『一夢庵風流記 前田慶次』のまっつまっつ語り、その4。

 で、ここでまた注目ポイント。

 すっごく「わかりやすい憎まれ役」として慶次@えりたんの前に再登場した雪丸@まっつ。
 又左衛門@がおりを殺してしまった慶次は取り乱していて、「雪丸! 手前ばかりは許さん」と、感情を剥き出しにする。
 ここの雪丸様がさー。

 うれしそうだよね?

 や、いつもそうとは限らないけど。
 後半、わりとここで、そう思った。あ、うれしそう、って。

 あのいつも飄々としてる傾奇者に、「雪丸」と名前で呼んでもらって、(慶次、ちゃんと自己紹介聞いてたんだ! 名前おぼえてたんだ!)「手前ばかりは」って限定項でさ。
 慶次にとって雪丸は「その他大勢」じゃない。前田家に仕えてきたのに顔も名前も、存在さえ認識されてなかった昔とはチガウ、名指しで憎まれている。
 描かれてないけど、たぶん雪丸は昔から慶次を知っていて、なにかしら執着していて、慶次と雪丸は光と闇という対比される立場の男たちで。
 そんな相手に、名指しで憎まれているんだ。

 これぞ本望。

 闇が光を凌駕した一瞬。
 だよね?

 だから雪丸、なんかうれしそう。
 慶次の前ではわざと悪役ぶった、その甲斐あったってもんよね?

 で、さーて慶次をやるぞ、悪役らしく数に任せてなぶり殺しちゃうぞ! てなわくわくタイムに、捨丸@みゆちゃんが乱入、マジムカつく!てな(笑)。
 てゆーか慶次、一度このいい場面で雪丸の名前呼び間違えたことなかった?「捨丸、手前ばかりは許さん」って。その直後のまっつの台詞が「この 雪 丸 が」とすごく名前強調してるように聞こえたんだが……(笑)。

 捨丸が出て来なかったら、さてさて、雪丸様タイムはどうなってたんでしょうねえ。
 丸腰の慶次を部下たちに両側からふたりがかりで押さえ込ませて、にやにやと抜刀して近づいていく雪丸。
 ひと思いに斬ることはせず、しばらく嬲って楽しんだんじゃないの?

 つくづく、捨丸が邪魔だな!!(笑)
 見たかったよ、ドSまっつが無抵抗えりたんを嬲るところ!(役名で言いましょう)
 需要あったと思うんだけどなー。(いろんな方面に・笑)

 捨丸ごときに刀を取られて、その隙に慶次に斬られ、しかも鉄砲隊突入、すべておじゃん。

 慶次に斬られたあとの雪丸のみっともなさってば。
 「慶次を殺れ!」って裏返った声で叫ぶとか、なんなの。腕を斬られただけなのに、すっげーパニクってる。
 リーダーのパニックが伝染しちゃったか、偸組のみなさんも総崩れ、笹丸@まなはる、鷹丸@レオも立て続けに慶次に斬られちゃうし。

 ついさっきまで絶好調にドSまっつだったのに、なんでここで豹変するのかは謎。
 単に斬られて「痛い!」と思ったから? 「やだ、このままだと殺されちゃう!」と思ったから? でもさ、一度も斬られたことがないならわかるけど、顔に刀傷ある男がそれってなんか変。

 理由はわからないけど、雪丸はここで心が折れている。→1

 で、さらにヒーロー然と助右衛門@ちぎくん登場。

 ここでまた、雪丸の心は折れるよね?
 情報漏洩? 作戦失敗? という、やばい状況であることもそうだけど、その状況に一瞬にして陥ってしまった理由が、わかったと思うんだ。

 つまり。

 加奈@せしこが、裏切った。

 愛する女に裏切られた。
 そう、確信したはず。

 慶次に斬られてパニクってるところへ、信じていた相手の裏切りを突きつけられて。→2

 さらにもう一発、目の前で、弟の主馬@翔、斬られる。→3

 雪丸様が弟くんをどう思っていたのか、謎だけどさー。ぶっちゃけ、ぜんっぜん愛してなかったように見えるけどさー。目の前で主馬くん斬られても、ぜんぜん気にしてなさそーだしさー。
 でもまあいちおう、ふつうなら、ショックよね? 目の前で弟が殺されるのって。

 んで、さらに。

 雪丸は、主馬を斬ったばかりの助右衛門と睨み合う。
 一瞬だけ対峙。
 目をそらすのは、雪丸。

 どこかで見た(読んだ)んだけど、助右衛門さんは雪丸を「知らない」んだって? 妹をたぶらかした男だとか、その他一切合切。
 だから、ここで睨み合うけれど、「ただのその他大勢」「ただの賊のひとり」として雪丸を見ている。

 それって切ないわ。
 数年前、雪丸は加奈を誘惑、助さんを陥れて、奥村家乗っ取りを企てた……んだよね? それがバレて加奈に一太刀あびせられ、前田家を放逐された。
 えーと、助さんだって危なかったんだよ? なのになにも知らないの? 雪丸の人生懸けた陰謀は完スルー?

 そして、助右衛門は正しく、「ヒーロー」として現れて、悪の雪丸は後ろめたく目をそらす。→4

 なんかねえ、たたみ掛けるように、心を折られてないか?

 慶次をヤッちゃうもんね、とイキイキしていた時点から、わずかな間でこんだけくらってるのよ? 1・2・3・4、よ?

 そりゃ、心も折れるわ……。

 そんな超よわよわモードになったところに、家康様@ヒロさん登場。

 雪丸は思わず彼に、すがりつく……。

 愛した女に裏切られ、弟殺され、宿敵(と書いてライバルと読む)にはそもそも個別認識されてもいないとわかった……そこに「ダディ」が現れたら、思わず「パパ、助けて! 僕もうどうすればいいかわかんないよお!」になっちゃうか……。

 まあその、どうあがいたところでかっこ悪いけどな、雪丸様……。

 それまでの雪丸の人格からは理解出来ない言動だけど、「それまでの雪丸」と切り離してこの場面だけ見れば、上記1~4のコンボを喰らったんだから、黒幕に後先考えずすがりつき、斬り捨てられるのも、流れとしてはアリかと思う。

 大野くんには心から物申したいですけどね。
 あんだけドラマティックに「主人公と対比するモノ」としてWラブシーンとか書いておきながら、このわけわかんないオチはなんなのと。

 雪丸の人格を救う方法としていちばん手っ取り早いのは、助右衛門から目を逸らしたあと、「万事休す」と悟り、高笑い一発入れること。あの美声で、そりゃあもうあざやかに。
 で、家康を見つけると「家康様、どういたせば」と、わざとらしく小悪党が泣きを入れる様子で、絡みに行く。
 で、斬り捨てられる。
 流れも台詞も全部一緒、でも、敗北を悟った雪丸が、家康を道連れに自滅しようとしたとなる。

 これなら、「悪役」として面目が立つと思うんだがなあ。わざわざ衆目の元黒幕が家康であることをばらすのも、泣きを入れてだまし討ちにされるのも、雪丸が「すべて計算」してやったのだということになる。

 高笑い入れようよー、大野くーん。


 まあともかく、雪丸様の死体は、美しいです。

 ちゃんとこっち向いて死んでくれるしね。
 最後に左手がはらりと落ちるのが、「佳人の最期」っぽくて素敵です。
 まつださん、悪役専科になってからこっち、よく死んでくれるなあ。(あ、アンドレは悪役じゃない!)

 瞼を閉じて、でも唇はうっすら開いてて、なんかエロくていいです。死体なのに色っぽいって、なんなのそれ(笑)。後ろで死んでるまなはるがこわすぎるのと、いいコントラスト。


 続く!

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