『一夢庵風流記 前田慶次』のザ・悪役! 雷鳴と共に登場する、タランテラな彼。
 雪丸@まっつって、よくわかんない。
 彼はいったいナニがしたかったの?

 忍びの家に生まれた彼は、表舞台で輝くことは出来ない。でもそんななんじゃ嫌だ! 陽のあたる世界で成功してやる! と、野心を抱いた。
 てな意味のことを、作中で言っているので、それが理由なんだろうけどさ。
 その「目的」に対する「手段」の選び方が……よくわかんない。

 せっかく前田利家@にわにわの小姓だったのに、前田家の家老の奥村家乗っ取りを画策。失敗して放逐。
 で、次は前田慶次@えりたんを焚き付けて前田家のお家騒動を狙う。
 えーと。
 どんだけ、利家スルー状態?

 雪丸って一貫して前田家に固執……というか、前田家周辺をうろちょろしている。
 だけど、前田利家には直接当たらない。

 最終目標は利家打破。
 そのために、奥村家(助右衛門@ちぎ、加奈@せしこ)を狙い、慶次を狙う。
 えーと。

 利家と、助右衛門と、慶次。
 どう考えても、利家がいちばん落としやすいだろう。

 この作品では、利家は愛嬌のあるまぬけおじさんとして描かれている。
 助右衛門は誠実な秀才、慶次は豪快な天才だ。
 この3人を並べて何故、利家を避けて他のふたりへ行くかな。
 傀儡として操るにしろ、出自の低さを超えて取り立てさせるにしろ、手中に収める相手は御しやすい者を選ぶべきだ。
 どう考えても、手のひらで転がしやすそうなのは利家だよね。加奈を手に入れ助右衛門を殺して奥村家の家督を得たとしても、結局は利家が上にいるわけだし。また、慶次を御せるとも思えないし。
 バカですか?

 …………雪丸様が実はアホなんです、という説は却下だ。うすうすそんな気はしているっていうか最初からそんなニオイがぷんぷんしているが、わたしは認めない(笑)。
 雪丸様はアホではない、それを前提にして考える!

 た、たぶん、利家には近づきたくなかったんだよ。
 もともと利家に飼われていた忍びで、利家に見初められて小姓になった。そこにはなんかしらこだわりや鬱積があって、雪丸様は利家には近寄りたくなかったんだ。
 うん、きっとそーだ。
 大野くんの大好きな『バナナフィッシュ』だよ、アッシュとゴルツィネだよ!(笑)

 それでまあともかく、前田家の周囲をうろちょろすることが、雪丸様の第一目標。
 まずは前田家乗っ取っちゃうもんね……というミッションにおいて、彼が選んだ手段は。

 加奈の誘惑。

 数年前、奥村家乗っ取りをたくらんだときも。今回、前田家お家騒動を画策したときも。
 やることは、一緒。

 ……バカですか?

 数年前、まだ雪丸の正体を知らない加奈が、ずっぽり無邪気に掘れきっていたときですら、失敗したのに。
 加奈の裏切りによって破滅したくせに。
 今回もまた加奈に迫って……裏切られて、自滅。
 バカなの? バカよね?

 同じ方法で、同じ失敗して、最初のときより悪い結果になる……って、霊長類のすることですか! 学習しようよ!!

 だ、だからその、雪丸はアホの子ではないという前提でね……。

 加奈は助右衛門に知らせに行ったのだという。そのために助右衛門が兵を動かし陰謀は終了。
 ……逃がすなよ。
 加奈を自由にさせてたんかい。もしくは簡単に逃げ出せるような扱いをしていた? なにその詰めの甘さ。

 雪丸のたくらみは、関白暗殺。その場へまつを人質に慶次を呼び寄せ、仲間に引き入れようとする。
 えーと、これもよくわかんない。根回ししとこうよ! ナニこんな土壇場、あとのないめんどくさいところではじめて口説いて、断られてんのよ。
 なんつー計画性のない……。

 慶次に断られたあとがもう悲惨の一途よね。
 捨丸@みゆちゃん相手に斬り合って、勝てないの。彼女を斬ったはいいが、「刀を離せ!」……少女に腕力で負けるとか。
 いくら肉に刺さってるからとはいえ、今まで刺した相手から刀を抜くことぐらい当たり前にしてきただろうに、ここで抜けないってはやはり捨丸が離さなかったから……いくら文字通り死にものぐるいだったからって、10代の女の子だよ? 負けるなよ、大の男が……。

 んで、圧倒的優位、だと思っていたときはあの通り上から目線ばしばしだったのに。
 「えっ、嘘、やばくね?!」と思うなり、パニックになる。
 うろたえまくり、情けない声出して、部下たちに数頼みで片付けろと訴える。
 え、ナニこの小悪党。

 そして、もっとも雪丸様がアホに見えるのは、その最期。
 家康@ヒロさんの顔を見るなり、「家康様、家康様、いかがいたせば……?!」子犬のようにうろたえて、飼い主にすがりつく。
 や、それいちばんあかんでしょ、黒幕の名前連呼して「悪いのはこの人だよ!!」って宣伝するって……どんだけ。
 で、んなアホなことしたら口封じられるのわかりきってるのに、自分から刀を渡して、案の定斬り捨てられるし。
 バカ?
 ここであくまでも知らん振りを通し、黒幕を守ればあんな殺され方はしなかったのに。

 雪丸様アホ説を否定したいのに、やることなすことアホアホ過ぎてつらい(笑)。
 ストーリーの粗を全部、押しつけられてるせいなんだよね。
「Q.なんで雪丸は無意味なことをするの? 雪丸にとっても得るものはないのに、雪丸さえ余計なことをしなければなんの事件も起こってないのに?」→「A.雪丸がアホだからです」(本音・だって事件起こさないと物語にならないじゃん!」
「Q.なんで雪丸は前もって計算して行動しないの? 国家存亡を行き当たりばったりでっておかしすぎない?」→「A.雪丸がアホだからです」(本音・だってそうしないと盛り上がらないし、収拾しないじゃん!)

 こんだけ無理矢理なことを背負わされてるのに、とりあえず初見ではアホだと思わせず、「なんかすごくカッコイイ悪役だ」と思わせる。まつださんはすごいです。
 まつださんの存在感だとか有無を言わせない説得力だとか、黒さやエロさあってこそ、この無茶振り役なんだと思います。ヘタな人に任せたら、作品が転覆する。

 にしても、雪丸様がアホアホ過ぎて……。

 だがしかし。
 わたしは、あくまでも、雪丸アホアホ説を、否定する!

 ということで、次項で独断の雪丸様論を語る!(笑)

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