『新源氏物語』3回目の観劇時に、いちばん惹かれたのが、六条御息所@カレーくん。

 ごめん、わたし勝手に「大人の女役をするカレーくん? そんなん、ぐだぐだダメダメになるに決まってるやん」てな思い込みがあった。
 初日から「あれ? 意外にいいじゃん?」とは、思っていたけど。

 なんか、泣ける……。六条御息所。

 六条御息所ってさ、源氏に似てる?
 なんか、心の弱い部分が似ている気がする。
 だから出会った最初はそれゆえに惹かれて、距離がなくなると、それゆえにつらくなる気がする。

 人間、弱点には敏感だよ。誰よりも自分自身が知ってる。だから過剰反応もするし、守ろうとするし、攻撃に転じたりもする。
 六条御息所と源氏は、ただもう、痛々しく見えた。一緒にいてもきっと痛いばかりで、だからといって無視することも出来ない、悲しい関係に見えた。
 いっそ離れてしまえばいいのに、たぶんそれも無理なんだろうなあ。濡れた傷口が触れあって、不自然に融合してしまい、引き離すには流血必至、肉ごと引きちぎるか、外科手術が必要、てな。
 それが出来ないから……共に目を逸らす性格だから、傷口がいつか乾いてかさぶたがはがれるみたいに皮膚からこそげ落ちるのを待っている。
 ……と、女の方がそれに耐えられずに暴走した、と。ナイフもって強引に傷口に突き立てた……みたいな。

 うわ、痛い。
 つらい。

 そう思った。


 みりおくんの光源氏が魅力的なのは、彼が卑怯だからかもなー、なんてことも、つらつら考えた。
 卑怯……って、言葉悪いけど、自分が罪を犯していることを知りながら、そこから逃れられずにいる、そこでもがき続けている……その、もがき続けること自体を肯定しているというか、受け入れている感じ。
 罪を犯している、では改めよう! とはならないの。
 より深い闇を見つめ、ずっしりと背中に苦悩を背負ったまま、粛々と歩き続ける。
 改めも反省もしない、だからこれからも罪を継続するし、もう一度やり直せるとしても同じことをするだろう、てな。
 そして自分だけでなく、周囲にも苦しみを与える。
 ずるいねー。ひどいねー。

 だけど、魅力的だね。
 胸が痛くなるような、切ない男だね。
 こんな男を愛したら、ずっと彼の背負った闇に片恋することになるね。
 彼の闇ほど、彼の心を自分に向けさせることが出来なくて。


 みりおくんのお芝居自体は、とくにわたし好みということはなく、むしろわたし、みりおくんには鈍感というか、伝わりにくい体質みたい。
 だから彼から受け取る情報量が少ないために、勝手に思い込んでいる節は大いにある(笑)。
 いいのよ、私は観たいモノを観るんだから。
 みりお様は今のままのみりお様で、わたしは彼にドリームするのよ。


 カレーくんとみりお様で、ドシリアス芝居観てみたいっす。
 ふたりは色が違うのだけど、持っている濁りが同系色なのかなと思った。別の色でも、同じ色の影が付くと1枚の絵として落ち着く、みたいな。

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