『鈴蘭(ル・ミュゲ)-思い出の淵から見えるものは-』は、初日とその翌日午前公演を続けて観た。

 続けて観て、よかったと思う。

 わたしが公演を続けて観るのは、ご贔屓だったまっつが初日とその次の公演で芝居が変わることがあるのと、わたし自身頭が悪く、1回観ただけじゃ整理出来ず、2回続けて観てはじめて得心する、ということがままあるためだ。
 しかし、お金も時間も無限じゃない、ご贔屓以外にそんなことはしていられない。
 ので、基本他組にはしていない。てゆーか、贔屓の雪組以外は初日を観ることにも、そこまでこだわってないしな。

 ただ、『鈴蘭』は新人演出家デビュー作だったので、初日を観たかった。
 稲葉・生田・原田・野口・田渕・上田……最近の若手演出家のデビュー作品は、大抵初日を観てきたんじゃないかな? 「新人さんだー、わーい!」って喜んで。
 んで当然、初日1回きりで終わるはずだったんだけど、頼んでたチケットが両方取れちゃったので、急遽2日連続観劇することに。

 話は単純だったから2回見る必要はなかったんだけど、それでも「2回続けて観て良かった」と思った。

 いやあ、初日はけっこうびっくりしてて。
 その、出演者に。

 主演のことちゃんはうまいし、ヒロインの真彩ちゃんも脇の上級生もよくやっている。
 しかし。
 2番手のせおっち含め、下級生たちが、もお、すごくてね……。

 いくら真ん中だけうまくても、周りが学芸会だと作品全体がキツイぞヲイ、と。
 口悪くてすまん、しかしマジにびびったもんで。

 それが翌日、2回目の公演観たら、ぜんぜん違ってた。

 そりゃ劇的にうまくなるわけじゃないけど、昨日のあのアゴ落として頭抱える感じ、アレはなくなってた!
 初日は緊張してたんやね……! 客席にれおんくんまでいたしね。公開舞台稽古状態やったんか……。

 2回目観てよかった……。
 でないとわたし、初日の印象を、彼らの実力だと思い込んでたよ。
 大丈夫、新人公演レベルにはなってた! 新公学年のバウホール公演なんだから、新公レベルは当然。必然。仕方ない。


 そんななか、ほんとことちゃん、うまいな!

 周りの学芸会度が上がったのは、悪いけどことちゃんのせいもあると思う。
 ひとりだけ段違い過ぎて、他の子の粗が目立ちまくった。技術的には問題ない真彩ちゃんですら、精彩を欠いていたし。
 初の大役?の、せおっちときたらもお……。ほんと、大変なことに……。
 んで、周囲が屍累々って感じに実力も出せず自滅して倒れ伏している中、ことちゃんひとり孤軍奮闘。
 倒れた屍たちがゾンビみたいに脚だの腕だのにまとわりついてくる、自由に動けない……ゆえに眉間に縦皺刻みながらも、それでも力尽くで、ゾンビまとわりつかせたままゴールまで完走した。
 力持ちだなー、ことちゃん……。
 素直に感心した。

 下級生バウで学園モノ以外をやると、こんなに大変なことになるのか……と思った。
 せおっちだってしどりゅーだって、『A-EN』ならここまで自爆してないと思うの……等身大でいけるから。
 しかしいちおー中世フランス物で、コスチューム物で、人が死んだりする話だからな……。

 2回目では、出演者みんな初日と違い、なんというか「芝居」をしている感じだった。「手順」ではなくて。
 そしてことちゃんも、しがみつかれなくなった分、肩の力が抜けて見えた。
 よかったー。

 てことで、初日のことは忘れて、2回目の記憶で感想を書くことにする(笑)。

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