『Bow Singing Workshop~雪~』初日。
 席に着いてまず最初の衝撃。

 2幕ラストがレオ様だ!!

 座席にプログラムが置いてあるの。はじまる前にそれをチェックできるから、最初の衝撃は開演前。

 宙組、星組と、1幕ラストソングが香盤2番目の人、2幕のソロ曲ラストが公演長の人、になっていた。
 いくら前2組がそうなっていても、わたしはそれを「法則」だとは思わない。
 だって雪組の香盤2番目は、翼くんだもん。われらが天月翼が、1幕ラストに熱唱して緞帳が下りる、なんてトップスター仕様の役目を振られるわけがない。

 1幕ラストソングは路線スター様の役目。すなわち、ひとこ。これはもう、疑う余地もない。
 問題は2幕のソロ曲ラストだな。ここはトップバッターの宙組さんからして歌うまくない人がやっていたし、星組さんもまた明らかに歌苦手な人がやっていたので、公演長の「ごくろうさま、がんばってくれた人に活躍の場を」枠なのかもしれない……と、うすうす思ってはいた。
 いたけど、だからといってレオ様がやるのかなあ? だって、美月くんはうまくないけど一応うまいっぽい雰囲気はある人だったし、まおくんは音痴だけど主演経験とスター力があったし。
 レオ様は音痴で悪声、かつ新公主演すらしてない人だよ?
 それでもレオ様がやるんだろうか??

 そう思っていたので。
 実際にレオ様が「公演の大トリ」役だと知り、驚愕する。

 マジかー。
 すげーなー。

 いや、レオ様も5年前なら「新進スター」として売り込まれていた。研4で新公2番手やったり、研5で本公演にはない銀橋ソロを新公オリジナル演出で披露したり、なんかすごかった。オスカル役だってやったし、劇団的が推していたスターのひとりだったと思う。
 でもあまりに、実力が伴わなかった。
 音痴だけならともかく、悪声でな……。声のコントロールが出来ないと芝居も壊滅するしな……。
 今の「歌唱力重視」時代になる前の「路線スターとは音痴がなるモノ」時代ですら、実力のなさが目立ちまくっていた。や、美貌とダンスの実力は十分にあったけど、新公は芝居と歌が必要だからね……。

 明らかなトップ路線推しはなくなっても、やっぱりレオ様はスター枠で、歌ウマ同期のあすくんがモブで、歌へたレオ様がソロを歌う、なんてのはタカラヅカがタカラヅカである以上当たり前にある図だったが。
 翔くんにしろ大ちゃんにしろ、「スターは歌唱力不問」。無名の歌ウマさんがモブでマイクすら付けてもらえなくても、スターさんは音痴であってもソロ歌を披露する。
 歌唱力重視傾向の昨今、「今後発掘されるスター」は最低限の歌唱力を求められているけれど、それ以前に「スター」枠に入っていた人は関係ない。

 とまあ、雪ファンならレオ様が(トップ路線でないにしろ)スターだってことを知っているし、ソロ歌だって何度も見聞きしているし、実力のほどもわかっているけど、それにしたって「歌バウ」の大トリって……。い、いいのか……?

 とまあ、こんな考えでおりました。
 でもって、そう言いながら、レオ様大トリでかまわないけどな。だって好きだから!! てのが正直なところだったんだけどな(笑)。

 レオ様が長だからって、がんばって初日チケ取ったんだし!
 レオ様大トリ、ブラボー!! どんだけへろへろソングになったって、わたしは勝手に感動して、勝手に楽しむわよ!!
 てな。


 えーと。
 出演者順に感想書いていこうかと思ってたんだけど、ここまで書いたらもう、先にレオ様だな。

 結論を書こう。

 レオ様、歌うまくなってた!!

 え、なんで?
 ふつうに歌えてる。ふつうにうまい。
 そりゃ歌ウマ枠ではないにしろ、タカラヅカスターで、男役で、このビジュアルでこんだけ歌えるならなんの問題もない。

 えええ??

 煌羽レオ=歌ヘタ、だったよね?
 久城あす=歌ウマ、と同じく、常識的な感じで。

 うまくなるもんなんだ!!

 レオ様の歌を聴きながら、わたしはもう、混乱しまくりでした。
 この美貌で、これぐらいタカラヅカらしいパフォーマンスが出来て、これだけの歌を歌える。
 って、素晴らしいスターじゃん。

 『ドン・ジュアン』でも押し出しと美貌で、「あの人は研いくつですか? 路線スターではないのですか??」と、ライト層が「こんなスターがいたの?」と刮目した印象を受けたけど。
 スポットライトを浴びて、燦然と輝く姿にびびる。いやそのだって、ずっとヘタ過ぎてもごもご。
 『BJ』とか、声を出すなり二度見する勢いでクラッシャーだったのに……!

 ああ、レオ様。
 惚れ直しました。

 大昔から語ってますが、ほんとわたし、レオ様の顔が好きで。
 好きで好きで。
 黙って踊っている姿が大好きで。
 ……声と歌と芝居のアレさにはもう、肩を落としっぱなしというか、もういいよ気にしないよ、と意識の外に追い出すくらいには、「欠点があっても好き」ポジションにいたスターさんです。

 その人が、あきらめていた歌を克服して、再度我が前に降臨したわけですよ。
 惚れますって。

 なんかもうね、見ながらね、なんで新公のときにコレが出来なかったんだ!!と、歯がみしましたね。

 や、あきらめてたのよ。先天的にもう歌は、声を使うモノはダメなんだろう、って。だから、研4で2番手やったのに、その後も路線役だったのに、学年が上がるにつれ扱いが落ちていく様を見ながら、それを受け入れてきたのね。仕方ないよ、あんだけ歌えないんじゃあ、って。
 あきらめる必要なかったのか!! まだ、成長途中だったんだ!

 わーん、レオ様~~!

 レオ様は抜擢が早すぎたんだな。今にして思えば。
 男役としてのビジュアルが早くに出来上がっていたから、早期抜擢され、露出が上がった。
 しかし、そのビジュアルに見合うだけの実力がなかった。抜擢されて大役をやるたびに、実力のなさが晒されて、いくら美貌があってもこれ以上のポジションは無理かなと思わざるを得なくなる。
 もしもレオ様がずっと脇のままで、研7の最後の公演で新公主演していたら、「それなりにうまいスター」認識だったかも。
 レオ様が壊滅的だったのはもっと前で、研7になるころにはそれほどヘタではなく……学年相応の実力があり、なにより美貌だけはずっと人一倍あるわけだから、十分評価されるスターとしてデビュー出来たと思う。
 そして今、こんだけ美しくて、歌も歌えるようになってるんだから……あああ、劇団の早期抜擢は諸刃の剣だよなあああ。

 や、路線スターでなくてもレオ様好きだけど。ただ、めぐり合わせというものについて、感慨深く考えてしまう。
 それくらい、歌バウのレオ様は衝撃だった。

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