花組新人公演『新源氏物語』感想。

 まず、なにがなんでも、観たかったの。この新人公演。
 演目が発表されたときから、まだ誰が新公主演するとか、なんもわかんないときから、ただひたすら願っていた。

 カレーくんの光源氏が観たい。

 美しかろう。
 そりゃあもう、美しかろう。

 今の花組で「源氏物語」やるなら、カレーくんの光源氏を見ずにどうする!! 彼が光源氏をやらずにどうする!!
 ……てなもんでな。
 かなり前から、勝手に盛り上がってました。

 そして、頭中将@マイティー!!

 カレーくんとマイティーが親友役! しかも美しい平安モノで、「源氏物語」で!!
 うっきゃ~~!!
 見る見る、あたし絶対コレ見る~~!!


 えー……。
 これだけで舞い上がって、ヒロインが誰かも知りませんでした……。すまぬ……。

 まず、歌は気になりませんでした。
 カレーくんというと歌にびっくりするのがお約束なんだけど、気にならなかった。そりゃうまくはないんだけど、世界観を壊すほどじゃなかった。
 わたしが彼のビジュアルにぼーっとなっていた、せいかもしれないが(笑)。

 カレーくんの源氏には、より繊細さを感じたんだ。
 不安定さかな。

 彼が見ている世界は、どんな色に映っているんだろう。
 そう思う。

 出来事のひとつひとつに、人との言葉ややりとりに、ふるえている、感じがする。
 ぶるぶる、という震えではなくて、水面が揺れるあの感じ? 波動? とても小さな、かすかな揺らめき。
 世界……人であれ、出来事であれ……に触れるたび、水面が揺れる。波と言うにもささやかな、表面に揺らぎが起こる。
 そんな青年。

 だから彼の女性への接し方が、切なくてな。
 藤壷@ひらめちゃんよりも、六条御息所@帆純くんと接しているときに強く感じた。
 ああ、つらいな、って。
 六条御息所への気持ち……というか、自分の内側に向かう棘のようなものが、六条と話すことで押されるっていうか、痛いよなー、そんなの。
 藤壷とまともに接しているところがラブシーンしかろくにないもんで、そっちは必死さの方にベクトルが向いてて、棘と揺らめきは六条がわかりやすい。

 カレーくんの芝居がうまいのかどうかは知らない。
 芝居という、「肉体を使って表現する」技術自体は、ダンスほど鍛えられてはいないのだと思う。だから発声ひとつとっても、未成熟さを感じる。
 技術が未成熟である分、テンション高い表現の方がボロが出やすい。大きく跳ね上がる感情を表現する方法として、声や肉体を制御することが、現時点では不得手なんだと思う。
 だから、静かな芝居の方が、今あるモノで表現しやすいのではないかと思う。
 トートも、そして光源氏も。
 外側に跳ね上がるのではなく、今の輪郭の中だけで勝負する。
 そして、そーゆー芝居をしているカレーくんは、わたしの琴線をくすぐる。
 彼の輪郭に、勝手に好きなモノを投影して見ているのかもしれない。好みの姿をした人に、好みの内面を想像する。彼の芝居云々ではなくて。
 そうだとしても、それをさせてくれるのが、カレーくんであり、カレーくんの芝居なんだ。

 だから好きなのよ。
 カレーくんの芝居。

 主演だと彼をじっくり見られるからいいなあ。
 本公演だと、彼以外の主要キャラを見ちゃうからね、どうしても。

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