『My Dream TAKARAZUKA』こあらった目線のまっつまっつ、続き。

 「第5章 伝説(レジェンド)誕生」……わたしはここの「ナニも知らない部外者が作った、素人日記みたいな歌」が生理的にダメ。
 そして、その歌のテイストで作られたこの場面の演出もダメ。

 なので、「『伝説誕生』大好き、この場面の悪口なんて一切認めない!!」という人は、この欄は飛ばして、「その9」へ行ってくださいまし。
 個人の感想なんだ、許して。


 「伝説誕生」にて、まっつは退団者として最後に登場する。
 ゆっくり大物らしく歩いて上手袖から現れ、おもむろに踊り出す。

 白尽くめの衣装に、白いハチマキ。昭和のアイドルみたいな格好。
 初日の翌日だっけ、このハチマキの結び方がおかしくて、ファンからは総ツッコミが入っていたなー。や、終演後会ったまっつファンがもれなく「ハチマキ、ひとりだけ変じゃなかった?!」と言及、みんなソコか~~、とウケたもんだった。
「これからもずっとあの結び方なの?」「誰か教えてあげて、まっつさんそれ変ですよって」「誰が?!」「そんな勇者、ファンにも組子にもいないっしょ?!」……翌日からはふつーになっていて、ほっ。
 誰か勇者がいたのか、たまたまあんときだけ手が滑って(?)あんなみょーな結び方だったのかは、わからない(笑)。

 ともあれ。
 中村Bの心遣いゆえか、トップ娘役のあゆっちよりあとに、退団者として最後にゆっくり出てきたまっつは、とてもいい笑顔で踊っている。

 が。
 歌詞でドン引きしたわたしは、このわざとらしい「退団仕様」に入り込めずにいる。
 泣く準備はできていたのに、むしろ積極的に泣くつもりでいたのに、退団者ファンを満喫するつもりでいたのに、盛大に水を掛けられた。
 だもんで、とても「引いた」気持ちでここを見ている。

 おかげでわたしは、まっつ退団の、実感がわかない。

 今まで見てきた退団者って、「退団オーラ」てのが出て、どんどん透明になっていくというか、手の届かない次元を感じたりするんだけど……まっつには、それがない。
 彼はほんとにまっつで、いつものまっつだ。
 や、めちゃくちゃ美しくてかっこいいけど、そんなの、いつも通りだし。
 「退団だから」美しくてかっこいいわけじゃない。

 「なんか、ふつー過ぎて……」「いつも通り過ぎて……」覚悟して、意気込んでやって来たまっつメイトたちが、みんな出鼻をくじかれて困惑していたっけ。
 あー、みんなもそうなんだー、あたしもあたしも。
 あの人ほんとに辞めるの? そんな感じぜんぜんしないんですが。

 だからこそ、こわいね。……そう話した。
 こんなに「いつも通り」でしかないと、9月になって「まっつはもうこの世のどこにもいない」「もう二度と会えない」となったあとの、喪失感が大きすぎる。
 これが最後なんだ、お別れなんだ、と、自分で努力して自覚しないと。

 なんかひどい歌詞の歌で、他人事みたいに踊っている、あの通常営業の美しい人を、どう受け止めればいいんだ。

 イイ笑顔だけどさー、そんなん、組替え前の『EXCITER!!』でもそうだったよ。そーゆー場面なら、そーゆー顔するよ、プロなんだから。

 えりたんが銀橋に出たあと、退団者だけが立ち上がって踊っていて、他のみんなは坐って眺めてるじゃないですか。
 あそこでまっつが「立って踊っている側」なのが、理解できない。
 辞めるの? ほんとに? なんで? 嘘でしょ?

 中詰めが終わったあとの場面、って、そのショーでのテーマ部分、いちばんの胆ですよ。
 中村Bはパターン通りにしか作らないから、咲ちゃんの銀橋が終わったとき、ライトが点く前からすでに拳握って緊張してたもん、これからすごいのが来るぞ、泣くぞ、感動するぞ、って。
 『Shining Rhythm!』でいえば、「光と影」ですよ、あれくらいすごい場面が繰り広げられると、わくわくどきどきしていたわけですよ。
 それが……これでしょ?

 期待していた分、落下量がハンパなくてなー。

 いちばんの「退団仕様」場面に感情移入できないもんで、肝心の部分がぽっかり抜け落ちたまま、最後のショー作品を迎え、終えてしまった。

 「パリ・ドリーム」も、フィナーレの大階段黒燕尾も素晴らしい。
 ここだけ見れば、まるで『Shining Rhythm!』みたいだ。『Shining Rhythm!』はいいショーだったなあ。
 まだまだこれからも続く、永遠の中の1作。退団? 誰が? 通常公演で、通常まっつだよね?

 えりたん銀橋、そして組子は全員(次の場面に出る3名除く)本舞台で踊っている。
 初日はドン引きしてわかんなかったけど、翌日は舞台を見渡して、「ああ、2番手位置だ」と気がついた。
 白い衣装で全員きれいに並んでいて、あゆっちとまっつだけが、列の前に出ている。

 まっつはついに、2番手にはなれなかった。3番手としても、扱いは悪かった。DC青年館完売させても、写真集が3刷になっても、劇団はがんとしてまっつを大切にはしなかった。

 退団を発表してはじめて、この立ち位置を許されたんだなあ。

 まっつ退団、を「ああ、そうか」と思ったのは、この立ち位置のみかなあ。
 この場面の最初の、退団者ソロの最後に出てきたときより、はるかに「そうか」と思ったよ。

 中村Bには感謝している。中村Bでなければ、ここまではしてくれなかったかも、と思っている。
 だけど、中村Bの「退団演出のセンスの悪さ」には、心から落胆している。
 オサ様退団公演とサヨナラショーを数年根に持ったように(笑)、これから先も「あれはナイわー」と話すんだろうなあ。

 歌謡界の巨匠の例の曲は、ディープなヅカヲタには評判悪い。
 わたしの周囲限定。
 そして、ライトな人には、評判がいい。
 わたしの周囲限定。

 観劇者全員のアンケートを取れるはずもないので、わたしの周囲のごくごく狭い範囲のみの感触だ。

 何故あの歌が生理的に無理なのか、わかる人には説明しなくてもわかってもらえるだろう。
 わかる人だけで共有できればいい。
 わたしはダメだったよ。
 それだけ。

 ジェンヌは純粋だから、わたしのような拒否反応などなく、心から感動してあの歌を歌い、踊っているんだと思う。
 そういう彼らに申し訳ないとは思うが、ジェンヌへの敬意と曲への拒絶感は別モノだ。

 曲も演出も無理だけど、それでも、えりたんのキラキラ笑顔や、組子たちの笑顔やパフォーマンスを眺めて、じーんとする。
 矛盾しているけれど、それはほんとう。

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