あれ、ひょっとして、主役についての感想を書いてない?
 花組『ME AND MY GIRL』
 役替わりとか新公とか、目新しいところを記すのに必死になっちゃって。

 ビル@みりおくん。

 ビジュアルだけでいうなら完璧!に美しいビル。これぞ、タカラヅカで観たいビル!の姿だと思う。

 だけど、この役はものすごーく難しかったのではないかな? みりおくんにとって。
 ビルだから、『ME AND MY GIRL』だから、というのではなく。

 自分自身で演じた役の、再演だから。


 『エリザベート』のときも感じたんだけど、セルフ再演って、すげー難しいよねええ。
 新公時代より、そりゃ技術は上がっている。出来ることは増えている。でも。
 あの当時持っていたナニかを、確実に失っているんだ。

 名作の再演とかもそりゃ大変だろうけど、ある意味「過去の自分」を超えるのは、いちばん困難なことなんじゃないか?

 新人公演でビルを演じたみりおくんを、おぼえている。

 若くてかわいくて、キラキラした男の子だった。
 大人の男には見えず、サリーともども10代のカップルに見えた。
 あのまぶしさと、甘ずっぱさ。

 あれは、下級生だからこその光だ。

 みりおくんはいつまでも若々しいし、美しい人だけど。
 もうこんなに、大人になっていたんだなと。
 ビルの印象の違いに驚く。

 若くて向こう見ずな光は消え、大人がしっかり演技している。
 演技することを、知っている。

 昔は演技していなかったというわけじゃなくて。
 新公だってもちろん精一杯考えて演技していたんだろうけど。
 今はその、演技の向きが違うというか、角度が違うというか。

 新公の頃って、みりおくん、客席に向かって……いや、世界に向かって? 無防備に開いていた気がする。
 ぷわーって全部開いて、ありのままで勝負というか、取り繕う余裕はないっていうか。
 今は大人になり、責任も増え、そんな本能的な姿勢ではなく、がっつり芝居することを学んだというか。
 守りに入っている、気がする。
 ……トップスターなんだから、責任があるんだから、それは必要なんだけど。わかるんだけど。

 新公と同じ役であるから、余計にそれが見える気がして。
 『エリザベート』はまだそれでも、必死さの方が勝っていたから、今回ほど思わなかった。

 新公ビルの方が、自由を感じたな。
 ビルというキャラクタは、魂に自由が必要だと思う。今のビルには、それをあまり感じない。
 ……ビルとしてはともかく、タカラヅカ公演の主役としては、華と光が在るから、ソレでいいのだと思うけど。


 サリー@かのちゃんは、ビルを映す鏡だと思う。
 かわいいかのちゃんが演じているから、もちろんサリーはかわいい。
 だけど、不自由さを感じる。
 ビルがまとう鎖を、サリーもまたまとっている。

 ビルが外へ発散するようになれば、サリーも発散するんじゃないかな。
 わたしの印象では、ふたりして束縛されている感じ。


 ビジュアルはほんと、きれいでかわいい最強カップルなのにな。
 何故だか、ナマで観た方が、ポスターよりもわくわくしなかった。

 あくまでも、わたしは。


 みりおくんは、オリジナルの役と作品が観たいな。新公の役ではなくて。
 次のウエクミ公演が心から楽しみだ。

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