そらくんが少女マンガだ。

 『ヴァンパイア・サクセション』 でいちばん意外だったのは、ソコだ。

 『ヴァンパイア・サクセション』 はイシダおじさんが、なんかがんばって少女マンガとかBLとか、イマドキの女子向きテイストを意識している。意識しているだけで、取り入れられてもいないし、すべっているというかむしろ「それじゃないし」「わかってないなら触んなよ」という悪い意味でしか反映されていないんだけど。
 そんななかで、カズキソラだけが、なんか真っ当に少女マンガしている。

 少女マンガによくいる、当て馬キャラ。
 やさしくてハンサムで、ヒロインを本気で愛していて。お金持ちとか頭がいいとかとにかくわかりやすいスペックが高くて。
 ヒロインと作者にだけ都合がよくて、便利使いされてポイ捨てされるキャラ。
 少年マンガだとこのポジションに来るキャラは大抵腹黒で、ヒロインを汚い手を使って手に入れようとしたりするんだけど、少女マンガだとマジ「いい人」。いい人なので、勝手にひとりで踊って当て馬としてドラマを盛り上げてくれて、最後はなにもしなくても勝手に自己完結して身を引いてくれる。「都合のいい人」。

 その少女マンガあるあるキャラを、よりによってあの和希そらが見事に演じていた!!

 えーと。
 ランディ(医大生、ルーシーの元カレ)@和希そら。

 医大生ですよ、金髪ですよ、スペック高いですよ!
 でも、カズキソラ。

 ……すみません。わたし、そらくんを基本「ハンサムではナイ」と認識しているのです。
わっかりやすいハンサムキャラを演じていいビジュアルの人ではない、と思っている……すまん。

 この『ヴァンパイア・サクセション』 におけるランディくんってのは、『ベルばら』でいうところのジェローデルですよ。『メイちゃんの執事』でいうところのみやるりですよ。……あれくらい、わっかりやすい美形が演じるべき役なんですよ
 どんだけアタマが良くてお金持ちで性格が良くてヒロインだけを一途に愛してくれていても「ハンサム」でなければ、それ以外のハイスペックは無意味なんです、女子向けエンタメではそうなんです。
 主人公とヒロインを争う男は、まずなにがどうあれ「ハンサム」でなくてはならないんです。

 わたしゃてっきり、ヒロインを争う相手は愛ちゃんかみつるかと思ってました。基本スキル「ハンサム」を持つユニット。
 基本スキルに「ハンサム」の上位スキル「美形」を持つマカゼと対戦するのに、「ハンサム」すら持たない脇ユニット投入しても、時間稼ぎにもならないでしょ、と。

 なのにさー、カズキソラでマジに当て馬やってんだもんなー。
 ランディは三枚目成分大目に思えたけど、ソレはたぶんカズキソラだからで、美形が演じていたらふつーにジェローデルだったと思うわ。

 ああもうほんとに、カズキソラ好きだーー!!

 美形じゃナイから当て馬にもならないはずなのに、なのに、ちゃんと少女マンガしてる!!
 「これ美形の役だよね」「設定と目に映っているモノが違いすぎる」と混乱しつつも、それでも。

 カズキソラ、かっこいい!!

 いい男だわーー。
 顔はハンサムじゃないけど、わたしにはどうしてもそうは見えないんだけど、でも、でもっ、ハンサムだよね?
 矛盾してますが、ハンサムなの。目に映るモノと、心の目に映るモノは別なのよ!!

 カズキソラがかっこいい。ハンサム。素敵。
 やだもう、ハクハクするーー!

 『メイちゃんの執事』では、 「剣人にしとこうよ、理人のどこがいいのよ」と思ったクチですが、そう思わせなくては少女マンガの当て馬は務まらないのですが、『ヴァンパイア・サクセション』 ではごめん、やっぱり「ランディはナイわ、所詮は当て馬だわ」と思って観ていたけれど、それはなんつーか、ランディの生きる場所はルーシー@まどかのそばではないと、思えたからかもな。

 ランディは「あるある」のテンプレキャラの域を超えて、NPCではない、ちゃんとした生きた人間として、考え、行動し、存在しているように見えた。
 だから当て馬としての「ランディでいいじゃん、ルーシー」と思うことなく、ルーシーはシドニー・アルカード@マカゼ、ランディはランディ、と思えたのかも。


 顔の好みは断然マカゼで、美しいと思うのも完全にマカゼなのに、ジェローデル立場の役をやってなおハンサムだとは思えないのに、何故かそらくんが好きです。

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