新人公演『ガイズ&ドールズ』観劇。

 せおっち新公主演おめでとー!

 将来トップになるならないはともかく、新公主演事実大事。それによって舞台での扱いが変わるもの。
 もっとせおっちを観たいから、主演歴を得てくれたのがうれしい。

 たとえ、作品が『ガイドル』であっても。

 映像が残らない公演で最初で最後の新公主演をする子は、気の毒だ。

 や、花組のあきらが「なんで新公主演出来なかったの?」とか「1回でいいから新公させときゃよかったのに」とふつーに言われるから。
 してるから! あきら、新公主演してるから!
「え? ナニで? 観たことない」ってそりゃ、映像に残ってないからだよ、スカステで放送されてないからだよ。
 本公演の映像ソフトは発売されてるけど、スカステ放送頼みの新公は、放送されなきゃ「なかったこと」になっちゃうんだもん、人の心理として。
 ソフト発売されたりテレビ放送されれば、あとから来た人に見せることができるからね。そうやって、去年からヅカファンになった人でもふつーに、初演『エリザベート』の感想を語れるわけじゃん。「現在」ヅカファン同士で語れるわけじゃん。
 映像が残らないと、「観た人」は年々減るのみで増えることがない。減るのみなんだから、いつしか「そんなことあったっけ?」になるのは自然の摂理。

 映像ナシ・東西2公演のみの新公は、「当時」ナマで観た人以外感想を語ることも出来ない。「現在」のヅカファン同士で語ることも出来ない。アクティブになってない出来事は、記憶に残りにくい。

 そんな演目での主演は、ラストチャンスの子にさせてほしくないなあ。
 そんな演目だからチャンスが回ってきたのかもしんないけど。

 だから今回は絶対に観たい!と思った。
 や、どの公演だって観たい!と思っているけど、今回は特に。あきらの新公『麗しのサブリナ』が素敵だったように、せおっちの『ガイドル』だって素敵に違いない! この目に焼き付けるんだーー!


 と、いうことで。
 せおっち中心に観劇したわけですが。

 観ながら、改めて考えた。
 えーとわたし、なんでせおっち好きなんだっけ? 好きというか、わりと好きなジェンヌさんで、舞台にいるときは意識して観てみるうちのひとり。

 なんで彼に好意を持っているかというと、美形だから。コレに尽きる。

 タカラヅカだもん、美しい人が観たい。
 せおっちはモブにいても、モブを眺めるのが好きなわたしが「あ、あそこにきれいな人がいる!」とオペラを止める美形さんだ。
 で、いっつもモブに毛が生えたよーなもんだから、「もっとちゃんとした役で観たいなあ」とか「もっとたくさん観たいなあ」と思う。
 ゆえに、役付き上がれ! 新公主演来い! と願っていた。

 そーして今、念願の新公主演! ものすごくいい役!

 念願の……ってことは、ほんと、こんだけ大きな役を演じる彼を見るのがはじめてってことだ。
 これまでは、彼の顔が好きなだけ、興味あるだけでしかなかった。

 ようやく役者としての彼を見ることが出来て……。

 ちょっと、首をかしげたわけだ。
 なんでわたし、好きだったんだっけ、と。や、他意はなく、単純にふと。

 うーん……。

 別に、悪くはなかった。
 よくやっていた。
 初の大役、これまでの立ち位置からしても、プレッシャー半端なかったろうに、よくやりきったと思う。
 悪くはないんだけど……。

 好みでも、ない、かなあ?

 そういや、今までの別箱公演でも、脇でちょろちょろしている分にはいいんだけど、出番や台詞が多いとあまり響いてこなかった印象がある。いやその、顔がいいからそれだけでヨシ!的な気持ちだったっつーか。顔がいいから、それ以上のことをわたしが考えてなかったというか。

 なんだろう、この不自由さは。
 ワンサイズ小さな服を着せられているみたい。や、現実の衣装のことではなくて。
 手を伸ばすべきところで伸ばしきれない感じというか、不自然なぎこちなさがある。
 経験不足のせい?

 だからといって、舞台が進むにつれてエンジン掛かってくる風でもなく。
 ぎこちなさと不自然さはずーーっとそのまま。

 調子に乗るタイプではなさそうだ。かといって、あまり周囲を見れるタイプでもなさそうだ。
 目の前のことだけを観て演技している感じ。や、現実はそれでいいけど、舞台を、世界を作るっていうのはそうじゃなくて、舞台全体を観て演技しなきゃなんないわけで……うおー。
 なんかむずむず、手に汗握る。

 そして。
 手に汗握っていると、どんどん彼に感情移入する。
 がんばれー! 行けー! もう少しだー!
 握るのは汗ではなく拳? 心の拳を振り上げて、応援しまくりさ(笑)。

 結果。
 うん、なんか、良かった!(けろり)

 さっきと言ってることチガウけど、正直な気持ちだから。
 せおっち、良かった!
 なんかすがすがしく観終わった。

 足りないところがあるにしろ、素直な芸風が心に響くんだと思う。役の気持ちが、というより、役者本人の気持ちが、というのは課題だとしても、いいじゃん、今の段階はソレで!
 マラソンランナーを応援するような、一緒に汗をかいたような、そんな観劇後。

 てゆーかさ……。
 そうやって伴走する気持ちで長距離走り抜いたあと、挨拶があるじゃないですか、主演者の。
 大抵の初主演者は感極まって泣いちゃって(泣かなかったのはまっつとマギーくらい?)、大変微笑ましいヅカならではの「アマチュア感」があるアレ、アレがあるわけじゃないですか。
 せおっちも初主演だもの、きっと涙ながらに挨拶して、客席ももらい泣きするんだわー。
 と、思ってたら。

 人は、頭が真っ白になったとき、ほんとうに「首をかしげる」のだ。

 小説の常套句、「彼は首をかしげた。」
 まさかそれを、目の当たりにするとはっ!!(笑)

 挨拶の途中で、たぶん突然頭が真っ白になっちゃったんだろうなあ。焦点の合ってない目で沈黙して、ゆっくりと首をかしげた……。
 言葉に詰まる人はいくらでも見てきたけど、これは初体験だわ。

 マラソンランナー応援ハートでいたところに、コレですよ。
 ああなんかもう、まさしく!! って感じ。試合直後で放心してるアスリート!!

 …………愛しいっす。


 ラストチャンス新公主演はいいよね、それだけでドラマだよね、感動的だよね。
 終演後の挨拶時、ベテラン主演のことちゃんが、保護者の顔を見守っているのもまた見どころのひとつ。
 その昔、いっぱいいっぱいな様子で挨拶するベニーを、まひろくんが見守っていたように。

 こうやって、物語は受け継がれていく。

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