まつださんのお茶会で聞いたんですが、『一夢庵風流記 前田慶次』のラストシーン、ただ闇雲に「登場人物全員出てきましたー」じゃないそうっすよ。

 舞台上に段がいくつかあるわけなんですが、その上にいる人たちは全員、死んでいるそうなんです。
 移動する場合も、死者は必ず台の上を通る。
 平地にだけいる人は、生きている。
 一見チームごとに動いているように見えるけど、秀吉の妻ねね@カレンは、生者ゆえに秀吉@はっちさんたちとは一緒におらず、官兵衛@きんぐに手を引かれて途中から別行動。

 なんつーかもお、大野くん……。

 ちょっと、背筋寒くなった。

 雪丸@まっつと一緒にいる加奈@せしるは、もう死んでるんだって。
 まつ@あゆっちに「自害は許しません」と言われたけれど、やっぱり自害してるんだって。
 ……そうだよね。あの助右衛門@ちぎの妹が、主を裏切ってのうのうと生き長らえるわけないよね。主自身に許されてとしても、自分を許さないよね。

 そして。

 雪丸の中の人曰く、「意外に本気で好きだったらしい」そうですよ。雪丸は、加奈のことを。

 ただ騙して利用しただけじゃなくて。
 そこに、愛があったのだと。

 ……まあねえ、考えてみりゃ、愛がある方が最悪よね。

 自分を騙すために、利用するために近づいて来た男に、真実の愛があったりしたら。
 愛0パーセント、全部嘘と打算だけ! よりも、そのどこかにホンモノの愛がある方が……騙されるよね?
 憎みきれないし、あきらめきれないよね?
 たちが悪いよね。

 加奈は雪丸に抱かれ、そのまま主まつを裏切った。だけど、ぎりぎりのところで雪丸を裏切り、助右衛門に報せに行った。
 前に雪丸と関係したときは、彼の命乞いをして逃がした。でも今回ばかりは、雪丸も無事ではすまないだろう。それがわかっていて、欲を捨て、義を選んだ。

 まつも慶次も無事、そして雪丸は死んだ。……そこまで確認した上で、覚悟の自害を遂げたんだろうと思う。
 自分がしでかしたことの結末を見届けず、逃げるように死ぬことは、しないと思うから。
 すべて片が付いたあと、主まつの沙汰を待って、彼女が許そうとしてくれていることまで受け止め、それでも自害したのだと、思う。
 けじめをつけるために。

 そんな彼女だから、ラストシーンで雪丸と共に在るんだろう。
 雪丸は穏やかな表情で、加奈をエスコートする。
 愛が見える。

 とってつけた「ラストシーンだから、登場人物全員集合だから」というだけで、雪丸と加奈がいちゃいちゃしているのではなくて。

 このふたりに、なまじ愛があったから、ややこしいことになったんじゃないの?

 と、思うんだ。

 てことで、次項で雪丸さんについて、考える。

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