『一夢庵風流記 前田慶次』のまっつまっつ、その3。

 加奈@せしこをたぶらかしてまつ@あゆっちを誘拐し、慶次@えりたんのおびき出しに成功。

 てことで、雪丸としては最後の出番。
 遊里にて、陰謀のクライマックス。

 雪丸の陰謀自体はザルもいいとこ……というか、正直ナニがしたかったのかよくわかんない。やってることだけ見ると相当マヌケだもん。なのにまっつはひたすら大物感あふれ、美形でエロいもんで、役と合ってない気がするんだけど、悪いのは脚本です、ええ。まっつは正しい。つか、彼が「大物」として演じないと、そんな敵に翻弄される主人公がバカになっちゃうもん。

 さて、慶次を口説く雪丸の作り笑いがひどい(笑)。
 寒々しい口説き文句を立て板に水。胡散臭いわー。口跡くっきり、長い説明台詞も任せろ、ほんとにイイ声、すばらしい滑舌。

 こんだけ怪しいセールスマンみたいな喋りしておいて、断られると思ってないあたり……。

 「お断りだ、ばーか」のあたり、最初の方は完璧に無表情っていうか、内にこもってたんだけど、最近わりと感情見える気がするんですが。
 遠い目をしているというか。
 「惚れたから抱いた」のあたり。
 ナニを思っているのか、いないのか。
 悲しげに見えるときすら、ある。

 まつに「ばーか」と言われてから、ゆーっくりと表情が動く。笑いに。
 その笑いが、とても人工的で。スイッチを押して、笑いのカタチに変化していく……その動きを見ていつも「うまいなあ」と思う。こんな笑い方を技術でやってのけるって。
 なめらかな変化でないところが、雪丸の内心を物語る。

 ここで戦闘になる意味は最後までわからなかったんだけど(前田家乗っ取りが目的→慶次を当主に祭り上げるつもりが拒否られる→慶次を殺しても前田家痛くも痒くもない、むしろ利家的には助かる→前田家安泰)、太鼓がずんどこ鳴り響き、雪丸、又左衛門@がおり、甚内@かなとの3人が舞台奥へ移動するのが大物ぽくて好き。
 下っ端たちの先頭を見守る幹部たち、という図。……雪丸よりもむしろ、又左さんと甚内がカッコイイ気はする。雪丸は喋りすぎな分、男前度が下がっているよーな。

 松風(おまけ付き)が登場すると、奥の幹部3人は上手へはける。
 そーよね、んなうるさい場面につきあってらんないわよね。幹部的には。と、納得の流れ。

 次に雪丸様が登場するのは、又左さんと慶次の一騎打ちのとき、下手花道。
 なんと鉄砲持ってます。

 個人的な絶対捕獲しなければならない雪丸様ポイントがココにあります。

 又左さんの一騎打ちも最後も、かなとくん(役名じゃないのか)のうるうる瞳も見たい、見たいのよ? でもでも、どうしても見逃せないのが、雪丸様の、舌打ち。

 くあぁーっ。
 ぐぅるあぁーっ。
 モンスターのように吠えてしまうほど、悶える、大好きポイント。
 雪丸様の舌打ち。

 慶次を狙撃したあと、ことのなりゆきを見守り、又左さんがやられちゃったとこまで確認して、「ちっ」とやる。
 顔の右半分だけが瞬間ゆがむの。ほんとに、一部分だけが動くの。
 アニメみたいに。
 それがもお、「冷酷」を絵に描いたようで。
 美しくて醜くて、たまらん。たまりませんの!!

 ある意味、この作品でいちばん好きな顔かもしれない(笑)。
 この一瞬を見たくて、ここの登場からずーーっと雪丸様だけ見てる。
 見逃したりしたら、すげーへこむ。「見られなかった……っ!! なんてこと……あたしのバカバカバカー!! 神様ーーっ」くらいの勢いで(笑)。

 不機嫌そうに部下に銃を突き渡すのも、見逃せないしな!


 ところで雪丸様。
 狙撃失敗の重い暗い静けさのあと、「どうしたどうした、いくさ人も丸腰ではナニも出来んか」と、ことさらテンション上げて絡んでいく違和感。
 まるでスイッチ入れ替えるみたいに、わざと顔や人格を変化させてる、不自然さ。
 うさんくさいセールスマンみたいに慶次を口説いてたときの、あのノリ。

 雪丸はほんとうに、慶次の前では「自分」を見せないんだね。
 それゆえにかえって、言葉に出さない「執着」「こだわり」を感じるんだ……慶次への。


 つづく。

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