花組梅芸『ベルサイユのばら―フェルゼンとマリー・アントワネット編―』で意外だったこと。

 植爺、別にだいもんキライってわけじゃないんだ!!
 や、中日版のアンドレ@だいもんの扱いがあまりにあんまりだったので。学年・体格・実力、どれをとってもアンドレとオスカルの配役は逆だろう、と思ったのに、ひどい配役をして、例を見ないほどアンドレの扱いがひどかったので。過去の『フェルゼンとアントワネット編』で、あそこまでアンドレの存在無視したことはなかったろうに。
 植爺がだいもんをどうこう思っていると、本気で考えているわけじゃないが、「そうとでも考えなければ、意味がわからん」ってことで。本人たちも観客も、誰も得をしない謎配役、謎演出。

 だけど今また、中日と同じ扱いのアンドレ@キキくんを見て、だいもんだからじゃなかったんだな。ナニも考えていないだけか。と、これまたあまり救われない結論を得てみたり。
 や、中日版は一本モノだから、今回の1幕モノと同等ってことは、間違いなく中日版のアンドレの方がひどいけどね。時間はあるのに出番もあってしかるべき名場面も、あえてすべてカットしたってことだから。

 まあともかく、アンドレの扱いはひどかった。

 というか、ある意味新しいのかもしれない。

 オスカルとアンドレが、愛し合ってなかった。

 オスカル@カレーくんは、仮面舞踏会でフェルゼン@みりおくんに出会い、恋に落ちる。フェルゼンはアントワネット@かのちゃんラブだから、オスカルの片想い。
 オスカルの恋愛事情については、以上。
 え? アンドレは?
 ああ、そんな人がいましたね。アンドレはオスカルを愛していると、フェルゼンに突っ込まれ、ひとり愛の歌を歌ってました。彼はたしかに、オスカルを好きだったのかもしれません。
 でもオスカルは、アンドレのことは、眼中にありませんでした。

 新しいよね。
 アンドレを愛してないオスカル。

 毒殺場面がない、今宵一夜がない。
 毒殺はともかく、『フェルゼンとアントワネット編』でも今宵一夜だけは入れるべきだが、今回は1幕モノだから仕方ないかもしれない、それにしても。
 パリの橋の場面で、「この戦闘が終わったら、結婚式だ」がなかった。……け、結婚しないんだっ。
 カラダがおぼえちゃってるから、「よく決心した、さすがはオスカルだ」「アンドレ、この戦闘が終わったら、結婚式だ」「オスカル……!(感激)」「お互い、フランスのために!」という流れだと構えてるのね。なのに、「よく決心した、さすがはオスカルだ」「アンドレ……お互い、フランスのために!」とやられちゃうと、えええ? なんか台詞吹っ飛ばされましたよ?! と、無意識レベルで反応する。あるものがない、欠落?と。

 そっか……結婚しないのか……。両思い設定ナシか……。
 と、愕然としていたら、そのあとのオスカルさん。アンドレが目の前で死に、嘆いていたかと思うと、あっちゅー間に、戦闘モードに切り替えた。
 早っ。切り替え早っ。アンドレの死は、あんましダメージになってないみたい。
 そっか……別に、大して、好きじゃなかったんだな……。

 最愛の恋人が死んだ、なら、嘆き悲しみも激しく大きいけれど、友だちが死んだ、しかも俺たち男同士、お前の意志は俺が継ぐぜ!な関係だったら、悲しみよりも戦闘の方が大事だよな。

 カレーオスカルは、潔くも「少年」でした。
 あれ、女の子じゃないっす。男の子です、ふつーに。
 アンドレは「男の格好をしていても、オマエはまぎれもなく女だ」と、勝手に夢を見ていたみたいだけど、カレーくんはふつーに男の子で、アンドレのことは同性の友人としか見てなかった。
 だからこのふたりには毒殺未遂も今宵一夜もなく、結婚の約束すらない、よーするにただの友だちだった。

 だからアンドレ死んでもそれほど悲しくない、嘆くの一瞬、次の瞬間にはコロッと切り替えて、瞳キラキラ戦闘モード。
 その変わり身の早さと来たら。

 アンドレ、可哀想……。

 出番がないとか見せ場がないとか、そんな表面上のことではなく、精神的な位置のひどさに、心から同情した。
 どんだけ出番なくても、最低限、物語の重要人物オスカルに「愛されている」というだけで、重要な役たり得たのに。面目は立ったのに。
 オスカルにスルーされたら、マジでアンドレって、存在価値ない……。

 植爺ってほんと、作品の本質わかんないまま脚本いじってるんだな。

 そして中日キキくん、だいもんを愛してくれてありがとう、と思った……。どんだけアレな脚本とアレなビジュアルと演技でも、最低限キキカルにはだいドレへの「好き好きオーラ」があったよ……。

 あー、台詞の欠落と言えば、もうひとつ。
 橋の上のアンドレがバキューンと撃たれました! 「アンドレ!」「オスカル、オスカル何処だ!!」「見えていないのか……何故付いてきたーー!!」「オスカル……生命だけは……(バキューンバキューン)大切に……して……くれ…… (バキュンバキューン)」
 という流れが染みついているので。
「アンドレ!」「オスカル、オスカル何処だ!!」「アンドレーー!!」「オスカル……生命だけは……(バキューンバキューン)大切に……して……くれ…… (バキュンバキューン)」
 あれ? 「見えていないのか……何故付いてきたーー!!」がないっ!!
 はっ。アンドレ、めっちゃ目ぇ見えてる!!失明設定すらナシか!!

 短縮版だから、アンドレの目のことを説明する暇がなかった、のはわかる。過去にも「目が見えているアンドレ」はあった。
 だが、説明なんかなくてもおかまいなしに、突然アンドレが盲目になって「オスカル何処だっ」とやりはじめるのが植爺。過去の切り貼りだから、辻褄が合わなくても気にしない。なのに時折「説明してないからこの設定はなくす」んだろう?
 調節する・しないのラインが不明で気持ち悪い。

 そして今回は、アンドレの扱いがひどいので、失明設定さえ削られていると、さらにひどい扱いをされているように見える。
 目が見えてるくせに、危機感なくあんな場所に立って、結果撃たれてるのかよ、てな。

 植爺がナニをしたかったのかわかんないけど、今回のオスカルとアンドレは新しい。

 カレカルの潔さっちゅーか、変わり身の早さに大ウケした。面白かった。
 あんなにきれいなのに、あちこち大雑把で無頓着。実に男らしい雑さのあるオスカル様でした。うん、男の子ってこうだよね! みたいな。

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