花組中日『ベルサイユのばら―フェルゼンとマリー・アントワネット編―』の2幕の、ド・ブロイ元帥@みつる、ベルナール@がりん、ロザリー@かのちゃん場面について、その3。


 あと不思議なのが、「何故、王妃救出なのか」。

 この場面の前で、ルイ16世@さおたさんが革命政府からの呼び出しを受ける、という場面がある。
 ……呼び出しを受けただけ、だ。処刑されたとは言われてない。
 2006年の『フェルゼンとアントワネット編』でも、ルイ16世呼び出しのあと、ベルナールとロザリーが「国王一家救出」について話している。
 今回のベースとなっている『フェルゼン編』でも、ベルナールとアランとロザリーが、「国王一家救出」について話している。

 なのに今回は「王妃救出」としか、言っていない。

 王様は?

 もしもこの時点でルイ16世処刑済みならば、台詞で言うよね? 「国王陛下が処刑された今、一刻の猶予もない」てな。
 でもそんな台詞はなかった、よね? 終演後に友人と話したんだけど、ルイ16世の生死に関してはノータッチだったと思う。死んだと明言されていない。
 ただ当たり前に「王妃様」「王妃様」と、王妃のことだけを話している。

 そして、「ブルボン王朝の血を絶やさないため」王妃を助けるそうな。
 あのー。
 アントワネットは、ブルボン王朝の血は引いてないっすよ? 外国人ですから。

 救出すべきはルイ16世、あるいは王太子でしょ?

 外国人の王妃を救出して、王様や王太子見捨てる、ってなにそれ?

 「国王一家救出」と言っていた今までは、疑問じゃなかった。でも今回、わざわざ台詞が全部「王妃」に変更されている。
 ……ので、わからない。
 アントワネットを救出して、なんの意味があるのか。

 「フランスに咲いた百合♪」なんて歌わさなければいいのに。
 アントワネットは「ベルサイユのばら」であって、「フランスの百合」ぢゃないっす。
 ブルボン家の百合の紋章を受け継ぐのは、アントワネットじゃない。

 この時点で国王処刑済みで、誰かひとりしか救出出来ないとすれば、選ぶのは王太子でしょ?
 アントワネットが死んでも、ルイ17世が生き残っていれば問題ないし、ブルボン家の血筋は他にもいるし。
 植爺、どこまで耄碌してるんだろう……。

 今までの「国王一家処刑なんてフランスの恥」だから救出作戦やるんだよ、という理由の方がはるかにマシだ。


 なんで「国王一家」を「王妃」にしたのか、理由はわかってる。

 今回の公演目的のひとつが、「アントワネットを持ち上げる」ことにあるためだ。
 物語よりも、役者の格が重要。

 「国王一家のため」危険な作戦を企てる……よりも、「王妃ただひとりのため」とした方が、アントワネットの格が上がる。

 ルイ16世も王太子も、フランスも革命も、どうでもいい。
 ただただ、「素晴らしいアントワネット」「アントワネットのために」とやるのが目的。

 2幕は、オスカル戦死のバスティーユ場面以外は、すべてアントワネットのための場面。
 本人が出ていないところも、フェルゼンが「アントワネット様、アントワネット様」と念仏のように唱え続け、ベルナール、ド・ブロイ元帥、ロザリーが「アントワネット様救出」「いいえ、アントワネット様は気高く死ぬべき」と歌まで歌って大騒ぎ。
 それに、「アントワネット様救出は、オスカルの意志」と、オスカルの名前もたびたび出して「この世のすべての善人・素晴らしい人は、アントワネットのために動いている」、ことさら革命失敗、醜い権力争いと説明台詞を繰り返し「アントワネットを糺弾しているのは、欲に目がくらんだ愚か者だけ」という図式を作っている。。

 すごいわー。この徹底ぶり。

 でも、方法が間違ってるから、意味ないけどな。

 ほんっとに植爺キライだわ(笑)。

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