こんなに人望ない信長はじめて見た。

 まさお氏のサヨナラ公演であり、大野タクジィ新作でもある『NOBUNAGA<信長> -下天の夢-』初日観劇。

 すまん……わたし、かなりぽかーんとした……。

 信長がまさおアテ書きなのはわかる。そうだろうとも、まさおは信長がハマるキャラだ。大野せんせもそのつもりで書いているのだろう。
 それがわかるだけに。

 敵も味方も部下も、すべての人に嫌われ、憎まれ、孤立し、殺されかける信長、に、くらくらした……あ、アテ書きでこれって……そして、ひとりぼっちで「憎まれ上等!」な信長……タクジィ、アテ書きするにしても手加減して! とハラハラした。

 舞台にまさおただひとり、ではじまり、最後も舞台にまさおただひとり、で幕が下りる。

 これが大野せんせのまさお観かぁ……。

 組子全員に見守られ、特大の笑顔で幕を下ろした「戦国武将モノのサヨナラ公演」を観た記憶が強く残っているだけに、この差に愕然とした。
 まあなあ、慶次はみんなのために最後まで闘い抜くところで「完」、信長は自分を守って死んでいく人々を全員見捨てて、ひとりだけ逃げ出して「完」、だもんなあ……孤高になるわなあ。

 「織田信長」なんて題材は、ふつーにやるだけでも絶対失敗しない鉄板ネタ。信長の信長らしいエピソードを連ねるだけで、十分派手で盛り上がる。感動作になる。
 なのに、信長らしさを描かずに肩すかしのままEND、って……。
 どうしてこんなことに。

 大野せんせ、ナニがしたかったんだ……。
 まさかほんとに、人望ナッシング信長を描きたかったのか……? マジで……?

 一旦全員から裏切られた信長、結局みんな「心変わりの心変わり」をして信長に従うんだけど。
 えーと、こんなに簡単にコロコロ変わる信念なんて、最初からただの、触れば壊れる豆腐マインド。その場の空気で立ち位置を変える日和見主義。誰も信長を本気で愛してない。

 帰蝶@ちゃぴだけは信長を愛している設定らしいが、言動に整合性がなくてわけわかんないし。さっさと死んじゃって、死ぬのは「さっさと」なのに、死体は「いつまてもいつまでも」出しっ放しだし。
 ぽかーん。

 「外面だけの臣下」しか持てない信長は、「その程度の人」。周りを見ればその人自身がわかる。くだらない人には、くだらない取りまきしか集まらない。
 だからこそ信長は、そんな「外面だけの臣下」を捨てることも平気。信長だって、誰もまったく愛してない。
 「信長様のために!」と闘って死んでいく臣下たちを捨てて、自分だけ船に乗って新天地へGO!!
 ハッピーエンド!!

 ぽかーん……。

 信長なのに……。
 魔王と恐れられていても、圧倒的な魅力を持ち、敵であれ味方であれ、魅了されずにはいられないカリスマ、てのが「よくある信長像」。
 誰からも大事にされない、ぼっちで駄々っ子な裸の王様、って、誰得な信長像なの?

 なんかもう、ハラハラくらくらしまくりました。
 これが退団公演、これが最後の役って。
 まさおスキーとして、信長スキーとして、大野くんを校舎裏へ呼び出したい気持ちでいっぱいでした(笑)。
 『一夢庵風流記 前田慶次』も壊れまくった話だったけど、キャラクタのアテ書きぶり、生徒のハマりっぷりが心地よかったから、リピートするのは楽しかったんだけど……。
 コレはないわー。
 つらいわー。


 ショー『Forever LOVE!!』は、まさおさん大活躍。
 楽しそうでナニより。
 気になるところはいろいろあるけど、まさおさんの笑顔観てたら「もう、いいか」という気になった(笑)。

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