『ヴァンパイア・サクセション』 の感想あれこれ。

 カーミラ@うらら様。
 派遣の死神って……。
 なんというか、いかにもイシダ作品らしいキャラクタで、笑えるけれどぜんぜんうれしくない……。
 イロモノ、飛び道具なので、誰がやっても目立つ役だし、へたっぴでも新人でも脇の個性派さんでも、なんでも成り立つ。
 役割りが大きいので、今回は路線スターに振るべきだと思うけど、イシダ作品のこのテのイロモノは、わたしは苦手だわ。作劇として「ずるい」と思うから。まあ、イシダだもん、そのへん老獪だわー。うまいわー。

 うらら様はいい仕事をしていた。
 というか、やっぱうらら様は脇で美貌を武器にしているのが似合う。真ん中だと技術のなさが弱点としてさらされてしまうけど、脇なら強み(美貌)のみを行使できる。

 イロモノ役だから、美女である必要はないんだが、それを美女のうらら様がやることで、インパクトを大きくしていた。イシダ作品の弱点……イシダ本人は長所だと思っているんだろう……「美しくない」「タカラヅカらしくない」を、うらら様の美しさでカバーしているの。

 うらら様が美しくて、よかった。
 この役を不細工さんがやっていたら、ますますタカラヅカらしさから遠ざかっていただろうから。
 や、ジェンヌはみんなきれいだけど、その中でも個性売りというかきれいでない役を得意とする人がやっていたら、きっとことさら滑稽さや下品さをアピールしただろう役だから。それはもう、わたしの苦手分野直撃で、想像するだけで「勘弁してください」になるので。
 ほんとうらら様でよかった。ありがとううらら様。命の恩人。

 劇団がうらら様をどうしたいのかさっぱりわからないが、ふつう大劇場本公演でポスターに載っちゃうような、初演のトップ娘役の役をやっちゃうような、そんなレベルまで達したスターさんが、5期も下の子がヒロインやっている公演で、脇のイロモノを演じる、ってのは、あり得ないことだと思う。
 娘役の寿命は短いから、5期下ってのは、数字以上の重みと開きがあるわけだし。
 こんな状況でも、楽しげに舞台に立っているうらら様を観ると、「ほんまにタカラヅカが好きなんやなあ」とじーんとする。


 愛ちゃんがマカゼと並び立ち、絡んで歌い踊る。
 ということの、お得感。
 盆と正月が一緒に来た感じ? 今ならお値段据え置きで2個セット、おまけにもう1箱!の深夜通販的?
 美形がふたりで、画面価値倍増。

 愛ちゃんはほんと、スタイル美形だと思っている。顔はわたしの好みでないために評価が低いのだが(すまん)、全身バランスがいいんだよなあ。
 舞台は全身を愛でるものだから、彼のカラダの美しさ!は、わたしを大変楽しませてくれる。
 ……まあ、台詞はナニ言ってんだかわかんないことが多いんだけどなー。まあ、聴き取れなくてもあまり問題ない脚本なので、キニシナイ!(笑)


 みつるはみつるらしい芝居で、観ていて安心。ちゃんと老け役で、役割を果たしていて、そのくせちゃんと美しい。
 おっさん役でも、「色気がある」ことは、絶対必要、絶対強み。「好々爺」は本専科さんが担うべきスキルで、路線スターから専科入りしたみなさんは、「大人の色気」を作品に沿える必要があるもの。

 相手役のまいらちゃんは、もちろんいつも通りうまいのだけど……なんだろう、違和感があった。うまいしいつも通りだけど、みつるには合っていない、ような。ん? この「いつも通り」が問題なのか?
 このテの役はまいらちゃんの十八番というか、持ち味と立場からこのテの役が回って来がちで、このテの役はいつもこのテの役らしく演じて……という。
 ちょっと残念かな。
 や、好みの問題。


 もあちゃんとかなりちゃん、きれいでかわいかった(笑)。こういう記号的な美女は好き。
 てゆーかわたし、かなりちゃんを舞台ではじめて認識した。なるほどー、ああいう顔になるのかー。
 スカステのナビゲーターズで全組通して代替わりも含めて歴代すべての中で、唯一舞台で存在を認識していなかった子。
 これで次からは舞台で見つけられるはず。……たぶん。(こあらさんはアタマのデキが残念な人です)


 他の顔と名前の一致するみなさんも、違和感なく観られたのは、イシダらしいアテ書きというか、本人のイメージを裏切らない使い方をしているためだと思う。(あおいちゃんのみ、相手役が宙組生でない「いつも通り」が通用しないみつるだったから、それが裏目出ちゃったかなと)

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