海外ミュージカル信者ではまったくない、タカラヅカのいいとこは新作オリジナルを作り続けられることだ、と思っている、偏った好みのわたしが、それでも「観たい」と思うのが『エリザベート』と『ロミオとジュリエット』です。

 えー、あくまでも、わたし個人の感想です。世間様の評価は知らぬ。

 なんで『エリザ』と『ロミジュリ』だけはいいの?

 理由は単純。好きだから。……って、アタマ悪い回答来ましたー!

 ええ、単に、好きなんです(笑)。好きだから観たい。好きじゃないものは、観たくない。なんてワガママ自己チュー心狭い意見!

 組子モブだしショーないけど。
 それでも、『エリザ』と『ロミジュリ』は好きだなあ。
 贔屓組でなくてもリピートするし、贔屓組ならなおさら通う!


 なんで好きか、複合的なモノなので「コレ!」という端的な理由があるわけじゃないが。
 わたしがミュージカルに求めているのが、ストーリーよりドラマ、キャラクタ単体より、その関連性、なんだと思う。

 『エリザベート』なんて、ストーリーわけわかんないじゃん? 慣れてない人を連れて行くと「ぽかーん」になる確率高いよー。
 シシィやな女だし。トートストーカーだし。
 『ロミジュリ』なんて、ストーリー単純過ぎだし、バカバカしいし。
 要するに頭も身体もゆるい子どもたちが暴走して、勝手に破滅する話でしょ?
 バカしか出て来ないし。

 や、わたしは『エリザ』のストーリーはトリッキーでいいなと思うし、『ロミジュリ』のストーリーはシンプルであるゆえに普遍的なモノだと思ってるけど。
 でも、基本のストーリーラインが秀逸な作品ではないと思う。『エリザ』は不親切だし、『ロミジュリ』はさすがに今の時代にはシンプルすぎて古い。

 それよりも、ドラマ……劇的な出来事、場面の作り方が、素晴らしい。
 最後までシシィに共感出来ないとしても、魅力的な楽曲でこれでもかと打ち出されるドラマティックな場面は素晴らしい。
 よーく考えると「お前が言うな!」でしかなくても、天空で「私だけに」を歌うシシィには感動する。ストーリーで考えると納得いかないことだらけでも、その1場面を切り取ってその場限りでセリフと歌詞を受け取ると、普遍的な事柄に変換できて心を揺さぶられる。
 ロミオにしろジュリエットにしろただのバカな子どもであったとしても、音楽と画面の美しさは太鼓判。
 「そこ」に至る道具立て(典型的「ついカッとなってやった、今は反省している」)はバカバカしいんだけど、「そこ」での愛のみ切り取って考えると、それは間違いなく人が普遍的に持つ心の在り方なのよ。

 そして、キャラクタ個人がどうというより、それぞれのキャラの関連性が想像力をかき立てる。

 各キャラのつながり……恋愛感情だろうと友情だろうと、憎悪だろうと、人と人が関わり合い、心を動かす、その内容が濃いとわくわくする。

 愛憎という点では『ファントム』の歪んだ親子愛は、好みだったりする。
 ピンポイントでマニア心は刺激されて良いのだけど、前述の通り「タカラヅカ」としてわくわくしない。
 ヅカより他のジャンルで堪能したいわ、こういう話とキャラは。あるいは、バウで小さく深く繰り広げる。大劇場本公演でやるこっちゃない。


 そして、海外ミュージカルの是非を分ける基準に、上記の要因の他にもうひとつ、わたしにとって重要なことがある。
 お笑い要素がないこと。

 わたし、笑いのツボ狭いのよ……。
 ギャグのつもりで書かれていることで、ムカついたり苛ついたり、不快さで作品自体が苦手になったりするのよ……。
 いい例が『ハウ・トゥー・サクシード』。他人を陥れて得をする様を、笑って楽しむ作品。弱いモノを傷つけたり、善人を騙したりする様を、大笑いするの。わたしには無理。感覚が違いすぎて楽しめない。

 『ミーマイ』は笑いのセンスが合わなさすぎて、好きになれない。笑わせるためのセリフや演出が、ことごとくイラッとなる。
 ストーリーもテーマも好きだけど、描き方が無理。好みじゃない。
 『ガイドル』も笑えなくてつらい……。ギャグのひとつひとつがわたしの心を冷やしていく……。
 海外ミュージカルでいちばん「海外産だ」と痛感するのは、笑いのセンス。こればっかはほんとね、合わないとどうしようもないよね。

 『スカピン』もあれほどお笑いに走ってなければ、「マダム・ギロチン」のテイストで終始してくれれば、もっと好きだったと思う。
 や、そのときは笑うけど……わたしが萌えるものとはチガウわー。

 『エリザ』と『ロミジュリ』は暗いからいいのよー。全体を覆う闇と悲しみ。
 それが好み。

 ……にしても、『ロミジュリ』は短期間で再演されまくったし、『エリザ』はついこの間再演されたところ。
 今現在、積極的に観たいわけでもない……が。

 今年宙組で『エリザベート』再演が決まった。

 えー、この間観たとこだから、もうしばらくいいわー。
 それより、宙組は一本モノばかりで下級生動く背景に逆戻りしてんじゃん、今『エリザ』なんかやってる場合?
 アテ書き新作をばんばんやって、ショーやって、スター育てるのが急務じゃないの?

 とは思う。
 思うけど。

 やっぱり、『エリザベート』は楽しみだ。

 海外ミュージカルにあまりありがたみを感じていないわたしが、それでも好きだ、と思う、再演を望む、数少ない作品。

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