最低男現る!@相続人の肖像
2015年10月15日 タカラヅカ ひさしぶりに、ひどいバウ作品を観た。
『相続人の肖像』初日観劇。
1幕はひたすら、首をかしげていた。
物語を理解しようとする部分では、「これ、ナニがしたいんだろう」「どうするつもりなんだろう?」と疑問符が飛び、単純に観劇している部分では「信じられないくらいつまんない……」と、これまた盛大にとまどっていた。
最近のバウ公演って、多少粗があっても構成がおかしくても、とにかくなにかしら目を引く・気を惹く部分があって、「つまらない」ということだけはなかった。
それが、びっくりのつまらなさ……。
なんにも魅力的なモノがないまま、えんえん進む舞台にただただ困惑した。
わからないことだらけなんだ。
伯爵家のおぼっちゃまである主人公チャーリー@ずんちゃんは、爵位と屋敷だけ相続、その他の財産を相続したかったら、継母ヴァネッサ@せーこと屋敷で一緒に住み続けなければならない……という父伯爵の遺言を受けた。
母を顧みず、その死後は愛人のヴァネッサと再婚した、ということで父を憎んでいるチャーリーは、たとえ財産を放棄してでもヴァネッサを追い出すことを選ぶ。
チャーリーの父と心から愛し合っていたヴァネッサは、もともと伯爵家の生活に未練はなく、夫の喪が明けたら出ていくつもりだった。
これが最初に提示される設定。
ここからすでに、わからない。
伯爵とヴァネッサは愛し合っていた。なのに何故愛する妻とその連れ子に、きちんと財産を与えなかったのか。
チャーリーと和解して欲しい、真の家族になって一緒に暮らして欲しい、という願いがこめられていることはわかる。だがそれは願いでしかなく、自分の死後、ヴァネッサを憎んでいるチャーリーが彼女を拒絶する可能性を、何故考えなかったのか。万が一にでも、ヴァネッサと娘のイザベル@まどかが生活に困ることがないようにするべきでは?
息子チャーリーの優しさに賭けた? まさか無一文で追い出しはしないだろう、遺産も欲しいし、追い出すのも可哀想だし、という二面から一緒に暮らすことを選ぶだろう、って?
しかし、ケンカ別れしたまま何年も会っていない息子の「優しさ」ってものに、愛する人の一生を賭けていいのか? 賭けに負けた場合、妻と娘が野垂れ死ぬかもしんないんだよ?
そんな危険な賭けを、何故わざわざしなくてはならない?
わたしは嫌だ、家族の人生を勝手に賭けていなくなるような人。
チャーリーとヴァネッサの和解が望みならば、何故ヴァネッサにそれを託さなかったのか。彼女は無一文で出ていくつもりだった。遺言状のことがなくても。伯爵を心から愛しているヴァネッサは、チャーリーのことを託されればどんなに罵られても金目当てと誤解されても、屋敷に留まりチャーリーの心をほぐそうとするだろうに。
なんにせよ、彼女に財産を遺すべきだった。彼女が拒んだとしても、娘のためにも一定の保障は必要だ。
チャーリーがヴァネッサを受け入れない場合、財産はヴァネッサのモノになる、ということにしておけばいいのに。
なんで彼女には一銭も遺産を遺さず、チャーリーが彼女を拒絶した場合は国へ没収される、なんて遺言したんだろう。
人との情というか、あたりまえの心の動きというか想像する範囲を超えた、無理ありまくりの設定に、「???」が飛び交う。
父親の伯爵様も変だけど。
主人公チャーリーは、人として最悪。
自分の心の傷にはちょー敏感、擦り傷かすり傷にも大騒ぎして、さわぐだけならまだしも、報復を考える。他人の心や痛みには鈍感……というか、想像することも出来ない。
父親に傷つけられた……から、危篤の報せも無視。でも、ひとりで生きていけないから、戻ってくる。父のお金とコネで大学生活をしていたため、立ちゆかなくなったのな。
父の後妻のヴァネッサは敵、この女のせいで母が不幸になった……すなわち、自分が傷つけられた……から、無一文で屋敷から追い出す。
チャーリーがヴァネッサを受け入れないと、伯爵家は破産、家族も使用人も路頭に迷う……けど、自分の心の方が大事。
下品な成金娘と政略結婚は嫌、メガネブスで行き遅れの幼なじみの方がマシだから、こっちと結婚してお金をもらおう。
他に好きな子が出来たから、メガネブスは捨てよう。幼なじみの親友の恋人でも、好きになったんだから仕方ない、奪ってしまおう。
見ていて、口がぱかーんと開いたままだった。
見事に、ひとつも、いいところがない。
えーと、「主人公」だよね? 悪役じゃなくて。心優しい主人公やヒロインをいじめるだけだけに出て来た悪役のアホ男でなくて、これが、この物語の「主人公」なんだよね?
観客に感情移入させたり、「素敵」と思ってもらわなくてはならない「主人公」なんだよね??
…………作者はこの男が「魅力的」だと本気で思っているんだろうか。
それとも、なにか他に表現したいことがあったのだけど、力足りずこうなってしまったんだろうか。
前者なら絶望しかない。
いや、でも、こう思うのはわたしだけで、世の中の人は「チャーリー素敵! こんな人としてすばらしいキャラクタ観たことナイ!!」と思うのかもしれない。もしくは「完璧でないところが共感できる」とか。
でもわたしは無理だ。
最低最悪な男だと思う。
ので、『相続人の肖像』は「チャーリーは最低男」と思う感性を元に感想を書く。
続く!
『相続人の肖像』初日観劇。
1幕はひたすら、首をかしげていた。
物語を理解しようとする部分では、「これ、ナニがしたいんだろう」「どうするつもりなんだろう?」と疑問符が飛び、単純に観劇している部分では「信じられないくらいつまんない……」と、これまた盛大にとまどっていた。
最近のバウ公演って、多少粗があっても構成がおかしくても、とにかくなにかしら目を引く・気を惹く部分があって、「つまらない」ということだけはなかった。
それが、びっくりのつまらなさ……。
なんにも魅力的なモノがないまま、えんえん進む舞台にただただ困惑した。
わからないことだらけなんだ。
伯爵家のおぼっちゃまである主人公チャーリー@ずんちゃんは、爵位と屋敷だけ相続、その他の財産を相続したかったら、継母ヴァネッサ@せーこと屋敷で一緒に住み続けなければならない……という父伯爵の遺言を受けた。
母を顧みず、その死後は愛人のヴァネッサと再婚した、ということで父を憎んでいるチャーリーは、たとえ財産を放棄してでもヴァネッサを追い出すことを選ぶ。
チャーリーの父と心から愛し合っていたヴァネッサは、もともと伯爵家の生活に未練はなく、夫の喪が明けたら出ていくつもりだった。
これが最初に提示される設定。
ここからすでに、わからない。
伯爵とヴァネッサは愛し合っていた。なのに何故愛する妻とその連れ子に、きちんと財産を与えなかったのか。
チャーリーと和解して欲しい、真の家族になって一緒に暮らして欲しい、という願いがこめられていることはわかる。だがそれは願いでしかなく、自分の死後、ヴァネッサを憎んでいるチャーリーが彼女を拒絶する可能性を、何故考えなかったのか。万が一にでも、ヴァネッサと娘のイザベル@まどかが生活に困ることがないようにするべきでは?
息子チャーリーの優しさに賭けた? まさか無一文で追い出しはしないだろう、遺産も欲しいし、追い出すのも可哀想だし、という二面から一緒に暮らすことを選ぶだろう、って?
しかし、ケンカ別れしたまま何年も会っていない息子の「優しさ」ってものに、愛する人の一生を賭けていいのか? 賭けに負けた場合、妻と娘が野垂れ死ぬかもしんないんだよ?
そんな危険な賭けを、何故わざわざしなくてはならない?
わたしは嫌だ、家族の人生を勝手に賭けていなくなるような人。
チャーリーとヴァネッサの和解が望みならば、何故ヴァネッサにそれを託さなかったのか。彼女は無一文で出ていくつもりだった。遺言状のことがなくても。伯爵を心から愛しているヴァネッサは、チャーリーのことを託されればどんなに罵られても金目当てと誤解されても、屋敷に留まりチャーリーの心をほぐそうとするだろうに。
なんにせよ、彼女に財産を遺すべきだった。彼女が拒んだとしても、娘のためにも一定の保障は必要だ。
チャーリーがヴァネッサを受け入れない場合、財産はヴァネッサのモノになる、ということにしておけばいいのに。
なんで彼女には一銭も遺産を遺さず、チャーリーが彼女を拒絶した場合は国へ没収される、なんて遺言したんだろう。
人との情というか、あたりまえの心の動きというか想像する範囲を超えた、無理ありまくりの設定に、「???」が飛び交う。
父親の伯爵様も変だけど。
主人公チャーリーは、人として最悪。
自分の心の傷にはちょー敏感、擦り傷かすり傷にも大騒ぎして、さわぐだけならまだしも、報復を考える。他人の心や痛みには鈍感……というか、想像することも出来ない。
父親に傷つけられた……から、危篤の報せも無視。でも、ひとりで生きていけないから、戻ってくる。父のお金とコネで大学生活をしていたため、立ちゆかなくなったのな。
父の後妻のヴァネッサは敵、この女のせいで母が不幸になった……すなわち、自分が傷つけられた……から、無一文で屋敷から追い出す。
チャーリーがヴァネッサを受け入れないと、伯爵家は破産、家族も使用人も路頭に迷う……けど、自分の心の方が大事。
下品な成金娘と政略結婚は嫌、メガネブスで行き遅れの幼なじみの方がマシだから、こっちと結婚してお金をもらおう。
他に好きな子が出来たから、メガネブスは捨てよう。幼なじみの親友の恋人でも、好きになったんだから仕方ない、奪ってしまおう。
見ていて、口がぱかーんと開いたままだった。
見事に、ひとつも、いいところがない。
えーと、「主人公」だよね? 悪役じゃなくて。心優しい主人公やヒロインをいじめるだけだけに出て来た悪役のアホ男でなくて、これが、この物語の「主人公」なんだよね?
観客に感情移入させたり、「素敵」と思ってもらわなくてはならない「主人公」なんだよね??
…………作者はこの男が「魅力的」だと本気で思っているんだろうか。
それとも、なにか他に表現したいことがあったのだけど、力足りずこうなってしまったんだろうか。
前者なら絶望しかない。
いや、でも、こう思うのはわたしだけで、世の中の人は「チャーリー素敵! こんな人としてすばらしいキャラクタ観たことナイ!!」と思うのかもしれない。もしくは「完璧でないところが共感できる」とか。
でもわたしは無理だ。
最低最悪な男だと思う。
ので、『相続人の肖像』は「チャーリーは最低男」と思う感性を元に感想を書く。
続く!
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