初日は観ておくものだな!
と、思う。
前情報がなく、かつ、ヅカファンが圧倒的多数を占める客席……という、唯一の回。
出演者や劇団自体への知識も愛情もある、が、この演目に触れるのははじめて、この面子での興行を体験するのははじめて、という人々で満ちた空間だからこそ醸し出す、空気。
たんに「初日なんてみんなそうでしょ」ということではなくて。もちろん初日だからはじめてだから、というのはあるけど、その中でも特に、情報が世に出てしまってからでは醸し出されない独特の空気感を味わえるときがある。
最近では、雪組『ファンシー・ガイ!』初日のだいもん銀橋ソロでその空気を味わった。
雪組本格デビューのだいもん氏が、男役というか男装の麗人というか、「ヲカマ……?」と首をかしげるような、独特の姿と歌い方で登場、圧倒的存在感を放った瞬間。
あの、どよどよ……っ、としたざわめき。
目にしているモノを、どう処理していいのか判断に困っている空気。
これがもしもマンガなら、「誰……っ?!」という四角い囲み文字と、白目の観客が描かれていたことだろう。んで次の瞬間、だいもんが組替えで来たんだ、という「情報」が「感覚」に追いついてきて、その途端四角の中の文字が「ナニ……?!」に変わった……という。
いやあ、あの空気は愉快だったなあ。だいもん氏本人も、あのときの空気について後日語ってたくらいだから、相当だったんだろうなあ(笑)。
ということを思い出すほどに。
花組梅田芸術劇場公演『ベルサイユのばら―フェルゼンとマリー・アントワネット編―』初日の幕開きの空気は、素敵でした(笑)。
『ベルばら』ですから、はじまり方は同じです。
リンゴンカラン……と荘厳な鐘の音が鳴り響き、トップスター・みりお様の開演アナウンスが流れます。やたら派手にドラマチックなオープニング曲。
緞帳が上がればそこに、ずらりと並んだ小公子・小公女たち。流れるのはいつも通りの「ごらんなさい♪」、シャンシャンを揺らしながら歌いはじめます、いつもの振付。
目にしているモノは、「いつもの」。見慣れた、見飽きた、色褪せた、古びた、時代遅れの、いい加減勘弁してくれよダサすぎんだよ、という、「いつもの」オープニング風景。
なのに、小公子たちが歌うその歌詞は。
中国語だった。
「!!」
観客たちが、白目になる。
台湾用公演だということは、みんな知っている。ファンで埋め尽くされた初日なのだから。
このまま台湾に持って行くんだから、なにかしら台湾のお客さんへのサービスがあってもおかしくない……理屈ではわかっているが。
幕開きからいきなり、中国語……!!
そーいやカーテン前の吊り物も、「ベルサイユのばら」ではなくなんか漢字になっている。読めないけど、中国語さっぱりわかんないけど、たぶんあれはきっと、中国語で「ベルサイユのばら」と書いてあるんだろう。
このまま台湾に持って行くんだから、なにかしら台湾のお客さんへのサービスがあってもおかしくない……理屈ではわかっているが、以下略。
最初の第一声だけかな……。
と思ったら、なんか続いてますよ、中国語!
え? まさかこのまま全部中国語で歌うの……?!
どよどよどよ……っ。
この、客席の空気。
文字にするならば。
困惑。
実際には最初の「ごらんなさい、ごらんなさい、『ベルサイユのばら』♪」のみが中国語で、次の2回目の「ごらんなさい、ごらんなさい、『ベルサイユのばら』♪」からは日本語だったんだけど。
「中国語~♪ 中国語~♪」
どよどよどよ……っ。(え、なにコレ、中国語? 台湾持ってくから? わかるけど、まさかこのままずっと中国語で歌うの??)
「ごらんなさい、ごらんなさい、『ベルサイユのばら』♪」
どよどよどよ……っ。(え、日本語だ。途中で日本語になった。全部中国語じゃないんだ。そりゃそうよね)
天下のワンパターンオープニングで、こんだけざわめいてなかなか静まらない客席、初体験だ。(素)
てゆーか。
それって必要?(素)
客席混乱させる演出。
何年か前、本場キャスト版『エリザベート』とか『ロミオとジュリエット』とか、この梅芸で観たけど、全編自国語上演で日本語で歌ってくれるサービスはなかったけど、ぜんぜんかまわなかったけどなあ。
いやそりゃ、ワンフレーズでも日本語で歌ってくれたら「すげ!!」って思うけど、別にソレぶっちゃけどうでもいい。
全国ツアーでお土地柄ネタ混ぜるような感覚……? 一瞬ウケるけど、そんなサービスより本物観たいっつーか。
まあ、サービスする分にはいいのか……どうせ『ベルばら』だし。……って、この「どうせ」と思わせるあたりがとっても『ベルばら』。
植爺はそのへん理解してのことかしら。
『エリザベート』や『ロミジュリ』なら、作品中「観客サービス」でわざわざ興行地ネタを仕込んだりしない、『ベルばら』だからアリ、という意識の差を。
タカラヅカが大衆演劇で高尚なモノではない、という位置づけゆえに、これはこれでアリだと思うし、お高くとまっていないところをいいと思う。
フレンドリーなのはいいことだし、これで台湾のお客さんがよろこんでくれるのはいい。
否定しているわけではなくて。
ただ、今回の演出は安直かつ、底が浅い姿勢に見えて、「あーあ」と脱力、加えて、半笑いから観劇がはじまってしまった。
わたしは。
だってさー。
ここ、台湾じゃないし。(素)
日本で、大阪で、ナニやってんの?
世界中のすべての人が、宝塚歌劇団は台湾公演をやると知っていて、その前振りとして大阪で台湾用の演目を上演していると知っている、と本気で思ってるんだろうか。
「へー、タカラヅカ? 『ベルばら』? 一度観てみたかったんだ」レベルの人だって、梅芸公演を観に来る可能性あるよね? ゼロじゃないよね?
そんな人が、幕が開くなり中国語の芝居見せられて、どう思うかは、考えないんだー。舞台、フランスなのに。
フランス語で「ベルサイユのばら」と書いてあるならともかく、中国語……。ナニも知らない人からすりゃ「何故??」だよなあ。
ショーの中の1曲とか1場面とかが外国言語でも独立したモノだからアリだと思うが、芝居の中でって。
ほんとに底が浅い……ナニも考えてない……。
客席の「!!(白目)」→「……(ナマあたたかい笑い)」という空気込みで。
初日を観られて良かった。
情報として流れたあとだったら、客席でわたしひとり「??」となっても、リピーター基本のヅカの客席がこんな空気になるはずない。
毎回毎回、こうして必ずナニかしら、やらかしてくれるんだもの。すげーよーなー。
植爺って非凡な人だな。(素)
と、思う。
前情報がなく、かつ、ヅカファンが圧倒的多数を占める客席……という、唯一の回。
出演者や劇団自体への知識も愛情もある、が、この演目に触れるのははじめて、この面子での興行を体験するのははじめて、という人々で満ちた空間だからこそ醸し出す、空気。
たんに「初日なんてみんなそうでしょ」ということではなくて。もちろん初日だからはじめてだから、というのはあるけど、その中でも特に、情報が世に出てしまってからでは醸し出されない独特の空気感を味わえるときがある。
最近では、雪組『ファンシー・ガイ!』初日のだいもん銀橋ソロでその空気を味わった。
雪組本格デビューのだいもん氏が、男役というか男装の麗人というか、「ヲカマ……?」と首をかしげるような、独特の姿と歌い方で登場、圧倒的存在感を放った瞬間。
あの、どよどよ……っ、としたざわめき。
目にしているモノを、どう処理していいのか判断に困っている空気。
これがもしもマンガなら、「誰……っ?!」という四角い囲み文字と、白目の観客が描かれていたことだろう。んで次の瞬間、だいもんが組替えで来たんだ、という「情報」が「感覚」に追いついてきて、その途端四角の中の文字が「ナニ……?!」に変わった……という。
いやあ、あの空気は愉快だったなあ。だいもん氏本人も、あのときの空気について後日語ってたくらいだから、相当だったんだろうなあ(笑)。
ということを思い出すほどに。
花組梅田芸術劇場公演『ベルサイユのばら―フェルゼンとマリー・アントワネット編―』初日の幕開きの空気は、素敵でした(笑)。
『ベルばら』ですから、はじまり方は同じです。
リンゴンカラン……と荘厳な鐘の音が鳴り響き、トップスター・みりお様の開演アナウンスが流れます。やたら派手にドラマチックなオープニング曲。
緞帳が上がればそこに、ずらりと並んだ小公子・小公女たち。流れるのはいつも通りの「ごらんなさい♪」、シャンシャンを揺らしながら歌いはじめます、いつもの振付。
目にしているモノは、「いつもの」。見慣れた、見飽きた、色褪せた、古びた、時代遅れの、いい加減勘弁してくれよダサすぎんだよ、という、「いつもの」オープニング風景。
なのに、小公子たちが歌うその歌詞は。
中国語だった。
「!!」
観客たちが、白目になる。
台湾用公演だということは、みんな知っている。ファンで埋め尽くされた初日なのだから。
このまま台湾に持って行くんだから、なにかしら台湾のお客さんへのサービスがあってもおかしくない……理屈ではわかっているが。
幕開きからいきなり、中国語……!!
そーいやカーテン前の吊り物も、「ベルサイユのばら」ではなくなんか漢字になっている。読めないけど、中国語さっぱりわかんないけど、たぶんあれはきっと、中国語で「ベルサイユのばら」と書いてあるんだろう。
このまま台湾に持って行くんだから、なにかしら台湾のお客さんへのサービスがあってもおかしくない……理屈ではわかっているが、以下略。
最初の第一声だけかな……。
と思ったら、なんか続いてますよ、中国語!
え? まさかこのまま全部中国語で歌うの……?!
どよどよどよ……っ。
この、客席の空気。
文字にするならば。
困惑。
実際には最初の「ごらんなさい、ごらんなさい、『ベルサイユのばら』♪」のみが中国語で、次の2回目の「ごらんなさい、ごらんなさい、『ベルサイユのばら』♪」からは日本語だったんだけど。
「中国語~♪ 中国語~♪」
どよどよどよ……っ。(え、なにコレ、中国語? 台湾持ってくから? わかるけど、まさかこのままずっと中国語で歌うの??)
「ごらんなさい、ごらんなさい、『ベルサイユのばら』♪」
どよどよどよ……っ。(え、日本語だ。途中で日本語になった。全部中国語じゃないんだ。そりゃそうよね)
天下のワンパターンオープニングで、こんだけざわめいてなかなか静まらない客席、初体験だ。(素)
てゆーか。
それって必要?(素)
客席混乱させる演出。
何年か前、本場キャスト版『エリザベート』とか『ロミオとジュリエット』とか、この梅芸で観たけど、全編自国語上演で日本語で歌ってくれるサービスはなかったけど、ぜんぜんかまわなかったけどなあ。
いやそりゃ、ワンフレーズでも日本語で歌ってくれたら「すげ!!」って思うけど、別にソレぶっちゃけどうでもいい。
全国ツアーでお土地柄ネタ混ぜるような感覚……? 一瞬ウケるけど、そんなサービスより本物観たいっつーか。
まあ、サービスする分にはいいのか……どうせ『ベルばら』だし。……って、この「どうせ」と思わせるあたりがとっても『ベルばら』。
植爺はそのへん理解してのことかしら。
『エリザベート』や『ロミジュリ』なら、作品中「観客サービス」でわざわざ興行地ネタを仕込んだりしない、『ベルばら』だからアリ、という意識の差を。
タカラヅカが大衆演劇で高尚なモノではない、という位置づけゆえに、これはこれでアリだと思うし、お高くとまっていないところをいいと思う。
フレンドリーなのはいいことだし、これで台湾のお客さんがよろこんでくれるのはいい。
否定しているわけではなくて。
ただ、今回の演出は安直かつ、底が浅い姿勢に見えて、「あーあ」と脱力、加えて、半笑いから観劇がはじまってしまった。
わたしは。
だってさー。
ここ、台湾じゃないし。(素)
日本で、大阪で、ナニやってんの?
世界中のすべての人が、宝塚歌劇団は台湾公演をやると知っていて、その前振りとして大阪で台湾用の演目を上演していると知っている、と本気で思ってるんだろうか。
「へー、タカラヅカ? 『ベルばら』? 一度観てみたかったんだ」レベルの人だって、梅芸公演を観に来る可能性あるよね? ゼロじゃないよね?
そんな人が、幕が開くなり中国語の芝居見せられて、どう思うかは、考えないんだー。舞台、フランスなのに。
フランス語で「ベルサイユのばら」と書いてあるならともかく、中国語……。ナニも知らない人からすりゃ「何故??」だよなあ。
ショーの中の1曲とか1場面とかが外国言語でも独立したモノだからアリだと思うが、芝居の中でって。
ほんとに底が浅い……ナニも考えてない……。
客席の「!!(白目)」→「……(ナマあたたかい笑い)」という空気込みで。
初日を観られて良かった。
情報として流れたあとだったら、客席でわたしひとり「??」となっても、リピーター基本のヅカの客席がこんな空気になるはずない。
毎回毎回、こうして必ずナニかしら、やらかしてくれるんだもの。すげーよーなー。
植爺って非凡な人だな。(素)
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