ヒーローが降り立つ。@ベルサイユのばら―フェルゼンとマリー・アントワネット編―
2014年6月12日 タカラヅカ 花組中日公演『ベルサイユのばら―フェルゼンとマリー・アントワネット編―』初日観劇。
……最近とみに日付の感覚がなくなってて、「みりおくんのプレお披露目公演」はまだまだ先だと思い込んでました。漠然と、「まず雪組公演があって、その途中から花組公演がはじまる」というおぼえ方。間違ってない。
んで、はじまった雪組公演に走り回って。
ふとスケジュール帳を見ると、6月12日がぽっかり空いている。休みを取ってある、のに、チケットはナニも持ってない。なんでこの日、まるっと空けてあるんだろう? でもまあ、たぶん雪組を観るつもりだったんだろう、と「雪」シールを貼り、「当日券」と書き込む。
その翌日だかなんだかに、友人がタカラヅカニュースについてつぶやいているのを読んだ。花組『ベルばら』のことを。
…………?
『ベルばら』……?
は……っ!!
あわてて、確認する。
6月12日って! 花組初日じゃん!!
いやあ……びびりました……。
あんだけ観に行く気満々で、ひと月も前にスケジュール空けてたくせに。
のーみそもハートも許容量オーバーで、ぽろっと抜け落ちてたみたい。
や、抜けていたのは、日付感覚。
みりおくんのお披露目と、だいもんアンドレのことはずっとアタマにあった。
でも「蘭寿さんが卒業したの、ついこの間だし」という気持ちがずっとあったしなー。
そ、そうか、もうらんとむさんラストディからひと月経つのか。
んで、あわててチケット探して。
日付感覚ほんとにおかしくなっていて、「え? 今日何日だっけ? 今からチケットって無理過ぎね? あれ? 明日が12日だっけ?」と、アタマを抱えたのが9日。……9日の翌日は12日じゃないっすよ……。
仕事とムラ通いとで日常もなにもあったもんじゃなく、わけわかんなくなってる……。
それでもなんとか、チケットと近鉄の優待券を押さえて。
スケジュール帳の「雪」シールをはがして「当日券」の文字を消し、「花」シールを貼りました。
ともかく、GOGO名古屋!
行き慣れた旅程、片道4時間!
みりおくん、トップお披露目おめでとう。
なんで『ベルばら』、なんでみりおくんでフェルゼン。その思いはあったけれど。
実際に観てみて、目からウロコが落ちた。
中日版『フェルゼンとマリー・アントワネット編』ときたら、雪組『フェルゼン編』の焼き直しだった。
目が点。
2006年の星組『フェルゼンとマリー・アントワネット編』を焼き直すんだと思っていたよ……。雪組『フェルゼン編』は大駄作、星組『フェルゼンとマリー・アントワネット編』はまだずーっとマシな作りだった。タイトルが『フェルゼンとマリー・アントワネット編』なわけだし、ずっとマシだった星組版をやるんだと思った。何故、わざわざ超駄作の『フェルゼン編』をベースにするんだ……。
うん、なんとなく、想像はしているんだ。
植爺はもう、昔の作品はおぼえていないんじゃないかって。
タイトルが『**編』となっていたって、何年も前の『**編』のことは、おぼえてないし、また資料探して記憶の掘り起こしをするのはめんどくさい。
それよりも、直前に上演した『※※編』ならまだおぼえてるし、いちいち勉強しなくて済む。だから『**編』であっても、『※※編』を使う。
宙組『オスカル編』だって、2006年の雪組『オスカル編』は使わず、直前の月組『オスカルとアンドレ編』や数年前の外伝ベースだよね。
だから今回も、直前の『フェルゼン編』。
最悪の『フェルゼン編』ベースで、他にもいろいろいろいろ問題山積みで。
うわ、みりおくん、大変……、と嘆息した。
それでも。
みりおくんの、「主役力」に感服した。
えーらいこっちゃ!になっているのに、その真ん中でみりおくんが、舞台を牽引する。
なまじわたしは、『フェルゼン編』をアホほど観ていて。脳裏にいろいろ焼き付いているわけで。
その記憶と二重写しになる「フェルゼン」を、考える。
えりたんのフェルゼンは、あまりにもえりたんだった。
タカラヅカの「フェルゼン」という人は、明らかにおかしい。最悪な人間だ。
だがその最悪さを煙に巻く必要がある。観客に最悪だと気づかせてはならない、観客をムカつかせてはならない、とても難解なミッションがある。
えりたんは、ハッタリと本人の持つ飄々としたキャラクタゆえに、見事に煙に巻いた。よくわかんないけどアリでしょこの人! と、思わせた。
いわば、変化球だ。
どどーん! とか、ばばーん!! とか、少年マンガの描き文字みたいな効果音の似合う、素敵キャラ。破天荒な現実味のなさで、煙に巻く。
それに比べて。
みりおフェルゼンは、正統派ヒーローだった。
正しく、「真ん中」。
貴公子。王子様。ヒーロー。
白馬に乗って囚われの姫君を助けに来る系。
うっわー……。
口ぽかーん状態っす。
これが、「フェルゼン」……。
正しき「真ん中力」で押し切る姿。
どんだけおかしな台詞を言わされていても、みりゼン様が言うと、「そうなんだ」と思えてしまう。
有無を言わせぬ、説得力。
だって彼はヒーロー、だって彼は主人公。世界は彼を中心に回っている。
フェルゼンが抜き身の剣みたいに、間違った世界をまっすぐに貫き、よそ見をしている暇がない。
エクスカリバーを抜いたアーサー王を見るような気持ちだ。
彼の足元に跪き、正しき王を讃えたい。
植爺による間違いまくった台詞や倫理観を、「この人変。あきらかに変だけど、ま、いっか」と思わせるのがえりたん。
そして、「変なことを言ってる? ううん、この人は正しいことを言ってるんだわ!」と思わせるのがみりお。
すげえ……。
えりたんの、えりたんならではのファンタジックなフェルゼンもいいけれど、みりおくんのヒーローなフェルゼンもいいわ。
みりおくんは、真ん中に立つために生まれてきた人だなあ。
そのことを、心底実感した。
駄作を力技で支える! みりおくんは、タカラヅカのトップスターとしての最初の仕事を見事にこなした!!
……最近とみに日付の感覚がなくなってて、「みりおくんのプレお披露目公演」はまだまだ先だと思い込んでました。漠然と、「まず雪組公演があって、その途中から花組公演がはじまる」というおぼえ方。間違ってない。
んで、はじまった雪組公演に走り回って。
ふとスケジュール帳を見ると、6月12日がぽっかり空いている。休みを取ってある、のに、チケットはナニも持ってない。なんでこの日、まるっと空けてあるんだろう? でもまあ、たぶん雪組を観るつもりだったんだろう、と「雪」シールを貼り、「当日券」と書き込む。
その翌日だかなんだかに、友人がタカラヅカニュースについてつぶやいているのを読んだ。花組『ベルばら』のことを。
…………?
『ベルばら』……?
は……っ!!
あわてて、確認する。
6月12日って! 花組初日じゃん!!
いやあ……びびりました……。
あんだけ観に行く気満々で、ひと月も前にスケジュール空けてたくせに。
のーみそもハートも許容量オーバーで、ぽろっと抜け落ちてたみたい。
や、抜けていたのは、日付感覚。
みりおくんのお披露目と、だいもんアンドレのことはずっとアタマにあった。
でも「蘭寿さんが卒業したの、ついこの間だし」という気持ちがずっとあったしなー。
そ、そうか、もうらんとむさんラストディからひと月経つのか。
んで、あわててチケット探して。
日付感覚ほんとにおかしくなっていて、「え? 今日何日だっけ? 今からチケットって無理過ぎね? あれ? 明日が12日だっけ?」と、アタマを抱えたのが9日。……9日の翌日は12日じゃないっすよ……。
仕事とムラ通いとで日常もなにもあったもんじゃなく、わけわかんなくなってる……。
それでもなんとか、チケットと近鉄の優待券を押さえて。
スケジュール帳の「雪」シールをはがして「当日券」の文字を消し、「花」シールを貼りました。
ともかく、GOGO名古屋!
行き慣れた旅程、片道4時間!
みりおくん、トップお披露目おめでとう。
なんで『ベルばら』、なんでみりおくんでフェルゼン。その思いはあったけれど。
実際に観てみて、目からウロコが落ちた。
中日版『フェルゼンとマリー・アントワネット編』ときたら、雪組『フェルゼン編』の焼き直しだった。
目が点。
2006年の星組『フェルゼンとマリー・アントワネット編』を焼き直すんだと思っていたよ……。雪組『フェルゼン編』は大駄作、星組『フェルゼンとマリー・アントワネット編』はまだずーっとマシな作りだった。タイトルが『フェルゼンとマリー・アントワネット編』なわけだし、ずっとマシだった星組版をやるんだと思った。何故、わざわざ超駄作の『フェルゼン編』をベースにするんだ……。
うん、なんとなく、想像はしているんだ。
植爺はもう、昔の作品はおぼえていないんじゃないかって。
タイトルが『**編』となっていたって、何年も前の『**編』のことは、おぼえてないし、また資料探して記憶の掘り起こしをするのはめんどくさい。
それよりも、直前に上演した『※※編』ならまだおぼえてるし、いちいち勉強しなくて済む。だから『**編』であっても、『※※編』を使う。
宙組『オスカル編』だって、2006年の雪組『オスカル編』は使わず、直前の月組『オスカルとアンドレ編』や数年前の外伝ベースだよね。
だから今回も、直前の『フェルゼン編』。
最悪の『フェルゼン編』ベースで、他にもいろいろいろいろ問題山積みで。
うわ、みりおくん、大変……、と嘆息した。
それでも。
みりおくんの、「主役力」に感服した。
えーらいこっちゃ!になっているのに、その真ん中でみりおくんが、舞台を牽引する。
なまじわたしは、『フェルゼン編』をアホほど観ていて。脳裏にいろいろ焼き付いているわけで。
その記憶と二重写しになる「フェルゼン」を、考える。
えりたんのフェルゼンは、あまりにもえりたんだった。
タカラヅカの「フェルゼン」という人は、明らかにおかしい。最悪な人間だ。
だがその最悪さを煙に巻く必要がある。観客に最悪だと気づかせてはならない、観客をムカつかせてはならない、とても難解なミッションがある。
えりたんは、ハッタリと本人の持つ飄々としたキャラクタゆえに、見事に煙に巻いた。よくわかんないけどアリでしょこの人! と、思わせた。
いわば、変化球だ。
どどーん! とか、ばばーん!! とか、少年マンガの描き文字みたいな効果音の似合う、素敵キャラ。破天荒な現実味のなさで、煙に巻く。
それに比べて。
みりおフェルゼンは、正統派ヒーローだった。
正しく、「真ん中」。
貴公子。王子様。ヒーロー。
白馬に乗って囚われの姫君を助けに来る系。
うっわー……。
口ぽかーん状態っす。
これが、「フェルゼン」……。
正しき「真ん中力」で押し切る姿。
どんだけおかしな台詞を言わされていても、みりゼン様が言うと、「そうなんだ」と思えてしまう。
有無を言わせぬ、説得力。
だって彼はヒーロー、だって彼は主人公。世界は彼を中心に回っている。
フェルゼンが抜き身の剣みたいに、間違った世界をまっすぐに貫き、よそ見をしている暇がない。
エクスカリバーを抜いたアーサー王を見るような気持ちだ。
彼の足元に跪き、正しき王を讃えたい。
植爺による間違いまくった台詞や倫理観を、「この人変。あきらかに変だけど、ま、いっか」と思わせるのがえりたん。
そして、「変なことを言ってる? ううん、この人は正しいことを言ってるんだわ!」と思わせるのがみりお。
すげえ……。
えりたんの、えりたんならではのファンタジックなフェルゼンもいいけれど、みりおくんのヒーローなフェルゼンもいいわ。
みりおくんは、真ん中に立つために生まれてきた人だなあ。
そのことを、心底実感した。
駄作を力技で支える! みりおくんは、タカラヅカのトップスターとしての最初の仕事を見事にこなした!!
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