いちばん良い摺り合わせのあったオスカルでした。
それとは別なの、テルカル様。
や、だってぶっちゃけ、オスカルじゃないと思う。
原作とも植爺『ベルばら』ともチガウ。
まったく別モノ。
ビジュアルが原作とタカラヅカの「こうあるべき」イメージを体現しているからオスカルに見えているだけで、中身ぜんぜんオスカルじゃないし!
だから、「オスカルであるかどうか」を超えて、めっちゃ好みだった!
あのー。
テルカル様、病んでません?
結核ではなくて、精神。
こんなに孤独なオスカルを、見たことがない。
明るく前向きなところと、不意に見せる絶望の深さ。
抱えている闇。
もう逃げることの出来ないところまで浸食されていて、それゆえに明るく振る舞って見せている。
でもときどき、本心がこぼれる。
壊れた真実が、亀裂の向こうに見える。
誰も彼女を救えない。救いになってない。
ジェローデル@まぁくんは頼り甲斐あるヒーローなんだけど、自分の見たいモノしか見ていない。強い人だからこそ、オスカルの弱さは見えない。
アンドレ@ヲヅキは分をわきまえすぎていて、自分がオスカルを救えるとは思ってない。命を救うことは出来ても、心には手が届かないと最初からアンタッチャブル。
家族たちはあの通り言葉の通じないエイリアンばかりだし、衛兵隊の連中はただのお飾り、アタマ悪すぎて表面的な言葉すらろくに理解してくれない。アラン@かいちゃんは小物過ぎ、オスカルの足元にも近寄れてない。
実は今回、いちばん言葉が通じるっていうか、オスカルの理解者になり得たのはブイエ将軍@すっしーかなと思うが……タイミングが悪いな。もっと話し合う機会があれば、なにか違ったかも。
際立つ、オスカルの孤独感。
誰も彼女の「言葉」を聞かない……そもそも「会話」すら出来てない。
孤独なのに彼女は笑い、明るい未来を口にする。「フランスの栄光を取り戻すために!」……あがいているのは本心か、それとも最後の抵抗か。
今回のかなめくんを見て、クライドを思い出した。
あのかなしい美青年。
その美しさだけで全部勝ってるよーなもんなのに、誰も手を出せない部分で壊れていた。
絶望していた。
誰も彼を救えない。
彼自身すら、見捨てているように思える。
なにも望んでいない、なにもかも捨ててしまった……だから笑う。この世のどこも見ることなく。
テルカルを見て、痛切に、思った。
そうか、凰稀かなめって、あのクライドだった人だ。
わたし、アタマ悪いからさー。その上トシ取ってるからさー。すぐに忘れちゃうのよ。
かなめくんがクライドだったこと、忘れてた。ヲヅキさんと片翼の天使だったことはおぼえているし、ときどき思い出すけど、その前のクライド・バロウのことは、すっかり忘れてた。
どうして忘れてたんだろう。
あの悲しい瞳の青年を。
まだかなめくんが雪組の4番手で、ワークショップなんかやってたころ。美形なことは誰もが知っているけれど、その美貌の使い方をいまいちわかってないような、どこを目指して歩けばいいのかわかってないような、やる気があるんだかないんだか、どうにもはがゆいひょろい男の子だったころ。
演技力も存在感も心許ないまま、演じた名作の再演。
「再演」なんてものを作る気のないオギーは、かなめくん主演の「新作」を書き下ろした。
クライド・バロウ@かなめ、その幼なじみでもうひとりのクライド、テッド・ヒントン@ヲヅキ。光と影の物語。
クライドを愛しながら、彼を救えずに哀しみと諦念の海に沈んでいくテッド。誰の愛も拒絶して、ひとり静かに壊れていくクライド。
とんでもねーテルキタ芝居だったなと、今また思い返しつつ。
あのクライドが、好きだった。
あの哀しい人が、大好きだった。胸をかきむしる思いで、好きだった。
彼の絶望が悲しくて、彼を救えない自分がもどかしくて、地面をどんどん叩いて叫びたいような、そんな狂おしい愛執を抱いた。
……て、なんでオスカルが、クライドになってんの??
そのへん、ちっともわかんない(笑)。
脚本壊れてるから余計に、わたしにはついていけない。植爺のわけわかんないところを埋めようとしたら、オスカルは絶望して闇に落ちてクライドになってんの?
よくわかんないけど、いちばん好きな凰稀かなめを見せつけられて、息が詰まった。
やっぱアレか、相手役がヲヅキさんだからですか? ヲヅキに愛され、求められるとクライドスイッチ入るのか?(笑)
冗談はともかく、オスカル様があんだけダークだと、すげえ楽しいです。興味深いです。なにゆえにあんなことになってるのか、他のキャラクタとの関係も含め、じっくり考察し、妄想したくなります。
くそお、なんなんだよー、なんであんなに素敵なんだよお。
てことで、この2回目の『ベルばら』Dayにて、まさかの大泣き。
2幕はひたすらテルカル見て泣いてた。
切ない。切なくて悲しくて痛々しくて、そして愛しくてならない。この傷だらけのオスカル。
かなめくんは、かなしい人を演じるとジャストミートするわ……。まさかオスカルで、植爺『ベルばら』なんかで、こんなにこんなに退廃的な破滅美を見せられるとは……っ。
今のところわたしのベスト・オスカル様は、この間の雪全ツのちぎカル様です。脚本がわたしの『ベルばら』観劇歴最高の出来だったことも後押しし、いちばんオスカル様として観ていて気持ちのいい人でございました。
その「観劇歴最高」を観た直後、酷い脚本を見せられ、ビジュアルその他なまじっか期待が高かった分、テルカル様は可もなく不可もなく、「まあこんなもん……?」という感想でした。『ベルサイユのばら―オスカル編―』初日。
ビジュアルが素晴らしいのはわかっていたことだったし、その素晴らしいビジュアルを堪能したはすが、フィナーレのセンスの悪さにアタマぶん殴られてその印象すら霧散したし。
かなめくんのオスカル自体に、あまり印象がなかった。主役はジャルジェパパ@汝鳥さんかもな、って感じだったしさ。
作品になにも期待がないまま、役替わりだけに釣られてやってきた2回目観劇にて。
オスカル様が、我が胸にクリティカル。
えーと、ベスト・オスカル様がちぎカルなのは変わりません。原作ファンとして、そしてタカラヅカファンとして、いちばん良い摺り合わせのあったオスカルでした。
それとは別なの、テルカル様。
や、だってぶっちゃけ、オスカルじゃないと思う。
原作とも植爺『ベルばら』ともチガウ。
まったく別モノ。
ビジュアルが原作とタカラヅカの「こうあるべき」イメージを体現しているからオスカルに見えているだけで、中身ぜんぜんオスカルじゃないし!
だから、「オスカルであるかどうか」を超えて、めっちゃ好みだった!
あのー。
テルカル様、病んでません?
結核ではなくて、精神。
こんなに孤独なオスカルを、見たことがない。
明るく前向きなところと、不意に見せる絶望の深さ。
抱えている闇。
もう逃げることの出来ないところまで浸食されていて、それゆえに明るく振る舞って見せている。
でもときどき、本心がこぼれる。
壊れた真実が、亀裂の向こうに見える。
誰も彼女を救えない。救いになってない。
ジェローデル@まぁくんは頼り甲斐あるヒーローなんだけど、自分の見たいモノしか見ていない。強い人だからこそ、オスカルの弱さは見えない。
アンドレ@ヲヅキは分をわきまえすぎていて、自分がオスカルを救えるとは思ってない。命を救うことは出来ても、心には手が届かないと最初からアンタッチャブル。
家族たちはあの通り言葉の通じないエイリアンばかりだし、衛兵隊の連中はただのお飾り、アタマ悪すぎて表面的な言葉すらろくに理解してくれない。アラン@かいちゃんは小物過ぎ、オスカルの足元にも近寄れてない。
実は今回、いちばん言葉が通じるっていうか、オスカルの理解者になり得たのはブイエ将軍@すっしーかなと思うが……タイミングが悪いな。もっと話し合う機会があれば、なにか違ったかも。
際立つ、オスカルの孤独感。
誰も彼女の「言葉」を聞かない……そもそも「会話」すら出来てない。
孤独なのに彼女は笑い、明るい未来を口にする。「フランスの栄光を取り戻すために!」……あがいているのは本心か、それとも最後の抵抗か。
今回のかなめくんを見て、クライドを思い出した。
あのかなしい美青年。
その美しさだけで全部勝ってるよーなもんなのに、誰も手を出せない部分で壊れていた。
絶望していた。
誰も彼を救えない。
彼自身すら、見捨てているように思える。
なにも望んでいない、なにもかも捨ててしまった……だから笑う。この世のどこも見ることなく。
テルカルを見て、痛切に、思った。
そうか、凰稀かなめって、あのクライドだった人だ。
わたし、アタマ悪いからさー。その上トシ取ってるからさー。すぐに忘れちゃうのよ。
かなめくんがクライドだったこと、忘れてた。ヲヅキさんと片翼の天使だったことはおぼえているし、ときどき思い出すけど、その前のクライド・バロウのことは、すっかり忘れてた。
どうして忘れてたんだろう。
あの悲しい瞳の青年を。
まだかなめくんが雪組の4番手で、ワークショップなんかやってたころ。美形なことは誰もが知っているけれど、その美貌の使い方をいまいちわかってないような、どこを目指して歩けばいいのかわかってないような、やる気があるんだかないんだか、どうにもはがゆいひょろい男の子だったころ。
演技力も存在感も心許ないまま、演じた名作の再演。
「再演」なんてものを作る気のないオギーは、かなめくん主演の「新作」を書き下ろした。
クライド・バロウ@かなめ、その幼なじみでもうひとりのクライド、テッド・ヒントン@ヲヅキ。光と影の物語。
クライドを愛しながら、彼を救えずに哀しみと諦念の海に沈んでいくテッド。誰の愛も拒絶して、ひとり静かに壊れていくクライド。
とんでもねーテルキタ芝居だったなと、今また思い返しつつ。
あのクライドが、好きだった。
あの哀しい人が、大好きだった。胸をかきむしる思いで、好きだった。
彼の絶望が悲しくて、彼を救えない自分がもどかしくて、地面をどんどん叩いて叫びたいような、そんな狂おしい愛執を抱いた。
……て、なんでオスカルが、クライドになってんの??
そのへん、ちっともわかんない(笑)。
脚本壊れてるから余計に、わたしにはついていけない。植爺のわけわかんないところを埋めようとしたら、オスカルは絶望して闇に落ちてクライドになってんの?
よくわかんないけど、いちばん好きな凰稀かなめを見せつけられて、息が詰まった。
やっぱアレか、相手役がヲヅキさんだからですか? ヲヅキに愛され、求められるとクライドスイッチ入るのか?(笑)
冗談はともかく、オスカル様があんだけダークだと、すげえ楽しいです。興味深いです。なにゆえにあんなことになってるのか、他のキャラクタとの関係も含め、じっくり考察し、妄想したくなります。
くそお、なんなんだよー、なんであんなに素敵なんだよお。
てことで、この2回目の『ベルばら』Dayにて、まさかの大泣き。
2幕はひたすらテルカル見て泣いてた。
切ない。切なくて悲しくて痛々しくて、そして愛しくてならない。この傷だらけのオスカル。
かなめくんは、かなしい人を演じるとジャストミートするわ……。まさかオスカルで、植爺『ベルばら』なんかで、こんなにこんなに退廃的な破滅美を見せられるとは……っ。
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