ところで、花組中日『ベルサイユのばら―フェルゼンとマリー・アントワネット編―』は、けっこうよくまとまってる、と思う。

 『フェルゼン編』を死ぬほど観た身からすれば、「え、まだぜんぜんいいじゃん!」と思う。……アンドレ@だいもん目当てで行ったからショックが大きくて、「もう見ないもん!(泣)」な気持ちになっただけで。

 『フェルゼン編』はほんと最悪だったよなあ……よくもあんなひどい作品を繰り返し繰り返し、時間とお金を使って通ったもんだよ……。ひとえに、ご贔屓がアンドレで、相手役も大好きで、「今宵一夜」があるだけで救われた、ことに限るなー。

 『フェルゼンとアントワネット編』は、『フェルゼン編』の焼き直しだ。
 オープニングにでっかいフェルゼンのポートレートがあり、その前でパペットダンスがあるところも同じ。
 ただし、全編通してアントワネットの比重がハンパなく上がっており、『フェルゼン編』のOPには「アントワネット」は登場してなかったのに(あゆっちの役は「パペットの歌手」)、蘭ちゃんはばばーんと「アントワネットです!!」と登場する。
 そのあと、カーテン前でおっさんたちがどーでもいい、整合性のない会話をえんえんはじめるのも同じ。心からいらない場面。このいらない場面に、ド・ブロイ元帥@みつるがいる。プロヴァンス伯爵@ふみか、ブイエ将軍@らいらいと一緒に。1幕でのド・ブロイ元帥の役割は、『フェルゼン編』のプロヴァンス伯爵とブイエ将軍の台詞を分けてもらってます状態。
 次の場面でお忍びフェルゼン@みりおくんを、オスカル@キキくんがお説教、逆ギレフェルゼンに責められる場面。ひとりごとオスカルのソロ、やはりひとりごとアンドレのソロ。
 オスカル相手にあんな態度のあと、夜のボートでラヴラヴデートするフェルゼンとアントワネット@蘭ちゃん。
 その頃の王様は……? てことですか、ルイ16世@さおたさんのお散歩場面。
 フェルゼン邸にてメルシー伯爵@エマさんのお説教場面。
 きれいなドレス姿でロザリー@かのちゃん登場、ジャルジェ家での説明台詞の洪水場面。
 フェルゼンとアントワネットの別れ→「オスカル、キミはひょっとしてボクのことを?」
 貴族のみなさんの説明台詞オンパレード、ド・ブロイ元帥ちょろっと→「フェルゼンが帰国の挨拶に参りました」で、「真実の愛を知ったからです(キリッ)」

 という1幕は、ほぼ『フェルゼン編』まんまなので、つまらない。
 それでも、アントワネットの出番があるし、逆ギレアントワネットがオスカルを罵倒する場面がないだけ、すっげーマシだ。オスカルを罵るアントワネットは、吐き気がするほど嫌いなんだもん。

 それでも2幕は、わりにドラマチックになっている。
 なんでかっつーと、アントワネットが主役だから。
 原作からしてフェルゼンってのはしどころのない役で、物語の中心はアントワネットにあるんだもの。フェルゼン主役だと物語が平板になる。アントワネット主役だと盛り上がる。
 つーことで、アントワネット主役になっている分、ちゃんと盛り上がっている。

 花祭りで何故かだいもんとキキくん……アンドレとオスカルがアルバイトしてる。変なんだけど、うらやましい。コレがOKなら、うちにもさせて欲しかったよ……ニコニコ笑顔でかわいく踊るご贔屓が見たかったさ……バスティーユに出ない以上、ダンス皆無だったんだもん……。
 スウェーデンのフェルゼン邸にジェローデル@ふじP登場、「オスカルは死にました」で、回想シーン。……が、いきなりパリの橋。
 アンドレは最初から橋の上、そこで死ぬから、ほんとほとんどキキくんの横に並ぶことのないアンドレでした……。
 バスティーユでオスカル編終了。衛兵隊のみなさんもここだけっすよ。
 回想終わって、アントワネット救出を決意するフェルゼン、「愛に帰れ♪ 愛に帰れ♪」
 そのころアントワネットは、フェルゼンのことなど忘れてパリで一家団欒、しあわせしあわせ。→ルイ16世、子どもたちとの別れ、蘭ちゃん渾身のソロ!!
 蘭ちゃん新曲のあとに、何故かさっきと同じ曲を歌って登場するみりおくん。国境警備隊とチャンバラするわけでもなく、「パリは遠いなー」と言うだけの場面。……いちおう、新場面……?
 アントワネット救出作戦を語るベルナールとド・ブロイ元帥、それに文句を言う死の天使ロザリー。歌アリ。
 よーやく国境近くまで来たフェルゼン→「ゆけゆけフェルゼン」
 牢獄でのアントワネット、ロザリーが来てベルナールが来て、メルシー伯爵が来て、フェルゼンが来て。千客万来。
「さようなら、フランス!」「王妃様~~!!」で、終了。

 …………フェルゼン、出番少なっ。
 だからこそ、話的には面白くなってる。
 『フェルゼン編』のフェルゼンに出番を増やすための水増し場面、ひどかったもの……フェルゼンの人間としての最低最悪さがさらに強調されてね。
 みりゼンは出番が少ない分、人格破壊が少ない。

 バスティーユをのぞけば、あとはフェルゼンがひとりで「愛に帰れ♪」「ゆけゆけフェルゼン♪」と歌っているだけで、残り全部アントワネットの話だもん。
 1幕で「悪いのは全部他人、なんて可哀想な私」と言っていたのに、「私は愚かでした」と成長し、ささやかなしあわせを手に入れていたのに、因果応報ですべてを失い、愛する男に見守られて死んでいく、というちょーハッピーエンド。
 原作通りの流れだから、「アントワネット物語」としては無理なく展開を眺められる。

 『フェルゼン編』の駄作っぷりと、「アントワネット物語」としてまとまった『フェルゼンとアントワネット編』……。どっちがいいのかなあ。

 ううむ……でも、作品的にマシでも、好きな人の出番があれだけだったら、リピートはきついな……。
 その点やっぱ、「今宵一夜」の破壊力はすごいんだなー。役者が誰であれ、この場面があるとテンション上がるもんなー。
 「アントワネット物語」としてまとまるよりも、話はぐだぐだになっても、「今宵一夜」を入れる方がヲタ向けではあるか。

 ちなみに、フィナーレは、『フェルゼン編』まんまだった。

 『フェルゼン編』で初舞台を踏んで花組配属、中日組に振り分けられた子たちは、同じ衣装で同じ振付でロケット踊ってラストは階段に並んでるわけか……。
 植爺……手抜き……。

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