お手本通りに丁寧に。@ 鈴蘭-思い出の淵から見えるものは-
2016年1月22日 タカラヅカ 『鈴蘭(ル・ミュゲ)-思い出の淵から見えるものは-』初日、ぎりぎりにバウホールにたどり着き、階段上がったら目の前にれおんくんが立ってた……。
いや、びびったー。
演出家・樫畑亜依子せんせの宝塚バウホールデビュー作。ってことで、ワクテカ。
マンガでも小説でも、新人作家デビュー! って謳ってあるとわくわくするよね。未知っていいよね、未来があるっていいよね。
どんな作風の人なのか、早く知りたい・この目で確かめたいよね。
で、前日欄まるまる3000文字使って、新人演出家作品の「わたしの」判断基準を書いた。
ひとさまのことは知らないし、「わたしの」ったって、オマエナニサマだよ、てなもんですが。
ヅカヲタゆえの戯れ言です。戯れ言ゆえに無駄にアツいの、真剣に戯れているから(笑)。
『鈴蘭』の感想。
いい。
根拠は、前日欄で挙げたポイントをすべてクリアしているから。
1.舞台は中世フランスの架空の国。
タカラヅカのいちばん得意なジャンル。
これを選ぶだけで、70点取れる。配点のいちばん大きいところを、きちんと押さえてくるのはいい。
2.主人公がちゃんとかっこいい。かっこいい衣装を着て、キャラ立てもふつうにかっこいいところを押さえてある。
少年時代のピュアな心を残しつつも今は適度にやさぐれていて、頭も良く、社会的にも優秀である。
教科書(エンタメはこう作る!的なハウツー本)に載っているレベルに模範解答な主人公像だ。
ヅカの主人公によくある「作者の頭の中でだけかっこいい」キャラじゃない。チェス、国王の信頼、舌戦、剣の腕と「かっこいい加点エピソード」を丁寧に盛り込んである。
そして、主人公自身が計画発案し、実行している。……コレ、ヅカ的にけっこうめずらしい。主人公がナニもしない、ただ台詞でだけ「かっこいい」「素敵」ともてはやされている、てのが山ほどあるからなー。
3.ヒロインと恋愛している。
初恋をこじらせつつ、等身大のヒロインと出会い、反感→共感→恋、とこれまた教科書に載っていそうなくらい、模範的な流れ。
しかも当世のはやり、「S系彼氏」路線だ。上から目線で命令、「お前はオレが守ってやる」……ほんとに丁寧に加点ポイントを押さえてくるなー。
4.キャラクタが多い。書き込みの浅さは問題じゃない、まずキャラクタが「在る」ことが重要。なければナニもはじまらないもの。
とにかくたくさんのキャラを出そう、という意欲が感じられる。「このキャラいらなくね?」と思うモノもあるけど、それでも「ひとりでも多く」出しているのはいい。
デビュー作には、そのクリエイターの本質が現れるという。
この4つは「タカラヅカの座付き演出家」としてこれからやっていけるのか、というわたし的なチェックポイントだ。
や、やっていけるのかを判断するのはわたしじゃない、わたしはただのファンのひとりでしかない。
ヅカヲタであるわたしが、「この演出家、期待出来ない……」としょんぼりすることになるかどうか、わたし自身が「(ファンを)やっていけない」と思うかどうか、ってことだ。
樫畑先生のデビュー作『鈴蘭』は、わたしのナニサマ目線をクリアした、良い作品だと思うの。
その点では好き。
タカラヅカを研究して、本気で「タカラヅカ」してるから。
これだけまともに「タカラヅカ」なら、今後も楽しくおつきあいできそう。
ただ。
「新人演出家デビュー作品」という括りではなく、ただこの作品だけぽんっと差し出された場合。
別に、好きでもなんでもないな。
ごめん。
前述のチャンネルとはチガウ部分で語ると、そうなる。
新人演出家デビューだ、どんな先生だろう、とワクテカして初日を観終わり、いちばん強く感じたことは、「及第点作家」出たなー、だった。
真面目に勉強して教科書通りきちんと作ってある。
作品は女の子向けライトノベルか少女マンガ。ストーリーもキャラもエピソードも、既視感パネェ。
破綻なくきれいにまとまってる。が、とくにわくわくもしない。
ストーリーが単純過ぎるというか、最初から犯人も筋道もなにもかもわかっていて、なにかしらどんでん返しがあるのかしら、いくらなんでもこんな答えが出ているまま終わらないわよね? と思ったら、ほんとにそのまま終わった、という拍子抜け感。
キャラクタの造形の薄さ・浅さが気になる。そこを根っこにおいた、「このキャラの言動おかしくね?」が最後まで引っかかった。
……という点はわたし的にけっこう大きなマイナスなんだけど、それはまあヅカではよくあることっちゅーか、言及しなくてもいいレベルのことなんだとは思う。
真面目にきれい、なのはいい。
だけど行儀良すぎてて、内にも外にも、はみ出すモノがない……。
外側に、どっかーん!と派手にはみ出すことは、せっかくお行儀のいい作りなんだから、そっちは目指さなくてもいいのかもしれないけど。
内側にはみ出すモノがないのは、これが作風ゆえなのか、デビュー作だからセーブしているのか。
初恋のシャルロット@はるこに対するリュシアン@ことちゃんの初恋のこじらせ方とか、書きようによっていくらでも深く重く出来るんだけど、なんつーかこー、絵に描いた餅的な、「お約束程度に触れました」「予定調和です」で終始しているのがなあ。
悪役ヴィクトル@せおっちの軽さと、一歩間違えるとかなりのアホアホ感とかもなあ。
きれいにまとまってるけど、そこで止まられると、演じているのが下級生メインのバウだってこともあり、全体的にすごく軽くなっちゃって、「教科書的」な作品がますます薄く小さくまとまったような。
だからなんか、惜しかった。
わたしが「タカラヅカ」に求めるモノを全部クリアしてくれてるし、話もお手本通りに作られてる。
だから。
だから、あとひとつ、わたし好みのものがあれば。
わたしの好きな方向へ踏み込んでくれていれば。
惜しい。
……あくまでも、わたしの好みの話なので。
わたし好みの「濁り」とか「重み」がないからって、それが悪いなんてことは、たぶんまったくないと思うので、これはこのままでいい作品なのかも?
いや、びびったー。
演出家・樫畑亜依子せんせの宝塚バウホールデビュー作。ってことで、ワクテカ。
マンガでも小説でも、新人作家デビュー! って謳ってあるとわくわくするよね。未知っていいよね、未来があるっていいよね。
どんな作風の人なのか、早く知りたい・この目で確かめたいよね。
で、前日欄まるまる3000文字使って、新人演出家作品の「わたしの」判断基準を書いた。
ひとさまのことは知らないし、「わたしの」ったって、オマエナニサマだよ、てなもんですが。
ヅカヲタゆえの戯れ言です。戯れ言ゆえに無駄にアツいの、真剣に戯れているから(笑)。
『鈴蘭』の感想。
いい。
根拠は、前日欄で挙げたポイントをすべてクリアしているから。
1.舞台は中世フランスの架空の国。
タカラヅカのいちばん得意なジャンル。
これを選ぶだけで、70点取れる。配点のいちばん大きいところを、きちんと押さえてくるのはいい。
2.主人公がちゃんとかっこいい。かっこいい衣装を着て、キャラ立てもふつうにかっこいいところを押さえてある。
少年時代のピュアな心を残しつつも今は適度にやさぐれていて、頭も良く、社会的にも優秀である。
教科書(エンタメはこう作る!的なハウツー本)に載っているレベルに模範解答な主人公像だ。
ヅカの主人公によくある「作者の頭の中でだけかっこいい」キャラじゃない。チェス、国王の信頼、舌戦、剣の腕と「かっこいい加点エピソード」を丁寧に盛り込んである。
そして、主人公自身が計画発案し、実行している。……コレ、ヅカ的にけっこうめずらしい。主人公がナニもしない、ただ台詞でだけ「かっこいい」「素敵」ともてはやされている、てのが山ほどあるからなー。
3.ヒロインと恋愛している。
初恋をこじらせつつ、等身大のヒロインと出会い、反感→共感→恋、とこれまた教科書に載っていそうなくらい、模範的な流れ。
しかも当世のはやり、「S系彼氏」路線だ。上から目線で命令、「お前はオレが守ってやる」……ほんとに丁寧に加点ポイントを押さえてくるなー。
4.キャラクタが多い。書き込みの浅さは問題じゃない、まずキャラクタが「在る」ことが重要。なければナニもはじまらないもの。
とにかくたくさんのキャラを出そう、という意欲が感じられる。「このキャラいらなくね?」と思うモノもあるけど、それでも「ひとりでも多く」出しているのはいい。
デビュー作には、そのクリエイターの本質が現れるという。
この4つは「タカラヅカの座付き演出家」としてこれからやっていけるのか、というわたし的なチェックポイントだ。
や、やっていけるのかを判断するのはわたしじゃない、わたしはただのファンのひとりでしかない。
ヅカヲタであるわたしが、「この演出家、期待出来ない……」としょんぼりすることになるかどうか、わたし自身が「(ファンを)やっていけない」と思うかどうか、ってことだ。
樫畑先生のデビュー作『鈴蘭』は、わたしのナニサマ目線をクリアした、良い作品だと思うの。
その点では好き。
タカラヅカを研究して、本気で「タカラヅカ」してるから。
これだけまともに「タカラヅカ」なら、今後も楽しくおつきあいできそう。
ただ。
「新人演出家デビュー作品」という括りではなく、ただこの作品だけぽんっと差し出された場合。
別に、好きでもなんでもないな。
ごめん。
前述のチャンネルとはチガウ部分で語ると、そうなる。
新人演出家デビューだ、どんな先生だろう、とワクテカして初日を観終わり、いちばん強く感じたことは、「及第点作家」出たなー、だった。
真面目に勉強して教科書通りきちんと作ってある。
作品は女の子向けライトノベルか少女マンガ。ストーリーもキャラもエピソードも、既視感パネェ。
破綻なくきれいにまとまってる。が、とくにわくわくもしない。
ストーリーが単純過ぎるというか、最初から犯人も筋道もなにもかもわかっていて、なにかしらどんでん返しがあるのかしら、いくらなんでもこんな答えが出ているまま終わらないわよね? と思ったら、ほんとにそのまま終わった、という拍子抜け感。
キャラクタの造形の薄さ・浅さが気になる。そこを根っこにおいた、「このキャラの言動おかしくね?」が最後まで引っかかった。
……という点はわたし的にけっこう大きなマイナスなんだけど、それはまあヅカではよくあることっちゅーか、言及しなくてもいいレベルのことなんだとは思う。
真面目にきれい、なのはいい。
だけど行儀良すぎてて、内にも外にも、はみ出すモノがない……。
外側に、どっかーん!と派手にはみ出すことは、せっかくお行儀のいい作りなんだから、そっちは目指さなくてもいいのかもしれないけど。
内側にはみ出すモノがないのは、これが作風ゆえなのか、デビュー作だからセーブしているのか。
初恋のシャルロット@はるこに対するリュシアン@ことちゃんの初恋のこじらせ方とか、書きようによっていくらでも深く重く出来るんだけど、なんつーかこー、絵に描いた餅的な、「お約束程度に触れました」「予定調和です」で終始しているのがなあ。
悪役ヴィクトル@せおっちの軽さと、一歩間違えるとかなりのアホアホ感とかもなあ。
きれいにまとまってるけど、そこで止まられると、演じているのが下級生メインのバウだってこともあり、全体的にすごく軽くなっちゃって、「教科書的」な作品がますます薄く小さくまとまったような。
だからなんか、惜しかった。
わたしが「タカラヅカ」に求めるモノを全部クリアしてくれてるし、話もお手本通りに作られてる。
だから。
だから、あとひとつ、わたし好みのものがあれば。
わたしの好きな方向へ踏み込んでくれていれば。
惜しい。
……あくまでも、わたしの好みの話なので。
わたし好みの「濁り」とか「重み」がないからって、それが悪いなんてことは、たぶんまったくないと思うので、これはこのままでいい作品なのかも?
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