大劇場を抱きしめる。(チガウ)
2015年11月3日 タカラヅカ 宝塚大劇場の絨毯のやわらかさを知っていますか?
大劇場の赤い絨毯、やわらかいです。クッションいいです。
わたしは知りました。
自分の顔で。
そう、顔面で。
えー、緑野こあら、ヅカヲタやって長いですが、このたびはじめて、大劇場の階段で転びました。
大劇場、チケットもぎってもらった目の前って、大きな階段あるじゃん。
銀杏型っていうの? 下はひとつで、真ん中に踊り場があって、そこから左右に分かれて階段が伸びているやつ。
宝塚大劇場っていうとまずそこが映る、特徴的な豪華なエントランス。
あの階段で、コケました。
顔から。
ふたつに分かれた下手側の階段を降りているとき、前へつんのめった。
階段を降りているときにつまづくと、どうなるか。
落ちます。
顔面から。
いやあ……相当長く生きてるけど、階段で、顔から落ちたのははじめての経験だ。
スローモーションになるのね、感覚が。
あ、つまづいた、と思った次に「落ちる」って思った。因果関係が咄嗟に理解できた。
階段が、近づいてくる。
足で踏むための段が、絨毯が、目の前に迫ってくる。
このままだと、顔から落ちる。
階段に、絨毯に、顔から着地する。
そして、やべ、と思った。手、ふさがってる。利き手はトートバッグ持ってるから使えない。
ちょ、待て、顔面から?
それまずくね?
まずいって!!
ひえーーーー!!
スローモーション。つか、意識のみが高速回転?
つまずく→こける の間なんて1~2秒? そんな間に、いろーんなこと考えた(笑)。
てゆーか、階段が目の前に迫ってくる、自分が顔から落ちている、あの感覚、あの視界……今でも思い出すわー。こーわーいー。
へたすると死んでるわねー。首の骨折ったら逝ってるわねー。こあら、宝塚大劇場にて死す。……本望だけど、そんな傍迷惑な。
生きてるから笑いごとだけど。
高速回転でいろんなこと考えてたのに、実際、建設的なことはなにも考えられず。
自分がどう落ちたのか、おぼえてないの。
顔からダイビングしたはずなのに、顔から階段に激突することはなかった。
咄嗟に顔をかばったみたい。
そのときはわかんなかったけど、あとになって右の手のひらと左肩が痛んだので、咄嗟に右手(トートバッグ持ってたのに)突いて、左肩から落ちたみたい。
そのあとで、顔も着地。顔はぶつけるのではなく着地、そのときに、あ、絨毯ふかふか、と思った。
さて。
顔から階段に激突、という状況は避けられた。
しかし、「顔から階段落ちた」のは事実。その場合、どうなってしまうか。
答え。
起き上がれません。
頭を下にして、階段にうつぶせで寝っ転がってる状態ですよ。うつぶせ大の字ですな。
頭が下で、足が上。階段に沿って、逆立ち状態。
起き上がろうとするんだけど、立てない。
どこに力を入れればいいのかわからない。逆立ちしてるんだもの、足を動かしたって上体は倒れたまま。腕を動かそうにも、体重が上半身に向かってかかっている状態じゃ、ちょっとやそっとじゃどうにもならない。
え、嘘、起き上がれない。……てことで、プチパニック。
自分の身体が自分の意志で動かせない、って、あせるね。
階段から落ちて、顔から落下(大ケガ)だけは避けられた、となればもう、あと考えることってひとつじゃん?
恥ずかしいっっ!!
少しも早く、ここから逃げ出したいっ!!
わたしが起き上がれずにもがいているあたりで、「大丈夫ですか?」と声をかけられたと思う。
「大丈夫ですっ」
めっちゃ本気の声で、即座に返して、転がるようにして起きた。
身体を丸めるしかないんだね、逆立ちから起き上がるのって! 広がったまんまじゃ重力に負けて、動けない。勉強になったよ!
身体丸めて転がるみたいに踊り場へ降りて、ぺたんとお尻ついてる状態で、そっから立ち上がって。ええ、段階踏んで、ようやく立ち上がれた。
落ちても転がってもトートバッグは肩にかけたまんま、脇でしっかり挟んでて、落ちた携帯も拾い上げて、あとはダッシュ。
階段降りて、ラウンジの方へ逃げた。
逃げた。
まさしく。
階段の裏側であるラウンジからは、わたしが転んでいる様が絶対に見えないから。
目撃者のいないところへ、逃げた。
そこまで行ってからだ。
あらためて、こわくなったの。
よ、よく無事だったなヲイ。
そこではじめて、手のひらと肩が痛んでいることに気づき、ついでに脛をぶつけていたことにも気づいた。階段で逆さ大の字になっているときは、痛みどころじゃなかった。
そしてつくづく、幸運だった、と震撼した。
いちばんの幸運は、周囲に誰もいなかったこと。
わたしひとりが落ちて死のうが骨折しようが自業自得だけど、周囲に誰かいて、落ちるときに巻き込んでしまったら……?
わたしみたいなデカい肉の塊に降ってこられたら、大抵の女性は吹っ飛ばされ、わたし以上の勢いで階段オチすることになるだろう。
幕間の半端な時間で、ロビー中央階段にはわたしとあとひとりくらいしかいなかった。
そのひとりが「大丈夫ですか?」と声をかけてくれた人だと思うけど、わたしが落ちてから何拍も経過してからだったと思うから、咄嗟に声もかけられなかったんだろーなーと思う。わたしだって、目の前で「顔から階段落ちして動かない」人がいたら、びびって石になるわ。
その人が騒がずにいてくれたから、人だかりになることもなく、係員を呼ばれることもなく、わたしはそそくさと逃げることが出来た。
危なかった……あと少し動けずにいたら、人を呼ばれて騒ぎになっていたかも。
スカートじゃないから見た目的にもそう見苦しい姿で倒れていたわけじゃないと思うし、血は服の下で外からは見えないし、フタのないトートバッグなのに脇を締めていたから中身飛び散ってないし、バッグのポケットに入っていた携帯電話は飛びだしていたみたいだけど、何故か起き上がったときに「あ、携帯落ちてる」って冷静に階段から拾い上げられたし……不幸中の幸いっていうか、「落ちた」あと、リカバリ完璧じゃね??
不幸と幸運に、心臓ばくばく。
てゆーかケガしたところもそこに脈打つモノがあるみたいにバクバク(笑)。
そして思った。しみじみと。
大劇場の絨毯、やわらかい……!
95周年のときだっけ、絨毯張り替えられたの。『太王四神記』初日の鏡割りのとき、大劇場に入って「あ、絨毯変わった……!」って思ったっけ。エントランスだけで、階段はどうだったっけか。
あのとき、絨毯の柄よりナニより、踏んだときにふかっとして、そのやわらかさで「変わった」と思った……あのやわらかさを、まさか頬で味わうことになるとは。
いやあ、出来れば一生知りたくなかったなー。(笑顔)
や、いい経験をしました。長く生きてると、いろんなことがあるもんですな。
てゆーか気をつけような、年寄りなんだから、足元には!!
『新源氏物語』『Melodia』の、3回目の観劇時のことです。たしかポスカプレゼントがあった日のことニャ。
大劇場の赤い絨毯、やわらかいです。クッションいいです。
わたしは知りました。
自分の顔で。
そう、顔面で。
えー、緑野こあら、ヅカヲタやって長いですが、このたびはじめて、大劇場の階段で転びました。
大劇場、チケットもぎってもらった目の前って、大きな階段あるじゃん。
銀杏型っていうの? 下はひとつで、真ん中に踊り場があって、そこから左右に分かれて階段が伸びているやつ。
宝塚大劇場っていうとまずそこが映る、特徴的な豪華なエントランス。
あの階段で、コケました。
顔から。
ふたつに分かれた下手側の階段を降りているとき、前へつんのめった。
階段を降りているときにつまづくと、どうなるか。
落ちます。
顔面から。
いやあ……相当長く生きてるけど、階段で、顔から落ちたのははじめての経験だ。
スローモーションになるのね、感覚が。
あ、つまづいた、と思った次に「落ちる」って思った。因果関係が咄嗟に理解できた。
階段が、近づいてくる。
足で踏むための段が、絨毯が、目の前に迫ってくる。
このままだと、顔から落ちる。
階段に、絨毯に、顔から着地する。
そして、やべ、と思った。手、ふさがってる。利き手はトートバッグ持ってるから使えない。
ちょ、待て、顔面から?
それまずくね?
まずいって!!
ひえーーーー!!
スローモーション。つか、意識のみが高速回転?
つまずく→こける の間なんて1~2秒? そんな間に、いろーんなこと考えた(笑)。
てゆーか、階段が目の前に迫ってくる、自分が顔から落ちている、あの感覚、あの視界……今でも思い出すわー。こーわーいー。
へたすると死んでるわねー。首の骨折ったら逝ってるわねー。こあら、宝塚大劇場にて死す。……本望だけど、そんな傍迷惑な。
生きてるから笑いごとだけど。
高速回転でいろんなこと考えてたのに、実際、建設的なことはなにも考えられず。
自分がどう落ちたのか、おぼえてないの。
顔からダイビングしたはずなのに、顔から階段に激突することはなかった。
咄嗟に顔をかばったみたい。
そのときはわかんなかったけど、あとになって右の手のひらと左肩が痛んだので、咄嗟に右手(トートバッグ持ってたのに)突いて、左肩から落ちたみたい。
そのあとで、顔も着地。顔はぶつけるのではなく着地、そのときに、あ、絨毯ふかふか、と思った。
さて。
顔から階段に激突、という状況は避けられた。
しかし、「顔から階段落ちた」のは事実。その場合、どうなってしまうか。
答え。
起き上がれません。
頭を下にして、階段にうつぶせで寝っ転がってる状態ですよ。うつぶせ大の字ですな。
頭が下で、足が上。階段に沿って、逆立ち状態。
起き上がろうとするんだけど、立てない。
どこに力を入れればいいのかわからない。逆立ちしてるんだもの、足を動かしたって上体は倒れたまま。腕を動かそうにも、体重が上半身に向かってかかっている状態じゃ、ちょっとやそっとじゃどうにもならない。
え、嘘、起き上がれない。……てことで、プチパニック。
自分の身体が自分の意志で動かせない、って、あせるね。
階段から落ちて、顔から落下(大ケガ)だけは避けられた、となればもう、あと考えることってひとつじゃん?
恥ずかしいっっ!!
少しも早く、ここから逃げ出したいっ!!
わたしが起き上がれずにもがいているあたりで、「大丈夫ですか?」と声をかけられたと思う。
「大丈夫ですっ」
めっちゃ本気の声で、即座に返して、転がるようにして起きた。
身体を丸めるしかないんだね、逆立ちから起き上がるのって! 広がったまんまじゃ重力に負けて、動けない。勉強になったよ!
身体丸めて転がるみたいに踊り場へ降りて、ぺたんとお尻ついてる状態で、そっから立ち上がって。ええ、段階踏んで、ようやく立ち上がれた。
落ちても転がってもトートバッグは肩にかけたまんま、脇でしっかり挟んでて、落ちた携帯も拾い上げて、あとはダッシュ。
階段降りて、ラウンジの方へ逃げた。
逃げた。
まさしく。
階段の裏側であるラウンジからは、わたしが転んでいる様が絶対に見えないから。
目撃者のいないところへ、逃げた。
そこまで行ってからだ。
あらためて、こわくなったの。
よ、よく無事だったなヲイ。
そこではじめて、手のひらと肩が痛んでいることに気づき、ついでに脛をぶつけていたことにも気づいた。階段で逆さ大の字になっているときは、痛みどころじゃなかった。
そしてつくづく、幸運だった、と震撼した。
いちばんの幸運は、周囲に誰もいなかったこと。
わたしひとりが落ちて死のうが骨折しようが自業自得だけど、周囲に誰かいて、落ちるときに巻き込んでしまったら……?
わたしみたいなデカい肉の塊に降ってこられたら、大抵の女性は吹っ飛ばされ、わたし以上の勢いで階段オチすることになるだろう。
幕間の半端な時間で、ロビー中央階段にはわたしとあとひとりくらいしかいなかった。
そのひとりが「大丈夫ですか?」と声をかけてくれた人だと思うけど、わたしが落ちてから何拍も経過してからだったと思うから、咄嗟に声もかけられなかったんだろーなーと思う。わたしだって、目の前で「顔から階段落ちして動かない」人がいたら、びびって石になるわ。
その人が騒がずにいてくれたから、人だかりになることもなく、係員を呼ばれることもなく、わたしはそそくさと逃げることが出来た。
危なかった……あと少し動けずにいたら、人を呼ばれて騒ぎになっていたかも。
スカートじゃないから見た目的にもそう見苦しい姿で倒れていたわけじゃないと思うし、血は服の下で外からは見えないし、フタのないトートバッグなのに脇を締めていたから中身飛び散ってないし、バッグのポケットに入っていた携帯電話は飛びだしていたみたいだけど、何故か起き上がったときに「あ、携帯落ちてる」って冷静に階段から拾い上げられたし……不幸中の幸いっていうか、「落ちた」あと、リカバリ完璧じゃね??
不幸と幸運に、心臓ばくばく。
てゆーかケガしたところもそこに脈打つモノがあるみたいにバクバク(笑)。
そして思った。しみじみと。
大劇場の絨毯、やわらかい……!
95周年のときだっけ、絨毯張り替えられたの。『太王四神記』初日の鏡割りのとき、大劇場に入って「あ、絨毯変わった……!」って思ったっけ。エントランスだけで、階段はどうだったっけか。
あのとき、絨毯の柄よりナニより、踏んだときにふかっとして、そのやわらかさで「変わった」と思った……あのやわらかさを、まさか頬で味わうことになるとは。
いやあ、出来れば一生知りたくなかったなー。(笑顔)
や、いい経験をしました。長く生きてると、いろんなことがあるもんですな。
てゆーか気をつけような、年寄りなんだから、足元には!!
『新源氏物語』『Melodia』の、3回目の観劇時のことです。たしかポスカプレゼントがあった日のことニャ。
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