日々の流れは速い、あっちゅー間に役替わりの新バージョン日程になった。『エリザベート』Bパージョン、りくルド初日!!

 ルドルフ@りくくんで、いちばん驚いたこと。

 歌が、大丈夫だ!!

 りくくんといえば音痴。歌の神様から愛されなかった美貌のダンサー、という「タカラヅカあるある」を体現するスターのひとり。
 今回のルドルフ役替わりメンバーで、実力面でもっとも「だ、大丈夫か?」と不安視していたのが、彼。
 『エリザベート』って歌ばっかのミュージカルだけよ、ルドルフって歌うんだよ、出番短いのにいろいろ歌うんだよ、誤魔化し効かないソロだの掛け合いだのがあるんだよ。
 歌重要作品において、メインキャストに音痴さんがいると、集客に響く印象がある。いくら美しければ実力不問と言われるタカラヅカでも。3人のルドルフで、もっともチケットレートが低かったのがりくルドだった、とわたしは個人的に思っている。
 わたしの周囲のヅカファンではないけれど「『エリザベート』なら観てみたい」という人たちが、「なんとか取れた」という日程がすべてりくルドだったとかなー。役替わりも、そもそも主演が誰かも知らない人たち……「いつでもいいから、とお願いしていて、取れたのがこの日」とか、「人づてにチケットあるよとお誘いを受けた、よくわかんないけど有名ミュージカルなんでしょ、母と観に行くことにした」的な、ゆるい流れ。
 『エリザベート』自体チケ難当たり前、りくくん日程ももちろん入手困難ではあったけれど、ずんちゃんとあっきー日程はさらにチケ難な手応えだった。
 まあなあ、音痴なルドルフはきついもんなあ、仕方ないよなあ、と。

 でもわたしは、りくくんスキーなので。
 歌がアレでも、りくくんのルドルフはうれしい。
 そして、Cバージョンでのシュテファン@りくくんがイイ感じで、『王家に捧ぐ歌』のサウフェもそうだったけど、なんかわたし好みの芸風になってきてくれているので、期待大。好みのルドルフなんじゃないかなと。
 キャラクタに関しては不安はナイ、問題は歌唱力……だったのに。

 歌が、大丈夫だ!!(2回目)

 その、「うまい」とも「うまくなった」とも、言わないし言えないけど。
 危惧したほど壊滅的じゃない。
 作品全体としてアリだと思えるくらい、大丈夫だった。
 と、わたしは思った。
 ……贔屓目かな? 世間的にはどうだったんだろう。

 とにかくわたしは、これくらい歌えれば大丈夫、物語を楽しむのに水を差されることはなかった。

 そして、なんつってもダンスだ。
 ルドルフというと、死の間際に黒天使たちに翻弄されるダンス場面がある。
 ここがもう、美しくてな! ここが美しいと悲劇性上がっていいんだな、てなことを再確認する。
 いやその、この場面ダンス以外が意外と難しいというか、上着はぎ取られて下半身ラインむき出しになるので、男役として無駄に難易度上がるのよ。大抵のみなさん、丸いお尻強調衣装+振付で、ダンス苦手な子だったりするとますます「ああ、女の子だもんねえ」と一瞬思っちゃったりする危険ナンバー。
 りくくんちゃんと、夢を壊さずきれいだった! 踊れるっていいな!

 そして、肝心のキャラクタは。

 よっしゃ、バカ来たーー!!

 最近のりくくんの芝居は好みだ。本人がナニを目指してどう芝居しているのかは知らないが、わたしの目には「愛すべきバカキャラ」に見える。
 アホの子ではなく、バカ。
 無害なゆるキャラではなく、能動的な分有害なイメージ。
 本気で強いベクトルがある、しかしなんの役にも立たない、むしろ傍迷惑、というような。
 愛すべきバカキャラ。
 現実にいたらめんどくさいけど、フィクションの中ではひたすら愛しい。

 りくルドは、繊細系爆弾バカに見えました。
 脆弱な分傷つきやすくて、でもそれを表面的には認めてなくて強がっていて、でも意識下では自覚もあって、それゆえ暴力的なほど強く自分の欠点を他者へ転嫁して、とりあえず自意識を保っている系。
 やだわー、こんな男(笑)。ただの暴力バカと違って「繊細系」ってのがタチ悪い。自称繊細系って、自分の痛みだとか弱さだとかには過剰反応するからなー。で、「繊細な自分が大切に扱われない」と、切れる。
 ルドルフの破滅はまさにソレ。
 「パパに理解されない」「正しく評価されない」ことに傷ついてる風なのが、もう……。
 メンタル幼い。身体は大人なのに、わかりやすくバカでヘタレ。
 そして、プチ革命失敗後は、精神崩壊方面へ流れる。うんうん、繊細くんはそうなるよねえ。


 そして。
 ええ、そして、素晴らしいのがエルマー@ずんちゃんとの関係性。

 今回のバージョンのトピックスは、わたし的にはりくルドではなくて。

 エルマーに知性がある!

 ということ。

 や、びっくりだ。知性派エルマーなんて!
 エルマーって新公主演済み若手スターがやる役。若手のヒーロータイプがやるとハマるのね。グループのリーダーだから、「オレに付いてこい!」が自然に出来る人でないと。いっそ脳筋タイプでも良い。知性担当はツェップスさんがいるから。

 それが、ずんちゃんエルマーは、知性派リーダーだったの。
 台詞も演出も同じなのに、知性が見える。
 え、このエルマー賢い。なんかふつーに革命成功しそう。

 賢いエルマーと、おバカルドルフ。

 なにソレ、滾る!!

 でもってエルマーさん、ふつうに真面目で誠実そうなの。賢いからって、ずるくないの。
 アホな王子様相手に、誠実につきあってるの。「このアホを利用してやろう」とか思ってないの。本気でルドルフと手を取り合って、未来を築こうとしている。

 まあ、あのヘタレ皇太子で革命出来るとか思っちゃうあたり、ほんとの賢さはないのかもしんないけど、今ある選択肢で最善を選んだら「ヘタレを王にする」しかなかったのかも、とも思う。

 ルドルフはトートなんぞに頼らず、エルマーを信じていれば良かったんだよ……って、そのエルマーもトートに踊らされていたひとりだから、無理か……。


 ところで、ルドルフを観て、歌大丈夫、と胸をなで下ろしたりくくん。なんだよ、これくらいには歌えるんじゃん! と、見直したのに。

 何故だ。
 パレードの階段降りソロでは、いつもの潔い音痴ぶりでした。

 なーぜーだー(笑)。

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